12 落とされて30層
ご都合主義でごめんなさい
あれから、どのぐらいの時間がたっただろうか
「うっ……ここは?」
周りを見回すが暗くて見えない。生活魔法覚えて良かったと、明りの魔法を使った。
「どうやらこの上から落ちて来たらしいな……上の穴はしまっているようだから、飛行魔法でも上がれないか……」
そこでふと気が付く
「穴に落ちた時に神崎が助けようとしてくれて、一緒に落ちたんだ!……神崎はどこだ!」
周りを見回すが見当たらない……
「近くを探さないとダメか……これなら、索敵出来る本を作っとくんだったな。と、今はそんなこと言っても仕方ないから探すか」
ここは行き止まりだったので、通路に出る。通路は2方向に伸びている見回しても楓は居ない。
ふと通路を見ると、一方向に魔物の死体が転がっていた。
(まさか神崎か?そっちの方向に行ってみるか)
そう考えてそっちに向かい走り出したその時だった。
「きゃーーーー!!!!」
甲高い悲鳴が聞こえた。
(もしかして神崎か!?)
叫び声は突き当りにある部屋から聞こえる。格子から中を覗くと、豚が居た
(あれはオークか?ファンタジー系のオークと言えば……早く助けないと!)
叫び続ける神崎だったが、オークが神崎を殴った。
バシン!という音と共に、神崎の叫び声が止み鳴き声が聞こえ始めた。
(1匹しか居ないみたいだし、早く助けてやろう)
オークが神崎に覆いかぶさろうとしたその時、ドアをけ破り中に入った。
「豚!神崎から離れろ!」
「ブヒーッ!!」
オークが素っ裸のまま殴りかかって来た。
「指からビーム!」
和也の指から光線が出て、オークの顔に命中した。オークの動きが止まったが、1回で倒れなかったので5回当てたら倒れた。
「ブ……ヒィ」
一応確認すると死んだようだ。
「神崎大丈夫か?」
楓はぼーっと和也を見ていた。
(まあこの状況じゃ仕方ないか)
ふと楓の方を見ると、股の辺りに水たまりがあった。そっぽを向いた和也。
そして楓は和也の態度と、自分の状況を見て声にならない悲鳴を上げた。
「あー神崎この状況じゃ仕方ないよ……多分俺でもなるから気にすんな」
とサムズアップ、楓は顔を真っ赤にして、声にならない悲鳴をまたあげた。
5分程して、少し落ち着いたのか、やっと普通に喋った。顔は真っ赤なままだったが
「水木君助けてくれてありがとう」
「いや神崎こそ、穴に落ちそうな俺を助けようとしてくれてありがとうな」
「でも結局落ちちゃったけどね」
「いやいや、それでも嬉しかったよ。ところでこの状況わかるか?」
「私も気が付いたら、オークが目の前に居たんだ」
「そうか、あっほっぺた腫れてるな……ヒール」
ヒールを使い、楓の頬っぺたの腫れを治した。
「えっ!?なんで水木君ヒール使えるの!?そう言えばさっきも指からビーム出してたよね!?」
「えっと……まだみんなには言ってなかったけど、俺の称号変化したのと、この前10層で手に入れた本でユニークスキルが増えてな」
「すっ凄いね!でもなんで秘密に?」
「あーそれはお前の知ってる奴とか、あかりにちょっかい出してくる奴らが、嫉妬でなにするかわからないからな」
「あー……そうだねありそうだね……」
「とりあえず歩けるか?ここ鍵とか閉まらないし、出来れば安全ゾーン探したい」
「あ、もう平気です。とりあえず行こう?」
「あっ、悪いちょっと待って……オークの肉は食用なんだ持っていくわ」
「そんな大きいの持っていくの?」
「ああ、これも新しいスキルなんだけどな」
和也が触ると、オークの姿が消えた。
「えっ!?」
「ゲームとかでアイテムBOXってあるだろあれだよ。俺のは異次元ポケットって名前だけど」
「あはは……あのポケットね」
「さあそろそろ行こう」
「了解」
その後、数度の戦闘があったが、和也の指からビームで片付いた。
そして安全ゾーンを発見してしばしの休憩をする。
楓に自分のスキルなどを話した後に、秘密にする事をお願いした。
「空まで飛べるなんて羨ましすぎるんだけど」
「ああ、最初は弱くて厳しかったけど。色々と出来るようになって嬉しかったよ」
「そうだよねーあかりちゃんも守れるもんねー」
「まあな。あそうだ、もし嫌じゃなかったらなんだけど、ズボンと下着洗濯するけど?待ってる間は俺のズボン貸すし」
そこまで言ってしまったと思ったが、もう遅い。顔を真っ赤にしてプルプル震えてる楓。
「水木君……そこに座りなさい」
「えっともう座ってます」
「正座!」
笑顔だが目が笑ってない
「はい」
正座をする和也
「水木君もう少しデリカシーが必要だよね?」
そのまま5分ほど説教された。
「すみませんでした」
「分かれば宜しい。で、洗濯ってどうするの?水木君が手洗いしてくれるの?」
