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ニセモノのルビー

前回みみっちい嫌がらせをしてくるメイド達にまとめてやり返し天誅!

ベットの中に針を仕込んだチュチュに熱い灸を据えて地下牢へ強制連行。

そして食事に薬を盛った悪質なメイド、アマンダを言及し地下牢に連行。


イベント増し増しだった訳だけど…はぁ〜、長かった長った。

こんな奴らのために一日の半分を浪費するとかバカみたいだわ。


さて次は、王様からもらえる生活費の横領をし白雪姫に横流ししてるメイドをとっちめてゆこー!


そもそもグリムヒルデは原作と違い、質素倹約に勤めていた。

なのに何故、こんなにも浪費家として見られているのか?

それは白雪姫が使ってる金を、グリムヒルデが我が物顔で使っているように見せかけているからーー!!


つまりはみんな外見に騙されているんだね!

わかるわかる。いつもニコニコ笑ってる委員長といつもメンチ切ってるようなヤンキーどっちかが殺人犯だと言われたら、誰だっていつもメンチ切ってるようなヤンキーの方をみんな指差すだろう。それと同じだ。


じゃあ普段全く浪費などしないグリムヒルデが、王様に年間でもらえるお小遣いの3分の2をいきなり使い込んだら?


私のお小遣いである500万ボニーの半分、250万ボニーを使い切っており、宝庫の中には実質250万ボニーしかないが約332万私が使っても、そもそもほぼ使ってないのだからあるはずだ。


なのにお金の用意ができなければ、私のお金はどこ行った?と大騒ぎになる。


果たして白雪姫とその周りのメイド達は残りの約82万ボニーをどうやって工面するのかしら?見物ね?


羊皮紙に計画をまとめるとユイに明日の朝一で珍しく高価な物を取り扱う商人を5人来させるようにお願いした。


目利きは鏡に任せればいい。

この世界には魔法の鏡というチート品があるのだ、他にあってもおかしくないだろう。


自分の身を守るものは1つでも多い方がいいし、白雪姫のメイド達をギャフンと言わせられるし、一石二鳥である。


そんなこんなで夜になり、冷水1歩手前のぬるま湯じゃない温かいお風呂に浸かり、一定の快適な温度に調整された室内で優雅にお茶を飲み、薬などが一切盛られていない出来たての食事に舌鼓を打ち、針など仕込まれていないフカフカのベットで眠ったのであった。


明日はジヴァを呼びましょう。

私のメイドになればこのような恩恵があるというのを見せつければ下心で白雪姫を裏切る人がいれば上々だわ。

そう考えるとグリムヒルデは眠りについたのであった。


快適な眠りに流れるような起床!

おはようございます!元気100倍グリムヒルデちゃんです!

昨日はほぼほぼ元々のグリムヒルデ様の人格に引っ張られていて、ドン引きされちゃっただろうなぁ〜なんて思ったんだけど。

ユイは気にしてなかったみたいでよかったよかった!


原作のグリム童話に匹敵するくらいの残虐性だったよね〜。

さすが悪役なだけはあるわと関心関心。

まぁ、あんだけ陰湿ないじめにあってたら、仕返しの一つや二つ許してほしいって気持ちもあるけど……


さて!今日はニホンの記憶持ちのグリムヒルデが仕返しの一端を担うよ!

前世ニホンの荒波という荒波に揉まれまくった社会人舐めんなよ!ということでやっていこー!


おぉ…朝食…今日もシェフがいい仕事してる。

トロットロでフワッフワのオムレツにもちもちのパン!

しかも出来たてホヤホヤ!作りたてが1番美味しいとかいうけど、それをなしにしたってうまうまだったよ!

ありがとう!大柄で強面の昨日のシェフ!


「グリムヒルデ様、有名な商人5名ピックアップした者が広間に全員集まりました。いかがなさいますか?」


「ありがとう、ユイ。じゃあ行きましょうか。今日は豪遊しまくるわよ!」


「かしこまりました」


ユイに付き添われ、商人が集まる広間へ。

ニホンで貧乏生活していた社会人のグリムヒルデの心が騒ぐ。


憧れてたアパレルショップで「ここからここまでちょうだい!」というセリフ。


札束をもって「オーっホッホッホッ!」と高笑いしながら、ヘコヘコする店員にお金を叩きつけたい。

欲望のままに大人買いをしてみたい!と。


広間につき扉を開けると椅子に座っていた5人の商人が、グリムヒルデを見てパッと立ち上がる。


「「「「「女王様に挨拶を申し上げます」」」」」


グリムヒルデは堂々と優雅に広間の椅子に腰掛ける。


「ユイ、ジヴァを呼んできてちょうだい」


耳打ちをすると、ユイは頭を下げながら退室する。


「かしこまりました、失礼致します」


頭を下げている5人の商人を見回す。みんな十人十色な格好をしている。


「面を上げよ」


私は出来るだけ偉そうにふんぞり返りながら、5人に命令をする。

手に手鏡を持ち、身だしなみを確認する。

魔法の鏡をここに持ってくる訳にはいかないため、小さく持ち運びの出来る手鏡を媒介し、商人5名を映す。


「宝石、ドレス、嗜好品がおかしな事になくなっていることがあってね。この機会に買い揃えようと思ってあなた達を呼ばせてもらったわ。私は正当な取り引きがしたいの。誠実な者には今後とも取り引きをしたいと思っている。どんな物を売ってるか、私にアピールしてみなさい。」


