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ここから反撃の時間です

結構えげつない仕返しをしますので苦手な方はサラッと流してください。

前回のあらすじは!どうも白雪姫の物語に出てくる悪役ことただいま絶賛メイドにいじめられているグリムヒルデです!


専属メイドであるジヴァへのいじめが発覚し、グリムヒルデちゃんは激おこプンプン丸!

もう絶対に許さないんだから!


メイドでいじめに加担してなかった子を味方にしようと鏡に探させ、暗殺集団の子孫の女の子を引き抜きました!

いぇーい!ドンドンパフパフドンドンパフパフ!心強いね!

私が殺されないか心配ではあるけど、鏡の審美眼を信じよう!


そしてとうとう反撃開始!まず初めに、比較的軽い罰で終わるメイド達の断罪。


みみっちい嫌がらせをしていた子達を集めてわざと世話をさせる。


これがまぁ、最悪だった。

髪の毛を抜かれるわ、顔はこねくり回されるわ、しまいにはスープに虫が浮いてるわ。


嫌がらせのオンパレード、ダークネスパレード、慕人気テーマパークネズミのマスコットでさえ驚くほどのパレードだったよ?

何が言いたいかと言うと、次から次へとよく思い浮かぶね!?って言うくらいやってくれたからだ。


髪の毛を梳かしてわざと数本毛をぶち抜いてくれたメイドに、「いつもお世話になってるから私もお返ししたいわ」と言って、わざと毛を数本ぶち抜いてやった。


「いった!……何をなさるんですか!?」


「あらぁ、ごめんなさいねぇ?力加減を間違えてしまったみたいで……でも…あなた、よく私の髪の毛を数本抜いては髪の毛がこごなっているからこうなるとか言ってたし、私がこうなるのも仕方ないわよねぇ?許してくれる?」


髪の毛をわざと抜いていたメイドの顔が青くなる。

プロのお前がミスるのなら素人の私がミスするのは当たり前。

それに対して怒ったり、誰かに泣きつけば自分もやってグリムヒルデ様は許したのに…という風になる。

つまり文句を言えないのだ。


次に顔をマッサージと言ってこねくり回してくれた奴には、ほっぺたビョーンの罰&顔のめっちゃ痛いツボを押してやった。


「顔のマッサージをありがとう。お礼に私もさせてほしいわ!いいでしょう?」


「え?あ、ありがとうございます……いひゃい…いたっ!いたたたたっ!!」


「あらあら、あまり力を入れてないのだけど…大丈夫?」


「いひゃっ!いひゃいいひゃい!!」


「ごめんなさい、マッサージ中だからか何を言ってるかわからないわ」


終わった頃にはメイドは息絶えだえといった様子だった。


スープの中に虫を混入させたメイドには素知らぬ顔して「いつもスープが美味しいのよ、コック長の腕がいいのね。あなたも食べてみない?」とスプーンを差し出す。


メイドの顔が紙のように真っ白だ。


「い、いいえ…あの、その…仕事中なので…」


「あら、私の好意を無下になさるおつもり?」


逃げようとしたって無駄よ…絶対に逃がしてあげない。

私はにっこりとした笑顔から、真顔になるとスープをスプーンで掬い差し出し。


「そ、そんなつもりは…でも…」


まだメイドは何か言っているが知ったことではない。

自分がされて嫌なことは人にしない、それは常識。

それがわからないのなら、相手の立場に自分が立てばいいのよ。


「ユイ…この子を座らせて」


「はい、女王様」


ユイは素早い動作でメイドを座らせると、逃げられないように両肩を固定する。

さすが、鏡の人選だけある!


「ほら、あーん」


メイドの顔は涙目だ。


「い、いや!離して!やめてぇ!」


「すごい拒絶ぶりね…これはただのスープよ?毒なんて仕込んでないし…」


スプーンがメイドの口元に到達した瞬間、メイドはえづいた。


「うぇぇぇっ…」


ユイがメイドの拘束を解く。

メイドは椅子から崩れ落ち、床にへたり込む。


「も、申し訳ございません…女王様の前ではしたないことを…」


よく見ると体が小刻みに震えている。

そろそろ潮時かしら…?


「あら、いいのよ。体調が優れなかったのに世話をさせてしまってごめんなさい。……あら?スープの中に虫が…大変だわ!私ったら…よかった、あなたが飲まなくて。でも私が気づいてなかったのに……私より先にあなた…気づいてるみたいだったわね?」


メイドの体がより一層震え、床に頭を擦り付けるようにして土下座をする。


「い、いえ!そんなことは全くございません!運ぶ際に不手際がありこのようなことに…誠に申し訳ございません。次からは気をつけます!ですから何卒…何卒!」


「ふふふっ……怖がらないで…?私、怒ってないわ。実際に食べてないし…でも次同じことがあったら…衛生的に心配だから、王様にご報告させてもらうわ。よろしいわね?」


これは脅しだ。次またこんなことがあったら容赦しないぞという、脅し。


「は、はいぃぃっ!肝に銘じます!!誠に申し訳ございませんでした!」


「じゃあ、この食事を片付けて出ていって頂戴。」


「は、はい!失礼致します!」


そう言うが早いかメイドは、サッと出ていった。

作戦は概ね順調!


