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第二の人生

優side


「う~ん、もう朝なのね......」


いつものベッド――少し硬いけれど寝心地は悪くない避難所のベッドで私は目を覚ました。

隣のベッドには真奈美がまだぐっすりと眠っている......


「真奈美、起きてご飯食べましょ」


私は真奈美を起こしてみるが、「う~」と声を上げるだけでまだ起きそうではない。


仕方なく私は部屋の扉を開け、廊下に出る。

喫煙所ではお父様がタバコを吸っていた

私は未成年だから中に入れないけれど、ガラス越しに手を振ってみる

すると、お父様がタバコの火を消し、喫煙所から出てきた


「起きたんだな、真奈美は?」

「まだ寝てるわ......」


そんな真奈美のうわさ話をすると、私が出てきた部屋の扉から、眠そうに眼をこすりながら出て来る人影が来た。

「おはよぉ、優に、大毅さん......」


まだ寝起きのかすれた声で、金沢真奈美__私の幼馴染がそう言った

真奈美は昔から寝起きが悪く、寝癖を直そうともせず長い金髪を晒している。


「真奈美、寝ぐせついてるわよ。」


そういって私は真奈美にくしを渡す。するとゆっくりとしたペースで真奈美はくしを髪にあてて撫で始めた

真奈美がくしで髪を直し終わった頃、放送が流れる


【おはようございます。朝食の時間です

 皆様は起床して、食堂へ向かってください。

 1から10の班の方は第一食堂、11から21班の方は第二食堂に向かってください。】


私がひそかに楽しみにしている、食事の時間を告げる放送だった

「行きましょうか!」

冷静に言おうと思っていたけれど、やはり楽しそうな感じが二人に伝わってしまったかもしれない


「やっぱりこの時間の優、楽しそうだよね。」


微笑みながら、真奈美はそう言う。

私たちは、第一食堂に向かうことにした。


真奈美side

一年前、優は希望を失った。

その時の優の雰囲気は、今でも忘れられない。

悲しみに満ちた顔、握りしめた硬い拳はこの世界に対する反抗を意味していたのだろう。



――私も。――



そんなことをぼーっと考えていると、優に頬をつつかれる。

「ほら、ご飯食べなさい。何ぼーっとしてるのよ」

以前とは違う、笑顔を取り戻した優を見て、寝起きながらにいろいろ考えてしまった。

「あ、ううん!なんでもないよ。」

自分だけの悲しい気持ちを押し殺すために、胸に手を当てて優しく擦る。

落ち着いたことを確認して、うちはみんなと朝食を食べ始めた......


――優、元気になってよかった――


心の底から、私は思わず緊張感が緩んでしまった。








次の緊急放送で流れてくる、ニュースを見るまでは――






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