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泣き虫のメイド

どうも、皆様御機嫌よう!

白雪姫の悪役ことクイーン・グリムヒルデです。

魔法の鏡の存在を思い出し、鏡に問いかけたらなんとメイドに毒を盛られてたことが判明!?


私の顔がやつれていた気がしたのはそのせい!?

ということでまずは解毒して、目指せ健康体!!


メイドさんが怖いけど寝る前にミントティーを淹れるようにお願いしました!

一歩前進!あ、ミントティーに毒を盛られたら意味無いので淹れ立てを飲みたいと目の前で淹れてもらうことに。


「ミントティーがお好きとは知りませんでした、朝食にもミントティーをお出しいたしましょうか?」


メイドさんがニコニコと私に話しかける。

この前とは全く違う対応に、私はメイドさんの顔を2度見する。


この前、薬湯を思いっきりドンって置いていった人だよね?

同じ人だよね?同一人物だよね!?

メイドさんも私みたいに他の魂が入ったとか!?


めっちゃ怪しい……朝食のハーブティーに薬盛られそう。


「い、いいえ。夜だけで大丈夫です……あ、ティーセットだけ貰えれば自分で淹れるので……」


「そうですか……………チッ」


舌打ちよ!ねぇ今!絶対なんか仕込むつもりだったよ!?

また一服仕込むつもりだったよね!?


やっぱこの王城の人達は信頼しちゃいけないみたい…

メイドはミントティーを淹れると静かに退室していった。


信頼できるのは私と______


『絶対ハーブティーに毒盛るつもりだったな…腹痛を起こすとか程度の可愛い毒だか』


この鏡くらい。


「いや!毒に可愛いもクソもないじゃない!?嫌だよ!ベットの次はトイレと仲良くしろというの!?」


『…ふっ……ふはっ…ト、トイレと仲良く……くっははは!』


何笑ってるんだ、こいつ……

というか笑いのツボ低すぎない?

あれからずっと一緒にいて、メイドに見られないように話しているが、無機物なのに感性が豊かだ。


なんなら私の魂が融合する前のグリムヒルデより豊かかもしれない。


ミントティーの爽やかな匂いが鼻腔を突き抜ける。

日本の記憶をもつ私はミントティーに偏見を持っていた。

ミントの匂いが苦手だったのに……おいしく感じる。

グリムヒルデの味覚に寄ったのかな?


「いつまで笑ってるの、鏡」


『くっ……だって、トイレと仲良しなんて…表現が!秀逸だっ!はははっ!』


唯一の味方である味方がこの笑いのツボが浅い鏡…

この先、大丈夫なのだろうか?


「はぁ……いい加減落ち着いてくれない?……鏡よ鏡…私の体調はどれくらい回復してる?」


『ふぅ……グリムヒルデ、お前の体調は前よりからよくなっているが、毒によって胃が弱まっている。刺激の強い食べ物は控えるように。』


「はーい」


胃が弱まっているか……触診もなんもしてないのに的確に私の体調を測れるなんてすごいなぁ…なんて改めて思う。


『あ、そうそう。体にある毒を効率よく排出するために汗をかいて、水を飲むことも心がけるようにな』


「あぁ、デトックスをすればいいのね?わかったわ」


『でとっくす?なんだそれは?』


「え?あー…そうか、この世界にデトックスって言葉ないのね…えーっと、水分をとることによって血流がよくなって老廃物とかを排出させる、デトックスは解毒っていう意味よ。」


『ふむ?血流か…よい着眼点だな。魔法による気の巡りは血流を意識してというし、人の血流と魔法は何か関係性があるのかもしれない!』


鏡はたまにわからない単語を聞くと、すごくその話を聞きたがる。

好奇心旺盛というか、マッドサイエンティスト気質というか………


さて、今日はもう遅いし寝よう!

