金仙の葛藤。
前回からの続きです。
そして、今回は庵南サイドから書き綴りました。
紗々羅は家に連れ帰った子猫のみやびに新しく名前を付けてあげる。
「みやびだから「みーや」ね。可愛いでしょ?」
「にゃ~ん。」
紗々羅の腕の中で伸びをしながら嬉しそうに鳴く子猫。
名前が気に入ったのか、ご機嫌そうな様子だ。
「この子を見てるとね・・・。」
紗々羅がふと何かを言い出した。
「え?どうした?紗々。」
涼が目をきょとんとさせて不思議そうに聞く。
「何か・・・。庵南を思い出すのよね。
いなくなっちゃうとこや、人懐っこいところが
あの子も猫みたいな子だったなって・・・。
この子みたいに私の傍に戻ってきてくれないかなって・・・。」
一瞬、涙ぐみそうになり、目を拭った後、きっと前を向く。
「庵南・・・。きっと戻ってくるよ。無事に・・・。
きっとってか。絶対。取り戻そう!!みんなで。」
グッと拳を上に持ち上げて得意げな顔をしてみせる涼。
「そうだね・・・。頑張ろう、私達・・・。」
その頃、南の神殿に氷漬けにされていた庵南は・・・。
(苦しい・・・。おねえちゃん・・・。たすけて・・・。)
眠りにつきながらも姉に助けを求める様に涙を流す。
その様子をずっと監視する様に命令を受けている金仙。
「何だか・・・。可哀想になってきたな・・・。
御ヵ月ノ夜空様もむごい仕打ちをする・・・。
相手はまだこんなに小さな娘なのに・・・。」
彼女の顔を見上げてこう続けた・・・。
「いつか。きっと助けがくるさ。君の姉や仲間たちが。
でも・・・。それを打ち砕くのも僕の役目・・・。
君に辿り着けるか否かは僕にかかっている・・・。」
(・・・あなたは・・・。私をどうしたいの・・・?)
心の声で金仙に話しかける庵南。
「出来る事なら・・・。解放してあげたい・・・。
でも、それは無理なんだ・・・。君の力は強大すぎる。
その穢れのない力を、御ヵ月ノ夜空様は恐れているんだ。
そして、君の姉君も・・・。」
(おねえちゃんは・・・?無事なの・・・?)
「大丈夫・・・。彼女は無敵の女神の生まれ変わり・・・。
どんなことがあっても負けないと思う・・・。」
(ありがとう・・・。いっぱい、お話してくれて・・・。
あなた・・・、いい人だね・・・。)
「君を閉じ込めた身なのに・・・。全然いい人じゃないよ、僕は。
だから君は穢れのない女神なんだ・・・。」
蕩ける様な眼差しで庵南を見つめる金仙・・・。
彼は今後どうするのか・・・。
続。
段々と庵南に惹かれていく金仙・・・。
彼は今後謀反を行う予定です・・・。
今後どうなるか。お付き合いくださいませ。




