プロローグ
プロローグ部分なんで短いです
水木和也は、心の中でため息をついていた
(ハァまたかよ)
休み時間にトイレに行こうとしたところ、クラスメイトの大木渡・篠塚智・能代雄二に絡まれた。
「おい!お前また夢野さんにちょっかい出してただろ!」
「そうだ!お前なんかが、彼女と話すとか生意気なんだよ!」
「しかも神崎さんとも話してただろ!」
こんな風に、口々に文句を言ってきた。
こいつらが言う、夢野さん神崎さんってのは……
夢野あかりは俺の幼なじみで、身長150ぐらいで小柄なくせに乳がでかくわりと可愛いから、そこそこ人気がある。
動物が好きで、あかりの家の犬の散歩とかはよく一緒に行ったりする仲だし、お互いの家も普通に行き来してる(家は隣どうし)
神崎楓はあかりの親友で、その関係もありそこそこ話したりする。
神崎は学年一の美少女とか言われてたりするんで、少し話しただけでも妬みの視線受けたりとか度々だ。
あかりはともかく神崎に関しては、こっちから積極的に話しかけたりはしてないんだけどな。
俺は大人しく普段は本ばっかり読んでるために、そんな俺があかりや神崎と話すのが気に食わないらしい。
大木・篠塚・能代の3人組は、あかりと話した後とかよく絡んでくる(もちろん本人達の居ない時にだけど)
どうやら大木と篠塚はあかり狙いで、能代は神崎狙いらしい。
俺なんかにかまってないで、本人に直接話しかけろよと思うが、そんな勇気もないんだろうな。
ため息をつきつつ、無視しでとおり過ぎようとしたが取り囲んで通してくれない、そのうち大木がこっそり小突いてくる。
こいつは空手部かなんかで体が大きく(190cmぐらいある)力も強いから地味に痛い。つーかお前とあかりだと身長差で犯罪チックだわ。
「おい!無視してんじゃねーよ」
「いや別に無視なんてしてないよ、トイレ行くからどいてくれないかな」
と言って脇を通り過ぎようとしたが、通せんぼしてくる
(……小学生かよ)
ウザいなーと思っていたら、扉を開けて入って来た奴が声をかけてきた。
「お前らまたか!いじめみたいな事するなよ!」
大木達は舌打ちしつつやっと居なくなった。
「水木。お前もなんとか出来るように努力しろよ」
とこっちにも文句を言ってきた。
こいつは有馬鋼。イケメンで文武両道な感じの、リア充って奴だな。
その上正義感のかたまりみたいな奴で、とにかく曲がった事が嫌い、こう言う場面では絶対口出ししてくる…助かるけど反面かなりウザい。
ちなみに神崎とは幼なじみらしい。幼なじみ同士リア充とか、俺らとは大違いだな。
(主に俺がダメなんだけど)
俺は、後々ウザくなるのが嫌でなんも言わないだけなんだけどね、もっとも喧嘩なんてしても勝てないけど。
「ああ、毎度悪いね助かったよ。ありがとう」
そう言って通り過ぎようとしたが
「おい!まだ話は終わってないぞ!」
と、言い出した
(……今度はこっちかよ)
と思っていたら
「かずくんどうしたの?」
「水木君平気?」
と、神崎とあかりが話しかけてきた。
チャンス!と思い、
「いや別になんでもないから」
と2人に言い、その隙に廊下に出ることに成功した。
後ろでは「おい!まてよ」とか「また水木が」とか話が聞こえてきたが、気にせずにトイレへ急いだ。
そして帰りのHR
今日はたまたまなのか、いつもサボって居る不良の佐藤仁や、体が弱くよく休む佐々木唯なんかも出席していた。
珍しいこともあるもんだ、と思いつつ先生の言葉に耳を傾けて居たら、消しゴムの切れ端が飛んできた。
見るまでも無いがあの3人組だろう
(実際なんかしてくるのは3人だけだしな、つかマジで小学生かよ)
ウザいと感じつつも無視して先生の話を聞いていた。
そしてそんな担任は結城桃子。新任の教師で、若くて良い体をしていることもあり人気のある先生だ(眼鏡なのも俺的にはポイント高い)
そんな先生は報告をしつつクラスを眺めて、内心頭を抱えていた
(また水木君が大木君達にちょっかいかけられてる)
いじめや不登校は無いクラスで良かったが(サボる生徒は居るが)新任のプレッシャーと、対処しにくい問題に少し辟易していた。
(いじめじゃなさそうなんだけど、ここからいじめに発展しても困るし、どうしたら良いのかしら?)
内心そう思いつつ、連絡事項などを伝えている時にそれは起こった。
眩い光が床から溢れたと思ったら、床に光で何かが描かれていた。
クラス中がパニックになった。逃げようとした生徒から「ドアが開かない!」「窓が!窓が!」と悲鳴に近い言葉が発せられた。
(これは魔法陣か!?)
俺もかなり焦っていたが、不安そうなあかりを見て、少し冷静になった。
(俺がしっかりしないと)
そんな事を思いつつ、あかりの近くにいた方が良いかと判断、鞄を持ってあかりの席に近づいた。
「かずくん何これ!?どうなってるの!?」
「落ち着けあかり、とりあえず鞄持って俺につかまってろ」
そう言いつつ考えた。
(誰か黒魔術でも使ったか?それともまさかとは思うが、漫画とかでよくある異世界召喚でもされるのか?)
和也は、フィクション作品を中心に、漫画やラノベ・小説などをよく読んでいる。
そう言った話は割と好きなので、もしかしたらと少しの期待と少しの不安を感じつつ、最悪離れ離れにならないようにあかりに近づいたのだ。
「うんわかった」
その言葉で多少落ち着いたのか、鞄に荷物を詰めて腕を組んできた。
(クラスがパニックになってるからまだ良いけど、大木達が見たら発狂しそうだな)
と苦笑いした。
そんな事を思いながら、腕に当たる感触を楽しみつつ、これから起こる事を考えていた。
そして魔法陣がひときわ輝いたと思ったら、和也のクラスから人の姿が消えたのだった。
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