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散歩道
茹だるような暑さを感じる散歩道
春は過ぎて初々しい葉が頭を出す
キラキラと風に揺れるその姿すら
まるで宝石のような趣を魅せゆく
ツツジの蕾が開いて花を咲かせた
香りが漂う道を歩きながら青空を
見上げれば夏はもうすぐそこだと
空はそう言っているように見えた
指先すら届かない人に似合いそう
思った花は薄い桃の色をしていた
近いようで遠くて、遠くて近くて
どこに居るかもわからないけれど
緑色の紅葉の下で木漏れ日を浴び
静かにゆっくり流れていく時間を
追いかける気にもなれずに座って
ただ日が落ちるのを待っていた日