後付けの意味
どうも上沙です!ぜひ読んでいってください!
寝室にて、僕は思い返す。僕が、死神として生きることになったあの日のことを。全ての始まりは…、三日前だ。
三日。そう、たったの三日だ。僕が、ママを殺してからまだ三日しか経っていないのだ。
それなのに、この三日の間に色々なことが起こりすぎた。僕の今までの人生を合計しても、この三日の濃さには及ばない。
勿論、これは僕が処刑へと向かう旅で、この旅の終わりは僕が死ぬことだ。きっと、死んだあとも僕の罪が許されることはないだろう。
なのに――、どうしても、この旅が楽しいと思えている僕がいる。
僕の人生の半分以上は、僕の心を暗鬱とさせる出来事の連続だった。……これはもう、仕方のないことなのだ。どうしようもないことなのだ。
恐らく、これからの旅の中でもきっと、良いことなどほとんど起こり得ないのだろう。
けど、そんなことも含めて、僕の人生全てを残したいと心から思うのだ。そのために、僕は鉛筆を持ち、紙に向かうんだ。
――風呂から上がると、アロイシャスにこの寝室へと連れて行かれた。広い寝室だけど、ベットは二つしかなく、始めに言われた通り、僕とゲルティは床で寝る羽目になった。
……右を見ると、アニカがベットで寝ている。すやすやと微かな寝息を立てて。
……左を見ると、ゲルティが床で寝ている。アニカとは対照的に大きな寝息を立てて。
アロイシャスはまだ何かをしているようで、すぐには寝室には来ないだろう。
つまり、誰にも知られたくないことをするには、今がうってつけなのだ。
ということで僕は今、寝転びながら鉛筆をかまえている。床に置いた紙をちょうど月明かりが照らし、細々とした文字が微かな輝きを放っている。
この紙が、誰かの目に留まることは一生ないのだと思う。恐らく、誰にも知られず、ひっそりと朽ちていくのだ。
だけど、そんなことは重要じゃない。誰にも知られなくていい。ただ僕が、僕が産まれてきたことを後悔しないように残すのだ。
何かを残すことで、僕の人生に意味をつけるのだ。
後付けだとか知るもんか。この紙が僕の人生だ。
もう、皆は気づいていると思うけど、僕が書いているのは物語だ。物語と言っても、ほとんどがノンフィクションで、僕の人生をまるまる書いたものである。
……まあ、もしかしたら、少しだけ、ほんのちょっとだけ、かっこよく脚色はするかもしれない。
話したことや、したこと全てを覚えてるわけじゃないし、……しょうがないよね!
「さて、書き始めるとしようかな」
今日一日だけで、とてつもない文章量になりそうだ。
まず、朝のアニカとの一件。リリーや『葬儀屋』との出会い。僕の中にいた『誰か』の存在。それからワピチに、アロイシャス。
紙が足りるか心配なぐらいに、書き残したいことがある。どれも大事で、一つとして省いたりはできやしない。
――時計の針の音さえ響き渡る暗闇の中で、僕は鉛筆を走らせ始めた。
読んでいただきありがとうございます!




