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妖気が陽気な妖鬼だYo!!!!  作者: nira_kana kingdom
4/5

4話 1人じゃ勝てない

慣れて来たンゴねぇ。

章正は、暗い暗い空間で、1人立ち尽くしていた。


どこまでも続く果てしない闇の中で、章正は苦悩に満ちた表情を浮かべた。


「俺は………死んだのか?あんな奴のせいで?冗談じゃない。」


章正は怒りで頭がどうにかなりそうだった。


と、同時に後悔の念も溢れる。


クソッ、妖鬼召喚がこんなに面倒くさい儀式だとは思わなかった………。


一生、どんな時も、俺はアイツと一緒にいなければならないなんて信じられない。


しかも、命まで共有してしまうとは夢にも思わなかった。


ここのところ、常軌を逸することばかり起こる。


しかし、そんな俺にもとうとう終わりの時が来たみたいだ。


最後の最後にあんなクソ野郎に殺されるなんて夢にも思わなかった。


「あーあ、しょーもない人生だったな。もっとゲームしとけばよかった………。」


声が暗い空間に虚しく響いた。


俺は憂鬱な気持ちになりながら、1歩1歩、暗い空間を歩き続けた。


行けども行けども景色は変わらない。


ここは天国か地獄かもわからない。


不安だけが、大きく膨らんでいった。


「ああ、もう何キロ歩いただろうか…………。無理だ………、俺はもう限界だ。」


章正はその場に座り込んでしまった。


どうしようもない、絶望が章正を飲み込んでいく。


章正は座る気力も失せて、黒い地面に寝転んだ。


「はぁ……………。」


虚しいため息だけが聞こえる。


章正が全てを諦め、目を閉じようとしたその時だった。


後方から、誰かが近づいて来る音がした。


「うわっ……、誰か来た。普段なら絶対に喋りかけないが、今はそれどころじゃない……。一か八か……行ってみるか……。」


章正は起き上がり、最後の気力を振り絞って駆けていく。


体は鉛のように重く、腕と脚は鎖で引っ張られているかのような気分だったが、助けを求めたい一心で、章正は走る。


そして、章正は力の限り大声を出す。


「すみませーーーーん、そこに誰かいませんかーーーーー。すみませーーーん、たすけてくださーーーい」


普段の彼なら絶対にこんなことはしないだろう。


周りの目を気にして、決して行動なんて起こさないだろう。


恥ずかしいときっと思うはずだ。


しかし、そんなことすらどうでもいいと思える状況下であれば、彼は変わるのだ。


必死に生きようとするのだ。


彼は後先考えずにひたすら走る。


走って、走って走って、走る走る走る………。


そして、段々人影らしきものが見えて来た。


しかし、なんだか青白く光っているようにも見える。


ええい、知ったことではない!!


こうなったら、藁にでも何でもすがってやるという気持ちで、章正は声をかける。


「すみませーーーーーーーーーん!!!」


「うるさい!!そんな大声出さなくても聞こえとるわ!!たわけが!!」


青白い人影は一瞬で移動してきて、章正の頭をポカッと殴った。


章正は思わず、


「痛ってぇぇぇぇぇーーーーーーー!!!」


と声を張り上げた。


「ちょっとぉ、あんまりじゃないですか。困っている人を殴るなんて」


章正はぶたれた所を両手で押さえながらその青白い誰かを見上げた。


それは、西洋風の甲冑を着た騎士みたいだ。


右手には、何か武器らしき物を持っているし、奥に、馬のような動物?も見えた。


章正は彼らを見て、人間ではないなと感じた。


「マズいなぁ、人じゃないならどうやって対応すればいいんだろうか……。未知との遭遇とかそういう状況に俺は弱ぇんだよなぁ…。」


章正は率直にそう感じた。


さて、こっからどうしようかと章正は思案し始めた。


しかし、いつまで経っても結論はでない。


そうこうしているうちに向こうから喋りかけてきた。


「お主……、どうやら人間のようだな……。こんなとこにいるなんて珍しい……。お前、一体何があったんだ?」


「う~ん、この人?に全てを話してもいいのだろうか?話したところでこんな突拍子もない話なんか信じてもらえないだろう。だけど、頼れる人?はこの人?しかいなそうだから、いっそのこと全部話すか……。」


