運命の分岐点
どうも上沙です!ぜひ読んでいってください!
「どうだ? 死神を殺した気分は。スッキリしたろ?」
「殺しなんてもう十分だ……、あんなもの、もうしたくない!」
誰かが僕に話しかけてくる。いや、誰かじゃない。『何か』だ。
「諦めろよ。お前はもう、立派な死神殺しだ」
邪悪な、悪の権化のような『何か』が僕を呑み込もうとしている。黒でさえ明るいと思えるような、純粋な闇。
直感で分かった、僕に殺しをさせていたのはコイツだ。呑み込もうとしているのではなく、もう呑まれていたのだ。コイツが、僕の中を巡っているのだ。
産まれたときからずっと。
――闇が晴れた、先ほどとは正反対な白が広がっている。……天井だ。下を見ると、僕はベットに寝かされていた。ここはどこなのだろうか。
「お、目覚めたか。ゲルティ、シッドが起きたぞ」
誰だ、この男は……。……いや、そうか、この男はアロイシャスだ。思い出した、僕は川で気を失ってしまったのだ。とすると、ここはアロイシャスの家だろうか。
「大丈夫かシッド? 何があったか思い出せるか?」
「えっと、確か、川で気を失ったんだっけ……?」
とてつもなく喉が渇いているせいか、かすれた声しか出なかった。
「そのとおりだ、無理をさせてすまなかった。ほら、アロイシャスも謝れ」
「ああ、分かったよ。悪かったなシッド。ほら、これでいいか?」
口ではこう言っているが、顔には不満があふれていた。まあ、表面上の謝罪だけ受け取っておこう。
「あ、そういえばアニカはどこにいるの?」
「アニカは晩飯を作ってるよ。本当は俺も手伝いたいんだが、お前を見てろって言われてな……。そろそろ出来ただろうし行くか」
ベットから立ち上がるが、足元がまだおぼつかない。ゲルティの肩を借り、部屋を出る。
そこには、絵画やらが飾られた長い廊下が広がっていた。しかし、全体的に薄暗く、不気味な雰囲気が漂っている。
絵画を眺めながら廊下を歩くが、一瞬、ほんの一瞬、何か異様なものが目に映った。
「まって、ゲルティ……」
弱々しい声でゲルティに声をかける。どうにか聞こえたらしく、ゲルティは足を止めてくれた。
「ん?どうしたのだ」
「今、何か、変な絵があったんだ」
どれどれと、ゲルティが僕の指差した先を見る。アロイシャスも僕達が止まったことに気づいたのだろう、廊下を引き返し、僕が指差した絵を見る。
「……早く行くぞ、これはお前には関係がないことだ」
「ゲルティの言う通りだ、さっさと忘れろ」
絵を見た途端、二人とも表情が消えてしまった。何か良くないことでも言ってしまったのだろうか。
微妙な空気が廊下一帯に流れる。何をそんなに怯えているんだ? 絵画と言うよりかは、張り紙のように薄い紙に男が描かれているだけの普通の絵なのに。
……何か、忘れている気がする。多分、いや、覚えてないのだけれど。僕はどこかでこの男を見たことがある気がする。
もし、この時に僕が思い出していたら、皆の運命は何か変わっただろうか。いや、間違いない。ここが運命の分岐点だったんだ。
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