涼の助け。「荒神」現る。
前回ピンチだった紗々羅を助ける涼のエピソードになります。
蛇の化け物に押しつぶされている紗々羅。
涼が指で口をピーと鳴らす!
すると武将の様な鎧を纏った式神を召喚した。
そう、涼は「式神使い」なのだ。
「荒神!!行けぇ!!!」
叫ぶ涼・・・!!
荒神と呼ばれる式神は俊足の速さで
邪神に刀で切りかかった!!
「ぎえええええええ!!」
断末魔の様な邪神の叫び声。
同時に紗々羅から体を離し、のたうち回る。
紗々羅は息も絶え耐えに咳をした。
「ごほっごほっかふっ・・・!!!」
血痰が口から一滴零れるも身体は無事。
涼が紗々羅にかけよった。
「大丈夫か、紗々!!無茶をするな!!
何で1人で戦おうとしたんだよこのボケナス!!!」
心配する気持ちと怒る気持ちが同時に湧いて出た言葉だった。
一瞬カチンときた紗々羅は下を向いて「余計なお世話よ・・・。」と呟く。
その言葉を聞いた瞬間苛立った涼は紗々を睨み付けながら、
軽く左頬にビンタをした・・・。
ばしっ!!
きょとんとした幼子の様な顔で涼を見上げる。
すると、涼は涙を浮かべた目をしたいた・・・。
「心配・・・しただろが・・・阿呆・・・。」
「ごめ・・・。ごめんね・・・。涼・・・。」
紗々羅は涼の手をそっと握る・・・。
「・・・・・・離せバカ・・・。今はそれどこじゃねえだろが。」
涼は後ろを振り向き、邪神の方を見た。
邪神は荒神という式神と接戦していた。
暴れまわる邪神に刀でぶった切る荒神・・・!
ずわっという破裂する様な音がして白い体から
真っ赤な鮮血が飛び散る・・・。
邪神は声を出すことも出来ずに朽ちる様にその場に
倒れ込んでしまう・・・。
ピクピクと痙攣する邪神・・・。
残虐な化け物でも死に際は哀れだった・・・。
紗々羅はじっとその様子を見ている。涼もまた同じく・・・。
暫くすると邪神は、蝋人形の様に白くパキパキと固まる。
そして、パラパラと粉塵の様に朽ちていく・・・。
残骸はもう白い粉だけになった。
「1匹・・・。仕留めた。今回は一応俺の手柄だな。」
「・・・私の方が先に手だししてたのに何か酌ね・・・。」
紗々は膨れっ面をする。
そんな紗々の左頬をつねる涼。
「叩いたりつねったり、忙しいな俺も・・・ふう。」
「痛い・・・。もう!!だから涼、キライ!!」
普段は毅然とした態度の偉そうな紗々羅も涼の前では
恋する乙女の様に純粋・・・というかややブリッコ(笑)になるようだ。
静かな静寂が戻り、涼は紗々羅に神社の中に入るよう促す。
「戻ろう。今日は疲れただろ・・・。俺も寝るし。」
「私・・・まだ宿題残ってた!!げ!!」
「手伝ってやるよ。何の課題だよ。」
「1人で出来るわよバカ!!」
「可愛げねえ・・・・・・。助けなきゃよかった。」
「何よもう!!」
「お姉ちゃんたち何してんの?こんな真夜中に・・・。」
妹の庵南が起きてきてパジャマ姿でポカンとしながら立っていた。
「いーから!もう寝て!!」
膨れっ面で妹に怒る紗々羅はやはりまだどこか幼い様子・・・。
その頃、上空では天帝軍の長、「御ヵ月ノ夜空」が佇んでいた・・・。
「贄は・・・どうやら今回は失敗だな・・・・・。
久しぶりにまた人間の臓物が食べたかったのだがな・・・。」
ゾッとするようなセリフを吐く天帝の長・・・。
「ササラ・・・・・・。今はかように儚げに脆い姿をしておるのか。」
白い酒を吞みながら一言不愛想に呟いた・・・。
やっと本格的な戦いになります。
次回以降、また仲間の新キャラが増えるかも・・・?