次に布団に針を仕込んだチュチュというメイドと、よく物をバンッとわざと音を立てて置いていたアマンダというメイドを呼びつけた。


布団の中に20本の針を仕込むと、チュチュというメイドにベットメイキングを頼む。


「えぇ?……はぁーい、わかりましたぁ」


『こいつ、またベットメイキング中に針を仕込むつもりだぞ』


鏡が念話でチュチュの考えていることを耳打ちしてくれる。

というか何でも出来るね!?鏡!

心が読める魔法とか?やっぱ白雪姫に出てくる鏡ってすごいチート級の代物なんじゃ…?


鏡のことは今は良いわ…このチュチュというメイド、白雪姫側のメイドで、ジヴァに仕事をたくさん押し付けてたらしいじゃない?


また針を仕込む?へぇ〜、そう?でもそんなこと出来るかしら?

チュチュの様子をユイが淹れてくれたお茶を飲みながら見ていると小さく「いたっ!」と言う声が聞こえた。


「あら?どうしたの?」


「っ!い、いえ…なんでもありません!」


いつもの間延びしたような声は返さなかった。

何か焦ってるような、そして隠してるような、そんな声だった。


『おかしい!私は針をまだ仕込んでないのになんで!?と混乱しておるな…だが針がベットにあったとなれば騒ぎになってしまう故に黙っている』


そう、堪えるのね…あなたの我慢がどれくらい持つか、見せてもらうわ。


また小さくチュチュから「いたいっ!」と声が上がる。

えぇ、痛いでしょうとも、ちょっと刺さっただけでも痛いのに、そこに寝ていたら私はどうなっていたでしょうね?


ベットメイキングが終わるまであなたは耐えられる?

ひどいと思われるかもしれないが情けなんてかけてあげるつもりはない。


自分の敵に優しくする訳ないじゃない。

しかも私は身に覚えのないことで散々いじめられてきた。

この断罪は私の専属メイドであるジヴァがやられた分と今まで我慢し耐え忍んできたグリムヒルデの分よ!


「ユイ……紅茶のおかわりをちょうだい」


「はい、女王様。ただいまお淹れいたします」


あれからチュチュというメイドの指に針は11回刺さった。

刺さる度に声を抑えているが、誤魔化せていない。

ベットメイキングの手は止まっている。


『なんでこんな目に…他のメイドが仕掛けたの?でもグリムヒルデは何事もなかったかのように過ごしてる…おかしい!なにかおかしいわ!と考えているようだ』


バカね、ベットに針を仕込んでいたメイドはあなただけよ。

そしてこの20本の針はあなたが私のベットに仕込もうとした本数。


「ねぇ、もうお茶を3杯おかわりしてしまったわ…あなたよく見かけるメイドなんだけど、仕事遅いんじゃないかしら?」


いつまでも動かないチュチュを見て、声をかける。

チュチュの肩がピクリとはねた。


「も、申し訳ございません…体調が悪くて…」


『体調を口実に仕事を他の者に押し付けるつもりだ』


「すみませんが他の「ではこのベットメイキングが終わったらアマンダというメイドと交代していいわ」」


チュチュが言葉をいい切る前に、被せるようにして言う。

言わせないわよ?あなたは自分が行なったことについての尻拭いをしてもらわきゃ。


チュチュは歯を食いしばるとベットメイキングをし始める。

さぁ、あと9回耐えなさい。


チュチュのベットメイキングは中々進まない。

手が止まる度に「早く昼食を食べたいのだけれど…」だの「ジヴァと同期と聞いていたけど、仕事が遅いのね」だの「ユイならこんな仕事5分で終わらせるわ」と言ってやった。


ねぇ、見下して舐めていた相手に馬鹿にされる気分はどうかしら?

あなた聞けば子爵の娘と言うじゃない?

生家である辺境伯の娘の私の方が身分は高いのよ?


辺境伯という階級から誤解されがちであるが、辺境伯は隣国や魔物からの攻撃を退け守る、兵力はほぼ王家と同等の力を持つ格式高い家柄だ。

その権力は公爵とほぼ同等。

なぜなら敵になられたらめんどくさいから。


子爵の娘が辺境伯の娘、しかも王家に嫁いだ女王を見下すなど本来ならあってはならないことだ。


バックに白雪姫がついてるから大丈夫だとでも?