章正は考えに考えた結果、話を聞いてもらうことにした。


そして、ポーズをとりながら、俺はこう言った。


「今起こったことをありのままに話すぜ」


フフーン、どーだい君たち!!


俺ってばちょっとカッコつけて喋っちゃったなぁ~。


え?これは何のネタかって?


アレだよアレ!!


まあ、それはさておき、このネタは彼らに刺さるのかぁ?


青白い騎士?はしらけた顔をしながら、


「いや、そういうのいいから」


と、呆れ気味にツッこんだ。


ガーーーーン!!


うっそ~~ん………このネタ………伝わんないのね。


そうね、そうね、カルチャーショックね、はいはい。


というのは置いといて、気を取り直して、章正は今までのことを全て包み隠さず話した。


「なるほど、クソみたいな妖鬼に殴られてこんなとこまで来たのか………そりゃあ、災難だなお前。」


「はぁ、そうなんですよね…。ここがどこかもわかんないですし、自分が死んだのかどうかもわからないんです。すみません、知ってたらでいいんで、教えてくれませんか……。」


章正はダメ元で頼んでみた。


「まあ、よかろう。私もある者を探しているのだ。お互い情報交換といこうか……」


オオッ、ラッキー。


教えてくれるんだって。


いやぁ、何でも聞いてみるに限るなぁ。


「では、僕から聞かせてください。ここは一体どこなんですか?」


「ゴホン………、ここはな、次元の狭間といって、妖鬼の世界と地球との間にある世界だ。まず、普通の人や妖鬼は来ることはないだろうな。普通は妖鬼召喚の際に妖鬼がここを経由して、地球に行く場合に用いられるトコなんだが、お前みたいな人間が来るのは初めてじゃないか。」