そう言いつつ腕を組み、さりげなく手鏡の鏡の部分を商人の方に向ける。


『しっかり見えているぞ。人選と鑑定はまかせろ』


念話で魔法の鏡が私に話しかける。

頼もしい!期待してるよ!鏡!


偉そうな(実際に偉いけど)格好で椅子にふんぞり返っていると、太ったブタみたいな成金趣味かよ!という格好をした商人が揉み手しながら一歩前に出る。


「わたくしめからよろしいでしょうか、女王様?」


ニチャァという感じの笑い方にゲスそうな顔。

こいつ騙せるなという風に思われてそうと思うのは、商人の見た目による偏見かもしれない。


「…よいだろう、お主の名前は?」


「アブヒムと申します、女王様。わたくしめが女王様のためにとっておきの品をご用意させていただきました!ご覧ください、この有名な芸術家が作ったティーセットを!」


そう言うとアブヒムはド派手なティーセットを出してきた。

うーん、はっきり言っていらない。趣味じゃない。


そんな空気が伝わったのだろう、アブヒムは慌てて違う品物を出てきた。


「も、持ってきた物はこれだけじゃありません!ご覧ください、世界に1つしかない羽扇子です!」


そう言うと禍々しい紫と金と赤色の扇子をアブヒムが恭しく掲げる。


うん………持ち歩ことう思わない。そもそもいらない、趣味じゃない。


アブヒムがチラッと私を見る。

顔にいらないとありありと書かれているのを察したのだろう。

何事も無かったかのように禍々しい扇子を仕舞うと、大きなルビーのネックレスを差し出してきた。


今までこんな物を買ったことなどないがさっきの2つの品物と比べてしまうとまともに見える。


「それはおいくらかしら?」


値段を聞くとアブヒムはキラキラとした目で

「85万ボニーです!」

と言った。


グリムヒルデは考えるような素振りをすると、念話で魔法の鏡に聞く。

「これは正当な値段なの?」


『いや、30万ボニー盛ってるな。他国からの買い付けで手数料などをとると言っても上乗せし過ぎだな。しかもこのルビーは偽物だ。光の反射がルビーの輝きと違う。鑑定料をケチって確認してないみたいだ。5万ボニーしか価値のないガラスを55万ボニーで売られたようだ』


「そう、わかったわ。ありがとう」


考える素振りをやめ、アブヒムの方を向く。

アブヒムは女王グリムヒルデの冷ややかな目にギクッとする。

30万ボニー吹っかけたのがバレたか、いや世間知らずの女王がそんなことわかるはずがない。


グリムヒルデの見透かしたような瞳に冷や汗がダラダラと流れる。


「このルビーは偽物だな!」

グリムヒルデははっきりと言った。


「なっ!?そんなことあるはずがございません!これは他国から貿易で仕入れた珍しい品で!」

アブヒムは何がわかる!という風に言葉を連ねるが、グリムヒルデの一言に黙り込む。


「このルビーはちゃんと鑑定しているか?」


黙り込むというその行動こそが証拠だ。

そしてグリムヒルデは魔法の鏡が言ったことをそのまま言った。


「このネックレスについているルビーは私が見た事のあるものと違う。光の反射の仕方がルビーの輝き方ではない!」


アブヒムや、他の商人が目を見開く。

端にいた瓶底メガネをかけた変な柄物の羽織りを着た商人が一歩前に出ると膝を折った。


「わたしは宝石の鑑定のスキルを身につけております。差し障りなければ鑑定させていただいてもよろしいでしょうか?」


「えぇ、いいでしょう。あなたもよろしくて、アブヒム?」


そう問いかけるとアブヒムはコクコクと頷いた。


「え、えぇ…女王様の意思に従います」


「それでは失礼致しますね」

アブヒムからルビーのネックレスを手渡されると、ライトをポケットから出して、ルビーに当てる。


上から、横から、そして下から当てると首を振り

「これはルビーではありません」

と言った。


アブヒムが「そ、そんなっ!」と崩れ落ちる。

私が興味をひかれるような品物は持ってなさそうだし、もういいわ。


「衛兵、お客様が1人おかえりよ。城壁まで送ってさしあげて」


「え、いや、あの…」

アブヒムはなにか言おうとしているが、衛兵に「こちらです」と肩を掴まれ広間から出される。


私はアブヒムににっこりと笑いかけるとバイバイと手を振った。


「さて、次は誰がどんな品物を見せてくださるのかしら?」

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