210/412
記録
あなたに会えなかった十六歳
あなたに会いたいと願っても星は叶えてはくれない
そんなことくらい分かっている。もう子どもではないから
雨の降る冷たい春がそっと隣に座っているようだ
あなたが映る写真を見ながら
あなたの声を思い出してはあの頃を思い出している
あの頃がどれだけ幸せで大切で尊いものだったのかを知る
もう戻ってこないのに。冷たい春がそう呟いてる
あなたに会える日が来るなら
私はもう少しだけ生きてみようかと思う。少しだけ
私もあなたもあの頃より変わっているのだろう。寂しいね
あの頃にはもう二度と戻れなくても。会いたいな