3 晩餐会
ある意味ここまでがプロローグ
謁見から1時間ほどの時間がたち、勇者一行の歓迎晩餐会の会場に通された
せめて女性だけでもと用意されたドレスに身をつつむ一行、男子生徒は制服のままだが不満の声は上がらなかった
王国側の出席者は、国王ウィレム・第一王子ウィリス・第二王子ウィラー・第一王女ブリジット・第三王女アンリエット(継承順)
そして他には有力貴族や、大臣達である
ちなみに第二王女はすでに嫁ぎ済み、王妃はすでに亡くなっている
貴族や大臣は延々と挨拶などを始めたが、豪華な料理を前に一行は聞こえていない。
国王はそれがわかっていたのか、挨拶を後にして晩餐会を開始された。
一行は思い思いの場所に散り、豪華な料理や飲み物に舌鼓を打っていた(料理は立食形式である)
壁際で料理を食べつつ会場を眺める和也。その隣には相変わらずあかりが居た。
「あかりは、神崎とかの所行かなくて良いのか?」
「後で行ってくるけど、今はまだ良いよ」
「そうか」
見てると、貴族が勇者に取り入るためか必死に話しかけてる、人見知りなあかりにはあそこに行くのは辛いか。
俺達の所にも来たが話は「何かあったら力を貸して欲しい」とかそんな感じだった。
クラスメイト達も、普段見慣れない女生徒のドレス姿に、いつもは話さない人にも話しかけてる姿が見られる。
あかりもドレスを着ている為、普段と違った雰囲気だ。あかりに話しかけたくてうずうずしてる奴も多そうだ。
特に大木達の視線が痛い……
「このドレスどうかな?」
「似合ってるんじゃないか?普段そういうの見ないし新鮮ではあるな」
口下手な俺には精一杯の台詞を述べた。
「ありがとう嬉しいよ」
あかりははにかんだ笑顔を見せた。
適当に話しながら会場を眺めていると、ウィリス王子が、ものすごい笑顔でこっちに来た。
あかりの姿をジロジロ見つつ、あかりだけに自己紹介してきた。
「失礼。私は第一王子のウィリスと申します。貴女の名前を伺っても?」
「あ、えっと……夢野あかりと言います」
「アカリさん良いお名前だ。良ければあちらで、2人でお話しませんか?」
とバルコニーの方を指さした。あかりはそっちの方をチラっと見てから、俺の手を取り
「えっと……ごめんなさい。私は結構です」
と頭を下げた。
「そ、そうですか失礼しました。気が変わったらお声をおかけ下さい」
ウィリス王子はそう言い残し去って行った。去り際に凄い顔で睨まれた。
その後ウィリス王子は、少し幼さの残る女生徒に声をかけまくってる。ロリコン王子と名づける事にした。
「これからお世話になる国の人なのに、悪い事しちゃったかな?」
「他の奴にも声かけてるみたいだし、別に良いんじゃないか?」
「そうだね気にしないようにする」
男子生徒の中では、有馬達イケメングループが人気あるようだな(クソリア充達め)
第一王女もしきりに話しかけてるようだ。
女生徒では、神崎達がやはり人気のようだ。
そんな感想を思い浮かべて居たら神崎が寄って来た。
「あかりちゃんはやっぱり水木君の近くか」
笑いながらそう言った。
「もう!別に良いでしょー」
「ごめんごめん。水木君このドレスどうかな?」
「ありきたりな感想しか言えないが、良く似合ってると思うぞ?」
「ありがとう。それでね、里香ちゃん達があかりちゃんとも話したいって言ってるから、少し借りて良いかな?変な虫はつかない様にするから」
「委員長達か……良いんじゃないか?あかり行って来いよ」
「うんそうする。ちょっと行ってくるね」
あかりはクラスの女子達と話に行ったので、俺はもう少し料理でも食うかと思い移動しようとしたら、大木達に絡まれました……
「お前!こんな事になって不安な、夢野さんの感情利用して近づいてんじゃねーよ!」
(どこをどう見ればそう思えるんだ……脳内変換乙)
「いや別に利用してなんかいないんだが?」
「そうでもしなきゃ、夢野さんがお前なんかを頼るはずがねーだろ!」
「俺らが夢野さん守るからよ。今後お前は夢野さんに近づくなよ!」
と勝手なことを言って離れて行った
(あいつらは学校の時から変わらないなぁ。ある意味すごいな)
あいつらが去って、少し唖然としていたらアンリエットさんが近寄って来た。
「カズヤ様楽しんで居られますか?」
(様?)
「あ、はい。楽しんでいますよ」
「あの……いつも一緒に居る方は恋人さんですか?」
(恋人?あかりの事か?)
「あかりの事でしょうか?あいつは幼なじみです。怖がりで人見知りなんですよ」
「幼なじみさんでしたか」
なぜか少し安堵する。
(なんで嬉しそうなんだろう?)
「ところでカズヤ様は、召喚されたりする事に詳しいのでしょうか?」
「いえ俺の国には、異世界召喚されたりする物語が多いので、それを基準に色々質問しました。不快に思ったのならすみません」
「いえ滅相もないです。ただ皆様が固まって居られたのに、いち早く立ち直られて凄いなーと思ったので」
「たまたま思いついただけですよ」
「でもあれだけ頭が良いのなら、軍師の称号とか出るかも知れませんよ?」
「いや、兵法とかは全くわからないのでそれは無いかと。それに頭が良いわけでは無いです。俺の世界の物語をいっぱい読んでいるだけですから」
「そういう事にしておきましょう」
「それに戦いとかで役に立つのは、有馬とかあの辺りでしょう。俺は役に立てないと思います」
「そうですね。あの方は能力が良ければ、勇者の称号など得られてもおかしくないと思います」
(勇者かよ……まあ勇者って、ゲームとかじゃまっすぐな性格してたりするからありえるかもな)
「しかし、戦争は戦うだけではすみませんから、カズヤ様には期待しておりますわ」
「出来る限り期待には添えるように頑張ります」
「お願いします。ではこの後もお楽しみ下さい」
その後飯を食ったりして居たらあかり達が戻って来た。
「かずくん、さっきアンリエットさんと話してたね。なんの話だったの?」
なんだか少し機嫌が悪い。
「ただの挨拶だよ。あと俺が色々質問しただろ?それについて聞かれたんだ」
「ああ、あのことね…でも私から見ても凄かったから、しょうがないか」
「でもあれは神崎とかにも出来る質問だよ。なあ神崎?」
「でも、あの状況で質問出来る水木君がすごいんだよ」
「まああれは、あかりが震えてたから、俺は逆に正気に戻れたんだけどな」
「だってよあかりちゃん」
ニヤニヤする神崎
「もう!止めてよ楓ちゃん」
顔を赤くするあかり
(う~んまた大木達に絡まれそうだなぁ)
「まあでも俺は質問出来ただけで、能力があるとは思えないからなぁ。アンリエットさんにも言ったけど、出来て後方支援だろさ」
「まあ私達も後方支援の方が嬉しいよね」
「俺に、軍師の称号出るんじゃとか言われたけど、流石に出るとは思えないな。つか、軍師の称号出る奴とか多分居ないだろ」
「そう言う専門書見てる人とか居ないだろうしね。私達は何になるんだろ……」
「どうだろうなぁ。アンリエットさんは、有馬に勇者の称号出るかもって言ってたな」
「鋼君が勇者かー。確かに真っ直ぐだしだもんねー」
(まあありゃ真っ直ぐ過ぎるけどな)
そんな話をしつつ晩餐会の夜は過ぎて行った
次で和也とかの能力や称号、スキルが判明します