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ササラガミ  作者: 薫姫
20/23

みやびちゃんと名乗る幼女。その3

みやびちゃん編は今回で終わりです。

「どう?少し楽になってきた?」

紗々羅は治癒の術を使いながら尋ねる。


「・・・ああ。ありがとう。まだ少し腹の辺りが痛むけど、

少し動けるよ・・・。それより・・・。」


「ああ。わかってるわ。あの子でしょう?」


「あの子・・・敵だよな。・・・。俺・・・。」



2人は幼女を見やる・・・。


竜巻の渦の中でもがきながら白骨化していく幼女の姿を。


「可哀想だな・・・。俺は・・・。何もできなかったよ。

あの子が比奈子に重なって見えて・・・、苦しめなかった・・・。

あんな小さな子に暴力なんてふるえない・・・。」


「勇丞くんは優しいから・・・。あの子は不死の術・・・。

呪いの術をかけられて操られていたのよ、きっと・・・。」


苦々しい顔で言う紗々羅。


「あんな小さな子まで使って・・・、どこまで陰険な

嫌がらせしてくるんだよ、天帝軍の野郎共・・・!!」

勇丞も傷の痛みだけではない心の痛みで苦痛に顔をゆがめる。


「もうじき・・・あの子は完全に死ぬ・・・。

一度死んでから呪いの術で生き返らされただけよ。

自然に還れて幸せになれる筈よ・・・。」


白骨化して息絶えた幼女・・・。

その子の死骸から何かが出来上がる・・・。


「?!」

不思議そうな顔をする2人・・・。


白骨化した遺体から出てきたのは可愛い子猫の姿だった。


「にゃあ~・・・。」


「・・・驚いたわ・・・。あの子、死んでまた生き返ったの?」


「猫に転生したか・・・。」


「私。この子・・・飼ってあげる・・・。神社で。

それがせめてもの情けよ・・・。」


「おーい!!」


遠くから走ってくるのは風呂上りに着替えてきたばかりの涼だった。

「大丈夫か?!敵は??!」


紗々羅は子猫を抱っこしてこう告げる・・・。


「猫ちゃんになりました。にゃあ。」

おどけてみせる紗々羅にびっくりして何も言えない涼。


「どういうこと・・・???」

間の抜けた涼の問いかけに勇丞も苦笑いするしかなかった。


続。

死んでまた生き返って猫になった幼女のみやび。

次回から、また新たな敵の登場になるやもしれません。

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