お布団にいそいそと入り込もうとすると鏡が私を止める。


『グリムヒルデ、今日はベットじゃなくてソファで寝た方がいい。』


「え?なんで?ベットがあるのに…」


『ベットに針が仕込んである、そのまま寝たら多分刺さるぞ』


「えぇっ!?」


スープや薬湯に毒を混ぜ込むようなメイドである、充分にやる可能性はある。


その日、私は鏡の言う通りにソファで寝た。

王城のソファは高級品であるため、大きくてフカフカで寝れないという不安は夢の中に溶けて消えた。


朝起きて身支度をすると、メイドが洗顔用の水を持ってくる。

洗面器の中には氷水が入っていた。

普通こういうのってぬるま湯とかを持ってくるんじゃないの?まぁ…熱湯じゃないだけマシだけど…


日本にいた私は水で顔を洗って目をさましてたけど、氷水は異常だ。

夏だったらいいけど、季節はまだ肌寒い春である。


やられた本人は嫌がらせと認識できるけど周りの人から見たら、私がメイドに嫌がらせをされているなんて風には見えない。


さて、どうしたものか……こんな凍ってしまいそうな水で顔を洗うとか苦行なんだけど…。


仕方ない……私は立ち上がると洗面器を受け取る。

ベットに腰掛けようと歩くと絨毯に足をとられた。

しまった!転んじゃう!

目をギュッと瞑って衝撃に耐える。

転んだのはフカフカの絨毯のため、そこまで痛くなかった。


私は持っていた洗面器の水をメイドのスカートにぶちまけた。


「きゃっ!?冷たいっ!」


「あっ!ご、ごめんなさい!そうよね、この洗面器に氷とか入ってたし、冷たかったわよね!?大丈夫?ここはいいからお風呂場に……風邪をひいてしまうわ」


「え……?」


しまったぁぁぁぁ、バカバカバカバカ!

洗面器に氷水が入ってるの知ってるって言ったようなもんじゃない!

わざとやったって思われるかも!

でも、絨毯が寄ってて躓いちゃっただけでわざとじゃないのぉぉ!!


というかずっとこのままはメイドさん風邪ひくって!

いつも嫌がらせしてくるし、あんま好きじゃないけど…だからってそれとこれとは別!!


「ちょっと誰か!いないの?来てちょうだい!」


ベットの脇にあったテーブルの上の呼び鈴を鳴らす。

ほどなくしてそばかすの可愛らしい赤毛のメイドが面倒くさそうに入ってくる。


「はい、お呼びでしょうかぁ?」


欠伸をしながら、用件を聞いてくるメイド……

このメイドさんより勤務態度わっる!?

いくら嫌いでも雇用主の奥さんで、この国の女王に対してこの態度はなくない!?


まだお水かけちゃったメイドさんのほうが態度に出てないだけマシに見える。

いや、雇い主の(以下略)に毒を盛る時点でアウトなような気がするけど。


「このメイド……」


『アマンダという名前みたいだぞ』


「え、あ、アマンダに水をかけてしまって、このままじゃ風邪をひいてしまうわ。急いでこの子をお風呂に連れていってあげてちょうだい。」


基本無表情のメイド、アマンダさんは名前を呼ぶと驚いた顔をした。


赤毛のそばかすのメイドさんはアマンダさんをチラリと見ると、「りょうかいでぇ〜す!」とやる気なさそうにアマンダさんの手を引いて退室した。


今人がいるのに話しかけてこなかった?

鏡が話したよね?メイドにバレたよね??


鏡がいる奥のウォークインクローゼットを開け放ち、鏡を揺さぶる。


「何話してるの!?バカなの?バカバカバカバカ!メイドに鏡の存在がバレちゃうじゃない!もしバレでもしたら何されるかわかったもんじゃないのよ!ねぇ!」


『あ〜!わかってるわかってるよそんなこと。やめろ、揺さぶるな!割れたらどうする!?そんなヘマをすると思うか?メイドにバレないように念話で送ってやったんだ。声が聞こえてるならメイドが反応したはずだろ?でも何も言わずに出ていった、それが証拠だ。』


私は鏡を壁に立てかけ直す。

少々取り乱し過ぎた。


鏡はやれやれと言ったふうにさっきの説明をはじめる。


『さっきのは念話と言って魔法の力を持ってる奴に周波数を合わせて脳内で言葉を交わす魔法だ。人によって魔法の周波数は違う。難点は魔法を持っている者としか話せないということだ。』


なるほど、つまり日本の記憶を持っている私で言う……


「電話みたいなものか……」


『デンワ?なんだそれは?』


あ、しまった。また思ってること口に出しちゃった。

話し相手が鏡しかいないから、独り言が多くなってる自覚がある。

一人暮らしの人がついつい独り言を言ってしまうのは孤独を紛らわすためだとか……いや、深く考えたら負けな気がする。


「電話っていうのは話したい人の番号を知っていればその相手と話せる機械みたいな物…かな?改めて何?って言われると当たり前に使ってたから仕組みみたいなものはちょっとわからない…」


