転売商会 VS 貴族御用達パン店!? パン以外も売ってます、異世界の価値差で大儲け編
王都──それは商人にとって夢と欲望の詰まった金色の都市。
人、物、金、情報。
すべてが集まり、そして蠢く場所。
「着いたな、リーネ。ここが“本物の市場”だ」
「……すごい……人がゴミのように……っていうか人、多ッ!」
俺たちはギルドの遠征納品を終えたあと、ついに王都へとやってきた。
目的は二つ。
ひとつは「バルク堂王都支店」の視察。
もうひとつは……そう、“新たな転売先の開拓”だ。
俺の【価格変動予知】は、今や王都の市場価格までもスキャン可能。
そして気づいた。
──この王都、価格差がバグってる。
たとえば。
▼地方村価格
・薬草(治癒効果・中級):1束 12G
→ 王都では:45G
▼魔導具:
・簡易発火石:村の鍛冶屋で10G
→ 王都の魔導道具店では:60G
……え、マジで?
送料かからない通販みたいな世界で、どうしてここまで差があるんだよ。
「こりゃあ、パンどころじゃねえな」
これはつまり、
田舎で安く仕入れ → 王都で高く売るの、転売ゴールデンパターンが通用するってことだ。
「でもさ、なんでこんなに差があるの?」
「おそらく、王都は“流通”が限られてるんだ。貴族や大商会が物流を抑えてて、田舎との自由な物資移動ができてないんだろ」
「つまり……?」
「隙間があるってことだ。俺たちが“裏物流”を作る。小規模でも、早く、安く、確実に」
「それって、まさか……」
「そう──異世界メルカリ便、開設だ」
「わけわかんないけどかっこいい言い方やめなさいよ!」
リーネがツッコミを入れるが、俺の脳内には完全に構図が見えていた。
【転売ルート構築計画】
① 地方村の雑貨・魔導具・薬草を大量仕入れ
② 自分の無限インベントリに保管(輸送コストゼロ)
③ 王都の露店・個人商店に“卸す”
④ 店舗を持たず、在庫も持たず、現地販売は委託方式(サブスクリプション式転売)
これ、マジで成立する。
数日後、王都の裏通りにて──
「おお……兄ちゃん、こんなに質のいい薬草をこんな値段で? 信じられん……!」
「この発火石、普通の鍛冶屋じゃ見ないぞ! 火力が一定で扱いやすい!」
「王都じゃ手に入らない品ばっかりだ!」
そう、俺は王都の小商人たちに“地方のレア雑貨”を直接販売・卸売していた。
しかも、まとめて買えば値引きもあり。
小規模商店からすれば、むしろ感謝しかない。
「こんなやり方が……あったなんて」
リーネは俺の隣で、驚きと少しの尊敬を含んだ目で見ていた。
「これが転売だよ。買う奴と売る奴の隙間を埋める。俺はただの“潤滑油”さ」
「……ちょっと、かっこいいじゃん」
「は?」
「べ、別に、全部を褒めたわけじゃないからね!? あんたはあんたで、ちょっと調子に乗りすぎだし、ほら、たまに口軽いし!」
「お、おう……」
ツンツンしつつも、ちょっと嬉しそうなリーネ。
マジで“ちょろツンデレ”の鏡だなこの子。
しかし、好調だった俺たちの王都展開は、思わぬところから“敵”を呼び寄せることになる。
***
──その日の夕方。
バルク堂・王都仮支店に、黒服の男たちが訪れた。
「……バルク堂の者か?」
「そうだけど、なに?」
「これを、ギルドからの通達として預かってきた」
男が無言で差し出してきたのは、一通の文書。
【営業停止勧告状】
王都商会連合 第3区管理委員会より通達
『非登録店舗における商業行為・及び流通物資の未申請卸し行為』は商業法に反する。
即時、営業を停止し、違反物資を没収するものとする──
「……は?」
「違反物資? 誰が?」
「うちが、ってことだよ……」
リーネが真っ青になっている。
「おそらく、王都の“既得権益組”が動いたな。うちの安さに客を取られた貴族系パン屋とか、魔導具の大手卸売商会とか……」
「そんな……あたしたちは、ただ、ちゃんとした物を……」
「大丈夫だ、リーネ。俺が“対抗策”を考える」
「──え?」
「相手が規制してきたってことは、それだけ“効いてる”ってことだ。王都での“価格差”は事実だし、俺たちの商売は需要に応えてる。それを止めるってことは──もう戦争だよ」
リーネの瞳に、炎が宿る。
「……やってやろうじゃない」
「へ?」
「貴族が何? 商会が何? うちのパンと商品をバカにする奴は、絶対に許さない!」
「ツンデレモードから一気にヒロイン覚醒しとる……」
「うっさい! あんたが巻き込んだんだから、最後まで責任取ってよね!」
「はいはい、分かってるって」
俺たちは見つめ合い、拳を合わせた。
パンだけじゃない。魔導具も薬草も、王都の商売すべてが、今俺たちのフィールドだ。
王都商会連合? 貴族様?
──やってみろよ。
“転売ヤー”の力、見せてやる。