赤い顔で聞いてくる。
「いえ、洗濯魔法と言うのがございまして。桶に洗濯物を入れて水と洗剤を入れますと、乾燥まで自動でやってくれます」
「そんな便利な魔法が……それ私にも使えるのかな?」
「覚えれば使えるとは思いますが、今は時間がありませんのでわたくしめがやろうかと、つい言ってしまいました」
「恥ずかしいけどお願いできる?」
「では、履物と桶を用意しますので少々お待ちください」
「ところで水木君。なんでそんな言葉使いなの?」
「いえ神崎様に服従しましたので当然です」
「ごめんなさい!さっきは言い過ぎたから普通に戻って!」
「だって神崎すげー怖かったから」
またもや赤い顔をする
「で、よければ洗濯するけど。もちろん極力見ないし」
「じゃあお願いします」
楓の履物と下着を洗濯しながら、楓に聞いた。楓の顔は赤いままだ
「神崎俺の背中に足跡ついてない?」
「くっきりでは無いけどついてるよ。これは?」
「落とし穴に落ちたのって、実は誰かにけり落とされたんだ」
「ええっ!?」
「俺の予想が確かなら多分あいつ等だろうな」
「大木君達?でも流石にそこまでやるかな?」
「まあ証拠は、今の所この服の足跡しかないから何とも言えないけど、蹴られた事は確かなんだ」
と服を脱いで、異次元ポケットに収納する
「この中は時間が経過しないから、一応証拠になるかも知れないし入れておこう」
「便利だねー」
「で、そのことについて、あかりに聞きたいことがあるんだよな」
「あかりちゃん?でもまだ帰れないよ?」
「えっと今はっと、21時かもう部屋に戻ってるかな?」
「???」
(とりあえず神崎に試しててやるか)
『神崎聞こえるか』
「えっ!?」
『俺が神崎の頭の中に話しかけてるんだ』
『ああ、これが念話ね』
『そうこれであかりに語り掛けてみる。神崎も聞こえるままにしておくから』
『はーい』
(さて、迷宮からあかりの所まで届くかが問題だが……)
『あかり。聞こえるかあかり』
そうしてあかりの居る部屋では、桃子・里香・裕子・由紀が集まってあかりを慰めていた。
「えっ!?かずくん!?」
周りをきょろきょろし始めたあかり。
「あかりっちどうしたん?ついに、空耳聞こえちゃったん?」
『良かった聞こえたようだな。落ち着けあかり。今、俺のスキルでお前に頭の中に直接話しかけてるんだ。お前も頭の中で話してみてくれ』
『えっとこうかな?……かずくんいつの間にそんなスキルを?ってか無事なんだね!?今どこ!?楓ちゃんは!?』
『あかりちゃん私も無事だよ』
『楓ちゃんもこのスキル持ってるの!?楓ちゃん無事で良かったー』
『だから落ち着けって、俺のスキルを使って、神崎がお前に話しかけてるんだ。それより近くに誰か居るのか』
周りから怪訝な視線を感じるが、和也と楓と念話とはいえ話せて嬉しいあかりだった。
『今は先生と里香ちゃんと裕子ちゃんと由紀ちゃんが居るよ』
(そのメンバーなら平気かな?)
『神崎。俺あいつらとそこまで親しく無いから、あいつ等の顔を想像して貰えるか?』
『わかった想像するね』
『OKだ多分これで、そこに居る人たちも声が届く。あー聞こえますか水木ですけど』
「「「「えっ!?」」」」
『今みんなの頭の中に話しかけるスキルで話しかけてるから、声を出さないでも平気だから』
『本当に水木君ですか?』
『ああ、先生迷惑かけてすみません』
『いえ無事なら良いんですよ。神崎さんも一緒ですか?』
『はい先生。私も今水木君と一緒に居ます』
『おーかえでっちの声も聞こえるなー』
『裕子ちゃん心配かけてごめんね』
『楓さんご無事で何よりです』
『里香ちゃんもありがとう』
『楓さん本当に良かった』
『由紀ちゃんもありがとうね』
『そろそろ良いか?先生話をしても良いですか?それとこの会話は、しばらくはここだけの話にしておいてください』
『わかりました。みなさんもいいですね』
全員うなずく
『では水木君お願いします』
『じゃああかりに質問だ。俺達が穴に落ちる前に、お前悲鳴あげただろ?なんかあったか?』
『あの時誰かに、後ろに引っ張られたんだ。それで思わず悲鳴あげちゃったんだ』
『やっぱりか。その悲鳴を聞いてそっちを見た瞬間、後ろから蹴りを入れられて、俺は落とし穴に落ちたんだよ』
全員ポカーンとした顔をする。
『それで穴に落ちそうな俺を神崎が発見して、助けてくれようとして一緒に落ちちゃったって感じです』
『ちょっと待ってください水木君!蹴られて穴に落ちたって証拠はあるんですか!?』
『証拠には弱いけど、足跡のついた服を時間経過しない入れ物に入れてあります』
『先生、その足跡なら私も見ました。結構薄いけど足跡は残ってます』
『そんな事をする生徒が居るなんて……誰かはわかってますか?』