『なんと?機械でそんなことが出来るのか!?では魔法の力を持ってない者でも使えるのだな?』


「うん、機械さえ持っていれば誰でも…公衆電話って言うのもあって」


『コウシュウデンワ?それはさっきのデンワとは何が違うんだ?』


やばい、魔法の鏡の質問攻めが始まっちゃった…

こうなったら止められないや…


「公衆電話はお金を入れれば誰でも使えて、外に置いてある電話のことよ。」


『なんと!誰でも使えるのか!?特権階級の者しか使えないなどの制約なく!?』


「う、うん、誰でも使えるよ…」


鏡が口を開こうとした時、コンコンと部屋のノックがされる。


「グリムヒルデ様、失礼致します…」


やばい!誰か入ってきちゃう!

急いでウォークインクローゼットから出ると、扉を閉じて椅子に座る。


「え、えぇ…どーぞ!」


何事もなかったかのように優雅(私の中で)に座ってメイドに微笑みかける。


「洗顔用のお湯をお持ち致しました…朝食の準備も出来ております。朝食はいつも通り部屋にお運びするという形でよろしいでしょうか?」


「えぇ、ありがとう…」


見たことの無いメイドさんだ。

今までのメイドさんと比べ物にならないくらい物腰の柔らかい焦げ茶のくせっ毛にエメラルドグリーンの目が印象的な少し幼い印象を受けるメイドだった。


洗面器の中からは湯気がホワホワと出ており、触ってみるといい温度だった。


「あなた、見ない顔ね?新人さん?」


「あ、はい!ジヴァ・プリムと申します。よろしくお願い致します!」


そういうと腰を90度曲げて頭を下げる。

ここに来て新鮮な対応だ。

いつもご飯を持ってきたりするメイドは頭をぺこりと申し訳程度に下げると、おぼんをドンっとわざと大きな音を立てて置いていくからなぁ〜…。


ついつい思い出して遠い目をしてしまう。


「グリムヒルデ様、いかがしましたか?まさか…私、なにか粗相を…?」


そういうとジヴァはカタカタと震える。


「…え?あ、いやいやいやいや!粗相なんて!お辞儀がすごく綺麗だなぁって思って!」


そうだ、私すごい悪役顔だったんだわ。

気をつけないと、すぐ誤解されちゃう!


にこやかに、にこやかに〜。

怖くないよ〜、怒ってないよ〜!だから震えないでぇ〜。


「お辞儀が……綺麗?あ、ありがとうございます!私、田舎者だから礼儀作法とかまだ全然拙いんですけど!これからも頑張ります!」


「え、えぇ…」


なんかジヴァさん泣きそうな顔してるんですが!?

どうすればいい?ねぇ?鏡、どうすればいい?


『………………』


無視しないで教えてよぉぉぉぉぉ!!!


「グリムヒルデ様…私、グリムヒルデ様の所に来る前、同じメイドの方に脅かされたんです。グリムヒルデ様は白雪姫様を虐めるような陰険な方だと。少し粗相をするだけでも顔を鬼のようにするって……でも、見て思いました。グリムヒルデ様は挙動不審な田舎者の私を褒めてくださいました。単純かもしれません、でも私はグリムヒルデ様の味方です。」


お、おう?そんな噂されてたんだ。

道理でメイド達から冷たい目で見られると思ったら…

というか私、白雪姫を虐めるどころか!全く話したことないし!

接点ないんですけど!


なんでって?死亡フラグだから徹底的に避けてるに決まってるじゃん!

噂の出処どこよ!?火のないとこには煙は立たぬ?

誰だ火元は!?出てこーい!


このジヴァっていうメイド、素直な子だなぁ…

面と向かってこんな悪口を聞いてきたんです!って、噂通りのグリムヒルデだったら普通にお仕置とかしてたよ?


誰も信用できないこの王城で、世話をしてくれるメイドを選べるならこの子みたいな子がいいなぁ〜…


いや、この子にしちゃえばいいじゃん!

白雪姫とか専属のメイドとかいるし、私も専属のメイドを作って!

名案じゃない?


「ねぇ、ジヴァさん…あなた…私の専属のメイドにならない?」

ブックマークしてくださった方、本当にありがとうございます!!

まだまだ書き始めたばかりですが、がんばって書こうと思ってますのでよかったら完結までお付き合いしてくださると嬉しいです!

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