人魚姫の一日
おもしろいといいなぁ←眠い
赤ずきんと呼ばれる少女を知っているだろうか? 有名な童話である。知っているものも多かろう。そう、今日、長老の座を引き継いだばかりの、今年で16歳になる、彼女いない歴=年齢である女の子は言った。
やんちゃな子や、いつもドロだんごでお店屋さんごっこをしている青年。はたまた、お医者さんごっこをしている子などもいる。彼らも珍しく彼女の話に耳を傾け、集中している。
彼女は、そんな彼らを満足そうに見渡すと、続きを語り始める。
「赤ずきんは、とてもいい子でした。とっても、とっても。すごく、かなり、ヤバいくらいっ! ごほんげふん」
なぜか、唐突にむせる村長になったばかりの少女。決して、物語の中で性格のいい主人公の女に敵意を持ったわけではない。ないったらない。
「おばあちゃん、いえ、この場合は……祖父? んぅ、祖母だったかしら? 曾祖父って言っておけば大丈夫ねっ! --あっ、えーと、曾祖母のお見舞い、あ、えとね……そう! 具合が悪いの! に行くようにお母さんに頼まれた赤ずきんは……」
いやいやいやいや! ちょっと待てぇい! いろいろおかしいから! まず、おばあちゃんは祖母だから! たぶん、誤魔化したかったやつは祖父母だから! 曾祖父じゃ代あがちゃってるから!はぁはぁはぁ、いけない。語り部ということを忘れてつい突っ込んでしまった。気を取り直してっと。(ここの部分は読んでない、いいね?)
「ワインとフライドポテトをお見舞いの品として持ち、よく遊んでいる漁師のおぢさんたちを引き連れ、さながらパレ―ドのように、森の中を行進しました。赤ずきんたちが通った後には草木一本残らず、広大な砂漠が広がっているのみでした」
おいおいおいおい! 赤ずきん随分とジャンクなものお見舞いの品で持ってくなぁ! 病気なんだろおばあちゃん! しかも、砂漠化進めんのやめて!? 通っただけで砂漠にするとかそれどこのアニメキャラだよっ!
「村人たちは、赤ずきんたちのことをレッドフーズと恐れ、信仰していました。普段の赤ずきんは漁師のおっさんたちのバイクの後ろに乗り、時代錯誤のパラリラパラリラという奇怪な音とともに夜の森に繰り出す不良少女だったのです!」
です! じゃないわっ! その時代にバイクとかねぇから! ポテトもだけど!? レッドフーズってどこの暴走族だよ!? あ、森か。健全だな、おい!? でも二人乗りは法にふれるからやめような!
「まぁ、それはともかく(これで赤ずきんは悪い女の子、うふふ)、おばあさんの家にたどりついた赤ずきんはどうやっておばあさんを自然死にみせて殺すか必死に考えました。想像してください。優しい笑顔で迎えてくれるおばあさん。広がる草原。迎えにくるかわいらしい天使たち。そのあとは嬉しさも喜びもない憂いと苦悩に満ちた世界で幸せに暮らせるのです」
そこのどこが天国なのか説明してもらおうか!? それになんでちょっと涙ぐんでいいお話っぽくしてるんだよ! しかも、これじゃ赤ずきん単なる殺人犯じゃねぇか!
「赤ずきんはついに真理にたどり着きました。安楽死こそが心理的に安らかであると」
なにをうまいこと言ったみたいな顔しとるんじゃ! 真理と心理かけてその最悪な答えってどういうことやねん……。あ、田中君、座布団一枚彼女にあげて。
「そこからの行動は迅速でした。まず、犯人だとばれないように、自分の手を汚しことは避けます。そして、利用するのはオオカミさんです。無防備な少女を演じてオオカミさんを誘導します。いつの仲良く夜のイ・ケ・ナ・イ遊びに付き合わせてる漁師さんたちにも協力を取り付けていざゆかん、屋敷の中へ!」
夜のイケナイ遊びってなんなんですかねぇ! なんでそんな意味深に言うんですかねぇ! 単なるバイクの乗りまわしのことなんだよね? そうだよね、そうだと言って! 突っ込みどころ多すぎて突っ込みきれないんだけ――。ごほっ!
「さて、邪魔者も消えた消えたことですし、ラストに行きましょう。赤ずきんが部屋に行くと、妙に膨らんだ布団。まぁ、単に肥満なんですけど。オオカミさんをけしかけておばあさんを退治します」
「犬、サル、雉と呼ばれている漁師三人が、赤ずきんにポテト一本を与えられ、後処理をします。赤ずきんはその時初めて泣くことができました。赤ずきんは知ったのです。泣くことを。悲しむことを」
「赤ずきんは感動に打ち震えて泣き、昨日までで、劇団の子役募集が終わっていたことに悲しみました。あたしの顔と頭脳があれば、一儲けできたのに、と。おしまい」
「お父さんどうだった?」
「完璧だったぞ、さすが私の娘だ」
娘のそっけない態度に焦ったお父さんが必死に娘の機嫌をとる。
「あんたらとかマジないし、ちょーウケルんですけどぉ~」
赤ずきんのお話を聞いていた子たち(童貞独身20代)はすさまじいダメージを負う。黙って聞いていた子たちもなきだした!(童貞独身20代)
村長娘はチョウシュウを倒した。
レベルが1上がった。
サイコパススキルの熟練度がMAXになりました。
「じゃあ、いこ!」
そんな村長娘に引きずられて私こと村長娘の奥さん兼奴隷は引きずられて行くのだった。人魚姫である彼女は元人魚である私にだけ本性を見せるのだ。彼女は何を思ったか、嗜虐的な笑みを浮かべてこちらを見つめた。
おしまい。
村長娘「今日はどんなプレイしよっか?」
人魚娘「ひぃっ!」
ありがとうございました!