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海から月へ
人生の最後を彩った光を浴びて
そっと目を閉じて海に沈んだ
雨の降る静かな夜だったのに
あなたの声が脳裏に響き渡った
何の悔いもなく沈んでいったの
雨が上がってうっすら見える月
いくら手を伸ばしても届かない
まるであなたのような存在だな
泡になって消えた人魚のように
そんな儚く消えることはできず
涙は海にとけて夢は空に翔んで
あなたの声は月と一緒に消えた
最期に私からあなたにあげるよ
あなたが流した涙と捨てた夢を
きっと大丈夫、これから春だよ
あなたの好きな夏もすぐに来る