神殿。
短いタイトルですが、ついに天帝軍にさらわれた庵南が辿り着いた場所・・・。
彼女を待ち受けていたものとは・・・。
庵南の手を取り、天空の城に辿り着く。
そう、彼は天帝軍の手先・・・。
「ここは・・・・・?」
庵南は静かな声で彼に尋ねた。
「こちらは南方の砦・・・。姫君を閉じ込めてしまう砦です。」
にこにこと笑いながら彼は軽くお茶目な感じに言う。
「閉じ込めるって・・・!!」
庵南はその言葉を聞いてぞっとしたのか、繋いでいた彼の手を
バッと離した・・・。
「ああ、大丈夫ですよ。姫君は眠ってもらうだけです。
痛くも苦しくもない、快楽も何もない世界にとどまってもらうだけの話です。」
一瞬、その少年の目が残酷な目つきに変わる。
「それって・・・死ぬって事じゃ・・・。」
青ざめて泣きそうになる庵南・・・。
「眠る前に会ってもらいたい方がいます。こちらへどうぞ・・・。」
無理やりに腕を引っ張り、歩き出す少年。
「いやっ!!いやだよっ!!離してっいやっ!!」
泣きべそをかくが、彼は気にも留めない様子でスタスタと
庵南の手を引き歩く。
「貴方は僕についてきたでしょう?御自分の意思で・・・。
違いますか・・・?」
「だって!!助けてくれる人かと思ったから・・・!!」
「そんな甘い考えだから簡単に幽閉されるんですよ、貴方は。」
「あなた、誰なの・・・?」
一瞬歩みを止め、後ろを振り向き笑顔で答えた。
「金仙と申します・・・。」
「変わった・・・名前・・・。」
「そうですか?天帝軍の中では普通ですよ?」
よく見ると栗色の髪の毛の間からツノが生えている。
(この人、ユニコーンみたい・・・。それか、悪い言い方すると鬼さん・・・)
「僕のツノが気になりますか?」
「え・・・!!」
「いいんですよ。気にしてません・・・。さあ、こちらです。」
気が付くと大きな神殿の入り口に立っていた。
ギイイーと思いドアを開ける金仙。
「さあ。こちらに御ヵ月ノ夜空様がいらっしゃいます。」
ドアが開くとぶわあっと突風が吹き、庵南の止めていた
髪留めが外れ、ツインテールがほどけて長い髪がうねっていた。
「美しい髪の少女だな・・・。」
少し低い声がする。大人の男性のものだ・・・。
(だれ・・・?)
金仙は一礼をする。
戸惑う庵南の前に現れたのはそう、
「御ヵ月ノ夜空」であった・・・。
続。
御ヵ月ノ夜空に出会う庵南・・・。
次回、彼女はどうなるのか・・・。
ご期待してくださいませ・・・。




