庵南の危機・・・・・。間に合わなかった姉君。
前回は違うキャラでしたが今回は紗々羅と庵南姉妹のエピソードになります。
はあはあはあ・・・。
走り疲れて倒れそうなのと、妹の姿が見当たらない
苛立ちで吐き気がする紗々羅。
「庵南・・・!!一体どこへ・・・!!!」
その頃、玄関から出て神社の鳥居の下の側溝に身をひそめる
様に隠れていた。
側溝なので当然泥まみれで汚い。
でも彼女は恐怖と混乱でとにかく暗いところに隠れたかった。
「お姉ちゃん・・・こわいよ・・・。」
(私、・・・どうなるの?!こわい・・・!!)
涙目をギュっと瞑る庵南。
両サイドに結わえた髪がほどけそうだ。
暗い側溝に光が小さなスポットライトの様に当たる。
「きゃ!!!」
思わず小さな悲鳴を漏らす庵南・・・。
そこに居たのは、庵南と同い年くらいの男の子だった。
「迎えに上がりました。庵南姫様・・・。」
「え・・・?!!」
その少年は奇抜な和服を身に纏い、腰には短剣をさしていた。
「誰・・・?きみ・・・。」
「貴方を幽閉しに参った者です・・・。」
薄い茶色の髪を短くカットした様な髪型の美少年は、
にこやかに微笑みながら庵南に手を伸ばす。
思わず見惚れた庵南は助けてくれる人だと信じて、
彼の手を取ってしまう・・・。
その瞬間、光に包まれる2人・・・。
「さあ、神殿に参りましょう・・・。姫君・・・。
御ヵ月ノ夜空様がお待ちになっていますゆえ・・・。」
体が宙に浮くのが不思議な感覚だった・・・。
「庵南っ!!!」
寸分遅かった・・・!!
紗々羅は顔面蒼白で妹の名を呼び続けながら走る。
だが、時すでに遅し・・・。
2人は・・・、
その場からシャボン玉の様に包まれて消えてしまう・・・。
「庵南・・・・・・!!!」
恐れていた事態になった・・・。
なってしまった・・・。
紗々羅は崩れ落ち、スカートの裾を握り締めて泣いた・・・。
続。
連れ去られた庵南。
彼女は何処へ向かったのか・・・。
助けられなかった紗々羅は嘆く・・・。
次回は涼たちの戦いの続きも書きます。




