それぞれの葛藤、そして前世の夢の記憶。
前回の続きです。天帝軍に攻め入る計画を立てるも頓挫。
そんな中、夢に見たものとは・・・。
天帝軍に侵入して奇襲をかける相談をしたものの、
どうやって天帝軍に忍び込めるのかが分からず、
困り果てていた3人・・・。
「数じゃ勝てねえしな・・・。」
「そんな問題でもないでしょ。」
涼と紗々羅は漫才夫婦みたいな掛け合いをしていた。
「俺、とりあえず比奈子の元に帰るわ、一旦。
あいつにも話があるし・・・。」
そう言うと勇丞は立ち上がってリュックを肩から片手でさげた。
「わかった。比奈子さんによろしくね・・・。」
「おう。」
帰っていく勇丞の姿は哀愁に満ちていて格好が良かった。
その日の夜、紗々羅は夢を見ていた・・・。
前世の夢だ・・・。
前世の自分が天帝軍と戦い、一騎打ちとなり
朽ち果てる様に静かに崩れ落ちる・・・。
そんな夢であった・・・。
夢の中の紗々羅は「ササラガミ」と呼ばれ、
羽の生えた馬に乗り、剣で戦う勇敢な女神だった。
夢から醒めた紗々羅は汗がひやりと流れるのと、
喉をごくりと通る唾が気持ち悪いなと五感で感じとっていた。
(私か・・・あの綺麗な女の人・・・。)
余りにも美しい容姿だった為、なんだか申し訳ない様な気持ちになる。
(今はこんなにちんちくりんだというのに・・・。)
自虐的になりながら苦笑する。
しかし、夢の中で視えたあの「男」の顔に背筋が凍った。
「あれが・・・。天帝軍の長・・・。」
そう、剣で刺し殺した御ヵ月ノ夜空の姿だったのだ・・・!
いつかまたあの男に刺されるのではないかと不安でたまらない。
そして、同時刻。
「今帰ったの?」
「何してたんだよ?比奈子。起きてたら駄目じゃん。」
「待ってた。勇くん帰ってくるの。」
「可愛い奴・・・。」
「うるさい。ばか。」
「可愛いから心配してんだよばか。」
「帰りが遅いだよ、ばか。心配した・・・。」
比奈子は涙を浮かべる・・・。
「ばっ!何泣いて・・・!」
「行かないよね?何処にも・・・!!
私を置いて・・・行かないよね・・・?」
長いレースのカーディガンを羽織ったパジャマ姿の美少女。
比奈子は体が弱いのに夜遅くまで起きて彼の帰りを待ってくれていた。
そして、極めつけにこの台詞。
男ならたまらないものがあるのだろう・・・。
「行かないよ。約束する・・・。」
「ばか。嘘つく癖に・・・。」
比奈子の頭をぽんぽんと撫でてあやす様に宥めた。
「ごめん・・・。俺がいなくなっても・・・、
生きてけるよな?ま、死なないけど。戻ります、必ず。」
「うそ・・・。ほんとに行っちゃうの?」
「ほんの少し・・・。すぐ戻るよ・・・。ありがとな。」
「絶対ね・・・?」
「ゆびきりだ。」
2人は指切りを交わす。
続。
比奈子を出せたのが良かったです。
早くこの2人のやりとりを会話させたかったので
少しすっきり。でも物足りないです。(笑)
多分、次回から展開早くなります。予定ですが。(笑)




