遊毒との戦い、連れ去られた庵南。
前回からの続きで御座います。どうぞ。
泣いて崩れ落ち、妹の名前を小さな声で連呼する紗々羅・・・。
その頃、遊毒という名の妖女と戦っていた2人。
遊毒の放った刀で肩を抉る様に裂かれた涼は痛みで
もがかずにはいられない。
「ぐ・・・ああああ・・・!!!」
左肩を押さえながらも立ち上がろうとするも、
勇丞に止められた。
「やめとけ!!今動くと体に負担がかかりすぎる!!死ぬぞ?!」
かけよりながら諫める勇丞。
遊毒は舌なめずりをしながら唇に塗られた紅を舐めとる様な仕草で待つ。
「もう終わりかえ?骨のない男共じゃ・・・。余は面白くも何ともないぞよ。
楽しい余興はもう終わりじゃの・・・。終わらそうぞ。」
「言ってることが支離滅裂だよオバサン!!面白いんか面白くないんか
どっちだっつの!!少なくともこっちは全然面白くも何ともないがな!!」
キッと睨み付けて相手を馬鹿にしてみせた強気な勇丞。
「・・・余は不機嫌じゃ・・・。今の言葉撤回せねば主らはもう・・・」
話しかけた途端に後ろから遊毒の体を何かが突き抜けた。
「ぐっ!!がはっ・・・!!な!!!」
遊毒が恐れをなしたような顔で振り向くと紗々羅が立っていた。
「我は天尊なり!!ササラガミ!!ここに見参っ!!」
紗々羅は泣き顔ではなく、涙目を拭いて怒り顔で神器「ササラ」を
遊毒の体めがけて投げ飛ばし、体を突き刺したのだ・・・。
「おのれ・・・!!おのれ!!ササラガミの小娘ええええ!!」
遊毒は蛇の様な化け物に体を変化させた。
そう、蛇神は遊毒だったのだ・・・・・!!
「お前は終わりだよっ!!!くらええええ!!」
勇丞が得意の空手術で鉄拳を喰らわしてとどめを刺す。
「ぎえええええええええ!!!」
蛇神の遊毒はのたうち回り、やがて朽ち果てる様に砂になった・・・。
砂の上に残ったのは神器「ササラ」・・・。
線香を焚いた様に砂に刺さる神器・・・。
「終わった・・・。でも、終わってない・・・。」
「どういうことだよ?紗々ちゃん!!」
「庵南が連れ去られたの・・・。」
「何だと?!」
涼が左肩を自らの治癒能力で癒しながら問いかけた。
「天帝軍の一味に・・・連れ去られた・・・。
私は何も出来なかった・・・。守れなかったの!!妹を・・・!」
続。
蛇の邪神を退治したのは良かったが、彼らは大きなミスをした。
ササラガミの妹御、庵南を救えなかった・・・。
連れ去られてしまったからだ・・・。
次回、連れ去られた庵南のエピソードになります。