「へぇ~、そえなんですね。って、あなたどうしてそんなことまで知ってるんですか?」


そうなのだ。


ダメ元で頼んだ割には情報を知りすぎている。


彼らが一体何者なのかを確かめなくてはいけない。


「そういえば、名乗ってなかったな……。我が名はアクシオン。まあ、お前ら人間が言うところの妖鬼である。」


「うわっ、マジで!!!あれ?そう言えば妖鬼って名前あるんですね。」


「そりゃ、そうだろ!!名前がないとまともなコミュニケーションなんてとれたもんじゃない。そこんとこは人間と一緒さ。」


「まあ、そう言われればそうですね。失礼しました。」


「わかればいいんだ」


「すみません、あと僕は死んでいないという認識で大丈夫ですか?」


「う~ん、それがだな。お前は魂だけこの空間に来てるみたいだ。だから、生きているともとれるし、死んでいるともとれる。」


「ええっ、そんなぁ……帰る方法はないんですかぁ!?」


「一旦落ち着け!!お前は!!て言うかお前に聞きたいことあるんだよ!!聞けよそろそろ!!」


物凄い剣幕でアクシオンは睨んできた。


「ひぃぃぃぃぃ、すみません!!」


アクシオンは空中にある絵を映し出した。


「はぁ~、じゃ聞くぞ。お前こんな感じの妖鬼見たことねぇか?探してんだ。コイツ今日忽然と姿を消して話題になってんだ。お前コイツにここr」


「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーー」


「うわっ、何だお前急に叫ぶな!!びっくりするだろう!!」


「いやいやっ、俺コイツの事知ってますよ!!て言うか俺今日コイツ召喚して出てきたクソ妖鬼ですよ。」


「ええ?コイツを?お前が?召喚したって!!!そんな馬鹿な!!」


「コイツですよ。俺をこんなとこに殴って飛ばしたの……。信じられないですよねホント!!」


「そうか、そういうことか……。アイツが急にいなくなったのはお前が原因か………。」


「まあ、そうなるんですが……。ってアイツってそんなに有名な奴なんですか?」


「そうだ。アイツはな妖鬼の世界では有名な奴で〖鬼喰い〗と呼ばれていた。地球でいう喧嘩屋みたいな奴だった。アイツは他の妖鬼とは違う妖気を纏っていて、異端だった。アイツは生まれた時から周りから恐怖の視線にさらされていたが、強さで全てをねじ伏せていた。俺も自分で言っちゃあなんだが、強い妖鬼の1人だ。俺と対等に戦える奴なんて、アイツか…………いやアイツぐらいだもんな。」


「へぇ~……………」


「アイツはずっと喧嘩腰で底抜けに明るくて気丈に振る舞ってはいるけど、本当はアイツは孤独なんだ。俺も皆もアイツのことを最後まで理解してやれなかった…。その証拠に俺はアイツのライバルとか勝手に名乗っているが、アイツの本当の名前すら知らない…………。」


「………………。」


「俺たちでは、無理だったんだ。でも、お前ならアイツを理解してやれるかもしれない……。難しい奴だが、どうか仲良くしてやってくれ。」


いやいや、無理無理無理無理!!!


だって、俺今アイツとバチバチで仲悪いんだよ!?


俺にアイツ………というか人の心さえも理解できない俺がそんなことできるわけないでしょうが!!!


俺は俯いた。


俺が返答に迷っていると、突然、俺の体が光り始めた。


「うわっ、何だこれ!!!」


「エネルギーの流れを感じる。どうやら、お前は地球に帰れるみたいだ。どうか、アイツによろしく言っといてくれ!」


「うわーーーっ、ちょっ、今それどころじゃ………」


俺は光の渦に飲み込まれて暗い空間から消えた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー



神宮寺礼子は章正を懸命に治療していた。


「思ったより、状況がまずいね………。まさかあの妖鬼の攻撃で肉体と魂が分離されるなんて…………。」


章正の体は一応治療したが、魂を元に戻さないことには話にならない。


章正の魂がどこに行ったかはすぐにわかった。


章正の妖気の残滓を追跡した結果、なんと、次元の狭間に飛ばされていることがわかった。


これはまずいと思った。


今の時代の人間が次元の狭間に飛ばされて、そこで耐えられるはずがない。


急いで救出しないと、彼は魂ごと消滅してしまうだろう。


急いで章正の魂の位置を割り出すのだが、如何せん章正が動き回るものだから、こちらに送還させようにも、術式が組めない。


「ちょっ、お前動き回ってんじゃねぇよ!!おいっ、章正!!章正ァァァァァァァァ!!!」


礼子は発狂しながら、看病を続けた。


奥でタージャとグリージャがやれやれという感じで見つめていた。


章正の妖鬼はというと、縮小した水空間の中で眠っていた。


力を使い果たしたようだ。


ヒト型のような体型からポケモンのゴーストみたいな見た目になっていた。


よほど章正と相性が悪かったようで、とんでもなく弱体化したみたいだ。


というような事を考えていると章正の体が光り始めた。


どうやら、ようやく送還の術式が効き始めたらしい。


これは本来、召喚途中に、アクシデントで、次元の狭間に挟まってしまった妖鬼を地球に引き寄せるために使うものなのだが、人間にも作用することがわかって、安心した。


「ハァー、全く手のかかる子だねぇ。」


とりあえず、章正が無事に戻ってきて安心した。


しかし、疑問が残る。


なぜ、章正はこの妖鬼の攻撃で次元の狭間まで飛ばされたのだろうか?


なぜ、肉体と魂が分離するなんていう現象が起こるのか?


