子供が抱いた希望
どうも上沙です!ぜひ読んでいってください!
結局、いくら考えてもわからなかった。リリーに調査の方は進めてもらうことし、『葬儀屋』とは別れ、旅を再開することにした。誰も話さない、旅を始めた時もこんな感じだった気がする。そらそうだ、僕がママ意外にも誰かを殺していたのだから。
「あのさ、僕、本当に殺してないんだよ……本当だよ」
つい、言葉が漏れてしまう。何の意味もないのに。僕は二人に何を期待しているのだろう。あるのは、僕が誰かを殺したという事実だけだ。
「分かっておる……。お前は嘘をつけるようなやつじゃない。アニカだってお前を信じておる。きっとなにかの間違いだ、そうに決まってる」
「僕だって間違いだと信じたいよ? けどさ、実際僕の中に誰かの命があったわけだし、ゲルティだって覚えているだろ? 僕を殺した瞬間を!」
最悪だ、八つ当たりしかできない。
……心のどこかで、僕は大人だと思っていた。だって僕は、死神というこの世界の謎の一片を知っている。死神の生き方に触れることで、何か、自分が成長したと思っていた。
けど違った、実際は周りの人に八つ当たりすることしかできないバカな子供だ。
「ああ、確かにお前の中に誰かの命はあった。しかしだ、別に死神は誰かを殺さなくても命を蓄えることは出来る。殺していなくても、全く危害を加えてないとしても、人間や死神が死んだ瞬間に直接でも間接的にでもその人物に触れていれば、命を蓄えてしまう。つまり、お前が殺していない可能性だって十分あるのだ。まあ、もうこの話はやめよう……考えたとしても分からないことだ……」
(なら、僕の中にママの命は蓄えられていないのか……)
ついにはママの命が完全に無駄になってしまった。
……別に、殺しを肯定しようとしていたわけじゃない。けど、僕に蓄えられたことで、何か、あの殺しに、意味を持たせられるのじゃないかって、そう思っていたんだ……。
「うん。けど、最後に一つ聞いていい……?」
「何だ? 何でも聞いてやろう」
「クラウスやママ、僕の中にいた『誰か』は天国に行けたのかなあ……?」
これが最後の希望だった。皆殺されたんだ、天国に行けなくちゃ。だって、天国に行けなかったら……、行けなかったら、駄目じゃないか……。僕が殺したんだ、クラウスだって僕が小屋に行かなかったら殺されなかったかもしれない。皆、僕だ。皆を殺したのは紛れもなく僕だ。
「今のお前に、こんなことを言うのは酷だが……。天国など存在しない。人間や死神が死んだら『無』、何も残らない。だから皆、何かを残そうと躍起になるのだ。天国だの地獄は逃げだ、現実を受入れられなかった者のな。しかし、新たな命が生まれるのも『無』からだ。だから巡る。きっとお前が殺してしまった命も巡るのだ」
言葉が出てこない、最後の希望が消えた。それも、自分を信じてくれている死神に、優しく、そっと潰されたんだ。巡るからなんだというのか、殺したことは変わらない。僕はこれから、何を期待して旅を続ければ良いのだろう。
僕の中のどす黒い何かが、体中を巡り続けている。
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