後悔と殺意
どうも上沙です!ぜひ読んでいってください!
「わあ! すごい料理だ! ねえ、皆?」
「……ああ、そうだな。とても美味しそうだ」
ゲルティの顔が、影が落ちたように暗い。さっきの絵が関係しているのは、明らかだ。
「……それじゃあ、食べましょうか?」
重い雰囲気を感じ取ったのか、遠慮がちにアニカがフォークを並べる。
本来なら、黙って黙々と食事をするのが正解なのだと思う。けど、この時の僕は、本当に空気が読めなかった。
「やっぱり気になるんだけど……、あの絵って何なの?」
皿を並べていたアロイシャスの手が止まった。重い空気がより一層深くなる。――圧だ。勝手に全身の筋肉が震えてしまう。そんな圧が、アロイシャスの体からにじみ出ている。
ああ、まずい、口が滑ってしまった……。
「何度言わせるんだ!それは忘れろと言っただろうが!!」
夜を切り裂くような咆哮が、僕に向かって浴びせられる。体が縮こまってしまったように動かない。
「ご、ごめんなさ……」
「まあ、落ち着けアロイシャス。別にそこまで隠すようなことでもあるまい。処刑される身だとしても、知っておいて損はないと思うぞ」
僕の謝罪を遮り、ゲルティがアロイシャスをなだめる。しかし、まだ僕の心臓がひたすらに早鐘を打っている。あの咆哮が耳から離れない。
「晩飯を食いながらでも、あの男について教えてやろう。早くたべなければ、せっかくのご馳走が冷めてしまう」
アロイシャスが黙々と皿を並べ、アニカが静かに料理を盛り付ける。ギスギスした時間がただただ通り過ぎる。この空気を作ったのは、まちがいなく僕だ。
そして、誰も話さぬまま静寂に包まれた食事が始まる。無言の食事が続いた後、一番に静寂を破ったのはゲルティだった。
「まずだかなシッド、これだけは守ってくれ。…あの絵の男を見かけても絶対に近づくな。死ぬ気で逃げろ、周りのやつなど気にかけるな。自分の命を守れ。逃げることに全てをかけるんだ、分かったな?」
「う、うん? 分かったけど。あの絵の人は、いったい誰なの?」
「……人間の世界に、指名手配ってあるだろう? それと一緒だ。あの男……ベイジルは死神を沢山殺した。やつを他の死神と同じように考えてはいけない。あれは違う。死神だから沢山の命を奪うとかではない、根本的なところから違うのだ」
なぜだか、ゲルティの言葉からは後悔のようなものが感じ取れた。何だろう、恐れや不安を抱いているような話し方では無い。優しく、それでいて狂気を感じるような……。
……ああ、そうか、これはあれだ。ゲルティの言葉に含まれているのは、殺意だ。
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