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掌編小説集6 (251話~300話)

長い紐

作者: 蹴沢缶九郎

朝の出勤中、駅に向かう私の足はふと止まった。目の前に、天から細く長い紐が垂れ下がっていたからだ。

「この紐は一体どこから?」と上空を見上げるが、紐は天に吸い込まれるようにどこまでも長く続き、その先を確認するのは不可能だった。


いつか読んだ有名な小説で、地獄に堕ちた罪人が極楽から垂れる一本の糸を昇っていく話があったが、その糸はこんな感じだったのだろうか…。

もっとも、私は罪人ではないし、目の前に垂れ下がるのは糸ではなく紐だが…。


そんな事を考えていると、私の中で一つの疑問が思い浮かんだ。


「はたして、この紐を引っ張るとどうなるのか…」


押し寄せる好奇心に負けた私は、試しに紐を引いてみた。すると、どこからか「カチリ」と音が聞こえ、辺りは薄暗い夕方となった。

もう一度紐を引くと、やはり「カチリ」という音と共に真っ暗な夜になり、三度(みたび)紐を引いて朝になったのだ。


これは面白いと、その行為を何度か繰り返すうちに、突然、遥か上空で紐が切れた。「しまった」と思った時には全てが後の祭で、辺りは暗い夜のまま、二度と朝が訪れる事はなかった。

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