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天然オパール

次に名乗りを上げたのは、糸目のヒョロっとした人の良さそうな商人が名乗りを上げた。


こういう糸目の人って結構やり手みたいなイメージあるけど、この人はどうだろう?


「私の名前はフォックスと申します。私めからは、こちらの宝石を」


そう言うとフォックスは虹色の宝石のネックレスを恭しく掲げる。

これは…なんて素晴らしいの!

一目見ただけで素晴らしい品だとわかる。


『これは素晴らしいな。この国ではまだ出回っておらず知名度は低いがこの輝き、純度、大きさ。偽物のオパール、ブラックオパールなどは繋ぎ目が直角になっているが、ルーペで見ればよく分かるだろう。天然のオパールはオパールでも暖色が多いオパールは特に珍しい。』


なんと!そんな物を初っ端から出してくるとはフォックス…恐ろしい人!

これは買いだわ!この国ではまだ出回ってないということは、この天然のオパールを所持してるのはこの国で私だけということになる。


「いいわ、その宝石のネックレス。あなたの言い値で買い取りましょう」


「は、はい!え、えーっと、10万ボニーになります!」


え?10万ボニー?これは安くない?

魔法の鏡が絶賛するくらいの品なのに?たったの10万ボニー??

私の金銭感覚がおかしいの?

でも貴族であるグリムヒルデの経験が、この宝石はもっと高くて良いと告げる。


グリムヒルデは思わず魔法の鏡に念話で尋ねる。

「鏡、この値段は安すぎない?」


『あぁ、低く見積もっても35万ボニーはする品だ。何故こんな安い値段を提示しているのかわからん』


だよねぇ、安すぎるよね?

だってまだこの国には出回ってない未知の宝石よ?


「安すぎるな?それは私の掲げる正当な取り引きに相反する。もっと値を吊り上げよ。」


グリムヒルデがそう口にすると、フォックスは糸目を見開いた。

見開いてもあんま目の開き具合は変わらないが…


「で、ですが…」


「この国ではまだこのような宝石は出回っていないだろう。つまりこの宝石はこの国での最先端を行く。そんなものを女王である私がたったの10万ボニーで買ったと知られたら私の名前に傷がつく。貴族にもバカにされるであろう。」


フォックスが生唾をごくんと飲み込んだ。

「で、では35万ボニー…」


「50万ボニーだ。50万ボニーで買い取ろう」


「えぇ!?」

とうとうフォックスは目を剥いた。


「35万ボニーはこの宝石の最低価格、それにこの国での希少性とそんな希少な品を持ってきたフォックス、あなたの審美眼に対する正当な報酬よ、受け取りなさい」


「……は、はははいっ!」


フォックスはビシッと居住まいを正すと、直角90°の礼をした。


コンコンと広間の扉を叩く音がする。

「失礼致します、ジヴァを連れて参りました」


「ありがとう。ユイ、入りなさい」


しずしずとユイとジヴァが広間に入ってくる。

ジヴァの顔色は昨日に比べるとよくなっている気がする。


「今、買うものが一つ決まったところよ。ジヴァ、昨日はよく寝られたかした?」


「は、はい…昨日はお休みをいただきありがとうございます。たくさん寝ました!」


「そう、それならよかった。ユイ、お金は準備してある?」


「はい、ある分を女王様の宝庫室から詰めてまいりました。…ですが、記録を見ると500万ボニーあるはずなのに少ないような…私の見落としかもしれませんが…」


「では、こちらのフォックスという商人に50万ボニーをお支払いして」


「かしこまりました」


そういうとユイは50万ボニーの入った袋を担ぐとフォックスの前に置く。


「こちら50万ボニーになります」


「あ、ありがとうございます…」

見るからに重そうな袋を軽々と持ち上げるユイをガン見するフォックス。

まぁ、そうなるよねぇ…。


フォックスが袋を持ち上げようと袋を掴むが持ち上がらない。

顔を赤くして一生懸命引っ張っているが1ミリも動かない。


「台車に乗せてあげてちょうだい」


「かしこまりました。フォックス様、失礼致します」


またもやユイは軽々と50万ボニーの金貨の入った袋を持ち上げると台車に乗せる。


「ど…どうも…」

フォックスは肩を落とし、一礼すると広間を去る。


その背中にグリムヒルデは声をかけた。

「またなにか珍しい宝石が手に入ったら私の所へ来なさい。希少な品ほど良いわ!」


フォックスは振り向き一礼した。

「はい、その時は女王様の所へ伺わせて頂きます」


糸目でわかるはずもないのに、その目は確かに輝いてるように見えた。


この宝石はこの国には出回ってない希少な物。

それを盗んだメイドが白雪姫に手渡し、それを身につけたとしたら?

大問題よねぇ…?今までならどこにでもある宝石だもの。

言いがかりだ、心優しい白雪姫がそんなことする訳が無いとこっちが糾弾されることだろう。


この天然のオパールの首飾りは探されたら見つかりやすいような所に隠しておきましょう。

うふふふっ…まさかこんな引っかかりやすい罠に引っかかるだなんて思わないけど…。


さて、予算の半分も使ってないわ。

次はどんな品物が見れるのかしら?


「次に品物を見せてくれる者は誰だ?」


3人の商人を見ると、凛々しい顔つきの中性的な商人が一歩前に出る。


「女王、グリムヒルデ様に挨拶申し上げます。隣国から参りました、ヨハネスです。よろしくお願い致します」


そう言うとヨハネスはグリムヒルデに近づき、傅くと手の甲にキスをした。


うわぁぁぁ!キザだぁぁぁ!キザ野郎ぅぅ!!でもサマになってる!


というか男装してるだけでよく見ると喉仏ないし、肩幅が狭いし、女の人?

宝塚に出てくるおとこがたの人みたい。


『気付いたみたいだな、そうだ。こやつは女だ。隣国では男が家事をし、女が外で仕事をするという文化が根付いている。男が仕事をする時は嫁が身篭った時という面白い文化だな。』


鏡は感慨深そうに念話で私に耳打ちする。


「女であることは隠しているのかしら?」


『いいや、特には隠してないみたいだ。』


「そう」


女の人に手の甲をキスされるのはノーカンよ、ノーカン。

うんうん…と誰に言う訳でもない言い訳を頭で並べ、何事もなかったかのように手を膝の上に戻す。


「さて、ヨハネス…あなたは私に何を見せてくれるのかしら?」



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