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仕方のない犠牲

優side

 

 走り出してしばらくしたころ、銃声が聞こえてきた。

銃声のほうを向くと、大量の感染者に囲まれたさっきの男の人たちがいた


「おい、あれはどうする?」


 銃を片手に、私に向かって一緒に来た男の人が問いかけてきた。

私は刀を持ったまま、こう返した。


「何のために来たか考えないと、行くわよ」


 そうして私たちは感染者の群れに駆け出した。


男side


 一緒にいればいるほど、気が強い女だと感じた。

俺が渡した日本刀がこれほど似合うやつは見たことがない。


 ゾンビどもの群れにつき、俺は注意をこっちに向けるためにデザートイーグルを近くにいたゾンビの頭に発射する。

その音で群れの標的が俺に切り替わり、襲い掛かってきた。


「行くぞ!優!」


 戦ってたやつから引き離すように銃を撃ちながらその場から離れ、広場で俺は戦闘態勢を整える。

近づいてきたゾンビの足を引っかけ、転ばせると俺は銃をリロードして倒れたそいつの頭を正確に撃ち抜く。


 優は冷静に近づいてくるゾンビの首を日本刀で切り落としながら、間合いに入ってきたやつは蹴りで吹き飛ばしていた。


 そんな優の活躍を横目で見ながら、俺たちは確実に感染者の数を減らしてきていた。

俺が最後のリロードをしてゾンビを殺し、優が蹴りで頭を吹き飛ばし、長い戦いは終わりを告げた

息つく暇もなく、俺たちはさっきまで戦っていたやつらの方に走り出した。


優side


 さっきまで戦っていた人たちに待ち受けていた運命は、とても残酷なものだった。

二人のうち一人が、腕にかまれた痕をつけていたから......


「容赦はしないぞ」


 マグナムをもって、隣にいた彼がかまれた人にそう言う。

私は彼を止めるために前に立った。


「意見くらい聞いてもいいじゃない......」

 

 さすがにためらいを感じない彼に驚きながら、私は仁王立ちを続ける。

彼は銃を下ろして、ため息をついた。


「どうなるかなんて、お前にはもうわかってるんだろ?噛まれたらこうするしかないんだよ。」


 たしかに、彼の言葉に間違いはなかった。

悔しさで拳を握るけれど、すぐに拳を元に戻し仁王立ちをやめる。

隣に立ち、私はおびえている彼らに優しく話し始めた。


「ごめんなさい......私たちがもう少し早ければ、こんなことにはならなかったかもしれないのに......」


 すると噛まれた男の人は覚悟を決めたかのように立ち上がり、一言言った。


「いいんだ、お前たちが無事ならそれでよかった。」


 すると自分の持っていた銃で頭を撃ち、彼はその場に倒れて動かなくなった。


「これが、正しかったのかしら......」

「仕方のない犠牲だ、もういい、行くぞ。」


 感染した人を殺そうとした彼は冷たく言い放ってマグナムを腰に仕舞い、さっき来た道を帰り始めた。

生き残った一人を残し、私も後に続く。

見えなくなる刹那、つぶやくように「無事に生き残って」と言い残し......









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