『 すべって、転ん…… 』
バナナの皮が落ちていた。
人間の性、とでも言うのだろうか。
道の真ん中にポツリと置かれたそれを見て、俺はどうしても我慢できなかったんだ。
「くそっ、まるで踏んでくれと言わんばかりに」
そんな状況じゃないことは分かっていたが、もう足が止まらなかった。
勢い良く踏んだ瞬間、俺の体は……俺の、あれ?
ペタッ
見事に滑って転ぶはずの俺の足は、バナナの皮にくっついたまま離れなくなっていた。
「クククッ、ニンゲンはなんてわかりやすいんだ。こんな罠で捕まるとはな」
物陰から姿を現したのは、地球を滅ぼしに来た異星人たち。
「こいつで最後。さっさと殺してしまえ」
ああ、最悪だ。
唯一救いがあるとすれば、人間がこんな滅び方をした事を他の人は絶対に知らない、ということだけだろう。