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序章
「きゃっ!」
里桜は勢いよく床に倒れた。
月の明かりに照らされた里桜と男。
里桜を睨みながら、男が口を開いた。
「ねぇ、里桜は俺の物なんでしょ?何回言えばわかるの?」
ドッ
男の拳が里桜の白い頬をえぐる。
「ごめん・・・ごめん玲途・・!」
里桜はズキズキと痛む頬に手を当て、震える声で謝り続けた。
その様子を見ていた玲途という男は、さっきまで無抵抗な人間を容赦なく殴りつけていたとは思えないほど優しく里桜を抱き寄せた。
「里桜、ごめんね?不安なんだよ・・・・里桜が俺以外の男に笑顔向けてるとか、想像しただけでも・・・俺どうにかなっちゃいそうなのに・・・・・・。」
玲途の声は里桜以上に震えている。
「里桜・・・・ねぇ里桜。里桜は俺だけの物だよね?」