白雪姫は自分が悪役になってしまわないようにするのが精一杯でしょうね。


だって童話の白雪姫は清らかで美しい心を持ったお姫様だもの。

制約があると大変ねぇ?でも私の評価はすでに地に落ちているから今更何を言われようが変わらないわ。


「いっ!!」


針が爪と指の間に刺さったらしい。

一際大きな声がチュチュから聞こえる。


「どうしたのチュチュ?なにか言ったかしら?」


「い、いいえ…なんでもございません!」


あと2本で終わるわね?がんばれがんばれ。

ここで耐えなければ18回も耐えた痛みが水の泡だものね?


紅茶を1口、ゆっくりと飲む。

あんまり飲みすぎるとお腹がタプンタプンになっちゃう。

3杯も飲んでる時点で遅いかもしれないけど…ユイの入れてくれるお茶が美味しいんだもの!


「ベットメイキング終わりました…」


やっとの思いでか、チュチュがベットメイキングを終える。

あら?2本の針はどこにいったのかしら?


『2本の針はベットメイキング中に床へ落ちたみたいだな…ほら、チュチュの足元に…』


あのままだと踏むわね……うふふっ…

ちゃんとベットメイキングが出来ているか確認する。

チュチュは針を仕込もうとしていた手を慌てて引っ込める。

バカねぇ…あなた。


「あら?シーツが血で汚れているわ」


「え!?」


私がシーツを見て言うとチュチュは慌てたようにシーツを見る。

多分だが針が刺さった指から血が出て、シーツについてしまったのだろう。


「え、これは…そういう模様かもしれないですし!えーっと…」


誤魔化さないとね?今まで我慢した痛みが全て水の泡。

バレたら大騒ぎになるでしょうね?


「あら大変!?チュチュ…あなたの手から血が…」


無防備なチュチュの手を掴み握る。

そしてさっき指と爪の間に針が刺さった薬指の爪の部分をピンポイントで押す。


「んっ…!」


チュチュはとても痛そうに顔を歪める。

指と爪の間には神経が通っていて、そのを怪我するととても痛い。

前世紙で指と爪の間をスっと切ってしまった時、どうりでめっちゃ、痛い訳だ。


ついでにこの指と爪の間に針を刺すという行為はあまりにも痛いため、拷問としても用いられていた。

辺境伯であるグリムヒルデの生家でも、隣国の敵の口を割らせるため用いられていた。


こんな記憶が役に立つ日が来るとは…世も末だわ。


「あら、ごめんなさい!痛いの?大丈夫?もしかして怪我をしていたの?」


「は、はい…実は…」


「あら、でもおかしいわ。あなたが入ってきた時、そんな素振りを1回もしてなかったじゃない?」


「そ、それは我慢していて…」


チュチュが慌てて言い訳をするが、ユイがその言葉を否定する。


「いいえ、女王様。彼女…チュチュさんは入ってくるとき手から血などは出しておりませんでした。私は人より鼻が利くので間違いありません」


血の匂いが嗅いだだけでわかるとか…あ、王家をも殺せるほどの凄腕な元暗殺団の子孫だものね…それくらいのスキルがないとそんなことできないものね…うん、深く考えるのはよそう。


「ユイの言葉を信じるのなら、チュチュ…あなたはここで怪我したということになるわ。でもおかしいわね…この部屋に危ない物なんてないし…どうやって怪我したのかしら?あなたにはただベットメイキングをしてもらっていただけだし、危ないことは一切させてないのにも関わらず…一体何故かしら?」


18回痛みに耐えたあなたの努力…全部水の泡にしてあげるわね?


「ユイ…彼女を拘束して」


「御意」


言葉を投げかけると、ユイは短く返信をしてチュチュを仰向けに倒し、その上に乗ると手を抑えた。


「ギャッ!…いたい!いたい!やめて!離して!!」


「暴れないで…私だってあなたにこんなことはしたくないのよ?でも…私はこの国の女王。王様の身の回りを世話する不審な者を調べる義務がある、そうでしょ?不審な物が出なかったら私はあなたに謝罪でもなんでもするわ…でも何か出てきたら…容赦はしない」


チュチュはサッと顔を変えた。

元々仕込もうとしてた針に回収した18本の針。

あまりの多さに騒ぎになることは必須。


気づいたみたいね?でも…もう遅いわ。

素直に謝ったら、私だってもっと違う対応をしたわ。


「衛兵!衛兵を呼んでちょうだい!」


衛兵がメイドを調べたところ、メイドのポケットからは21本の針が見つかった。

あなたに刺さらなかった2本の針はサービスでつけておくわね?

ニホンの記憶を持つグリムヒルデより、激情家で残虐的な一面をもつグリムヒルデが活躍する回でした。

この後も反撃は続きます。

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