わからないことだらけだ。


まあ、いい本人が起きてから確認するとするか。


礼子は章正が寝ている部屋から出て、ソファで寝転んだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーー




次の日の朝、章正は目を覚ますと、見知らぬ部屋にいると、いうことに気づいた。


和室特有の畳の香りがする。


朝起きて一番に学校が気になったが、ちょうど今日は土曜日だし、両親も出張でいないので、安心した。


というか、ここはどこだ?


章正がキョロキョロと周りを見ていると、部屋の扉がギィーと開いて、誰か入ってきた。


「調子はどうだい?もう治ったのかい?」


その姿を見た途端、章正はとても驚いた。


「えっ、なんでうっせぇわちゃんがここに?」


それを聞いたうっせぇわちゃんは少ししかめっ面になって、


「誰がうっせぇわちゃんだ!!しめるぞ」


とキレた。


「えっ、えっ、ちょっと……、状況が理解できないんですけど………。」


「ハァーー、全く………、ここはあたしの家だ。昨日も来てたのにねぇ、わからないもんなのかねぇ。まあ、そんなことより、あんたに見てもらいたいものがあるんだ。」


「見てもらいたいもの?何ですかそれは?」


そう言うと、うっせぇわちゃんはドアの方を向いて、こう叫んだ。


「おーい、あんたこっち来な。主人が起きたよーーー。」


すると、何かお化けみたいなのが入ってきた。


「よう章正、昨日ぶりだな。」


そいつはだるそうにそう答えた。


誰だコイツと思ったが、近くでよく見ると、アイツだということに気づいた。


「え?え?お前ちょっと、どうしたんだその姿は?一体何なんだ?」


「お前とそこの女とバトるのに力を使いすぎてな、この有り様だ。それより、悪かったな昨日は……、俺の配慮が足らなかった。」


急にアイツが謝ってきたもんだから、俺はめちゃくちゃ戸惑った。


(実は昨日の晩、章正の妖鬼は礼子にめちゃくちゃ怒られたので、とても反省していたのだ。)


アイツは謝ってきているけど、俺はまだ許した訳じゃない…。


もっと言ってやるかとも思ったが、俺は昨日、アクシオンに言われた言葉を思い出した。


ーー難しい奴だが、どうか仲良くしてやってくれーー


章正はふぅっと息を吐いた。


正直俺はアイツの事を全然しらない。


歩みよろうとしなかったのは俺もだ。


見た目でアイツを嫌い、自分の過去から逃げる言い訳を作っていたのかも知れない。


俺は、もっとアイツの事を知りたいと言う気持ちになった。


「まあ、戻ってこれたみたいだし、別にいいけど……、俺も少し言いすぎたかな……。先に暴力を振るったのも俺だし……。」


その言葉を聞いて礼子は


「あたしのお陰でな」


と、心の中で呟いた。


「その事か、気にすんな…。一切ダメージは入ってないからな。」


「そうだ………、君の名前をまだ聞いてなかったな…、よかったら教えてくれないか?」


「……嚥華(エンゲ)だ。いい名前だろ?」


「うん、とってもカッコいい響きだ。」


「じゃあ、俺も改めて、須藤章正だ…。これから、宜しくな、エンゲ!!」


「フン、今回だけだぞ章正!!」


「何だよお前~。何か調子乗ってるだろ」


「ハア?乗ってねぇし」


この時俺ら2人は昼過ぎまでギャーギャー騒いでいた。


俺と相棒はこっから、始まったと言っても過言ではない。


俺たちの伝説は、ここから始まったのだ。


陰キャの章正と明るすぎるエンゲ…。


凸凹コンビは今後、とんでもない大事件に巻き込まれていくのだが、それはまだ知らない物語である。





ちなみに、神宮寺礼子はずっと部屋の片隅で2人のやり取りを見ていて、


「アレ?あたし空気じゃね?」


と、思ったそうだ。


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