『あかり、あの後大木達はどうだった?』
『また「一緒にいよう」とか「俺達が守るから」とか言われた……』
怒りで顔が真っ赤なあかり。
『確かに言ってましたが、確実に彼らなんですか?』
『ほぼそうだとは思いますが、足跡だってお前が付けた!とか言われたらそれまでだから、確実な証拠ではないです』
『そうですか。それなら何か罰を与えるとかは出来ませんね』
先生は落ち込んだ顔をする。
『はい、だから犯人捜しは良いんです。俺が居ないことで、あいつらエスカレートするかも知れないんで、あかりをそれとなくガードして貰えませんか?』
『水木君その辺は私たちに任せといてー』
『水木君が帰るまで、責任を持ってお守りしますよ』
『ああ水木。あかりさんの事は任せてくれ』
『ありがとうな。太田・千葉・沢渡』
『それで先生。城の方はどうなってます?』
『はい、アンリエットさんに水木君達が行方不明って言ったら、アンリエットさんが捜索隊を手配してくれました』
『そう言えば水木君聞いても良いですか?』
里香が突然話しかけて来た。
『なんだよ?』
『アンリエットさんが、楓さんの事はカエデさんって言ってましたけど、水木君の事はカズヤ様って言ってましたけど?』
という爆弾発言をした。ぶーっ!吹き出す和也。
『それどういうことかな』
あかりが冷めた声で言った。
『いやあかりさんあれだ。アンリエットさんなんか俺に期待してるみたいでさ、それでなんか様って呼ばれてるんだよ。他にも有馬とか呼ばれてるんじゃないか?』
『鋼君は普通にコウさんだったよ』
何故か少し機嫌が悪そうな楓。
(かんざきー)
『その件は帰ってから詳しくね?』
目が笑ってない笑顔のあかりを、想像する和也と楓であった。里香達はその場でそれを見てしまって震えている。
『……はい』
『そろそろ良いですか?』
『お願いします』
『では改めて、アンリエットさんは、捜索隊を手配してくれてますよ』
『それなんですが。落とし穴から俺達を救出するにしても、すぐに閉まってしまいます。それにここはおそらく30層なんで、ボスに勝てないと出られないから来るのは危険です』
『ではどうしますか?ずっとそこに居る訳にもいきませんよね?捜索隊と生徒で30層に入った方がよくありませんか?』
『いえそれだとあいつ等がまた何かやるかも知れないし、それに他の生徒の士気下がってますよね?』
『確かにそうですね……今の士気で30層に入るのはかなり危険かも知れません』
『そこで提案なんですが、捜索隊は一応出してください。捜索するふりをして、士気が下がってない奴らのレベル上げでもしてて下さい』
『アンリエットさんにはお……いえ、先生から俺と神崎が無事だと伝えといて下さい。念話の事は知ってますから』
ぴくっとあかりの眉毛が動いた。ビクッとする面々。
『それでですね。俺と神崎でとりあえずボスを倒しに向かいます』
『『『『『ええっ!?』』』』』
『大丈夫なんですか!?』
『そうだよかずくん!?』
『なんとかなると思います。もし勝てそうも無ければまた連絡します。少し時間かかっても、水と食糧はいっぱいありますから』
『水木君強かったよ!30層のザコとか指先ひとつでどんどん倒していくの!』
『いつのまに水木君はそんなに強く……』
全員にユニークスキルの説明をする。
『なんだそれチートじゃんかー』
『水木君。更に頼もしくなりましたね』
『ああ……水木、凄いな』
『かずくん凄いね!でももっと、早く言って欲しかったな……』
『ごめんな。言おう言おうとは思ってたんだけどな』
『でも良いよ。無事に帰ってきてくれれば許してあげる』
『ああ、絶対無事に帰るから、お前もあいつ等に気を付けろよ』
『うん!』
『じゃあみんなあかりの事よろしくお願いします。先生アンリエットさんに伝言お願いします』
『はーい』
『かずくんも楓ちゃんの事よろしくね』
『ああ任された』
そんな話をして念話を切った。
「水木君お疲れ様。魔力平気?」
「多分寝れば戻るから、安全ゾーンで野宿だな」
「仕方ないか」
「水は魔法で出せるし、食糧もさっきのオークがあるから平気だな。ただ毛布が1枚しかないから神崎使えよ」
「えっ!?そんないいよ水木君使ってよ!?」
「俺は平気だから神崎使えよ……お前が使わないなら俺は使わないぞ?」
「なら一緒に使う?」
顔を赤くして、上目づかいで言ってくる神崎。またもやブーッと吹き出した和也。
「冗談はたいがにしてくれ……」
「冗談じゃないんだけどな」
ぼそりと呟く
「えっ?何か言ったか?」
「別にー何でも無いよー。ならお言葉に甘えて毛布借りるね」
「ああそうしろ。じゃあ飯にするか」
こうして迷宮の夜は過ぎて行った。
女の子のおもらしは良いと思います




