これから愛する君へ
どうも上沙です!ぜひ読んでいってください!
血の匂いがした。重たく、鼻にまとわりつくあの濁ったような匂い。
……まだ、半分夢の世界にいる。早く起きなきゃ。
そう思い、勢いよく起きたところまでは良かったが、僕は木の上で寝ていたことを忘れていたんだ。
ゲルティが、寝やすいようにと、わざわざ大きい木を選んでくれたおかげで、僕はより高いところから落下した。
(ぶつかるっ……!)
体が衝撃に備えて、きゅっと丸くなる。目など開けていられない。
しかし、体を襲う痛みの代わりに、フワリとした感触が体を覆う。誰かが受け止めてくれたんだ! きっと、ゲルティだろう。
「お怪我はありませんかシッド様」
――違和感。ゲルティにしては高く、少女のような声が頭上から聞こえてきた。そう、まるでアニカの声のように聞こえたのだ。恐る恐る目を開ける。
うわぁ……。やはり受け止めてくれたのはアニカだった。しかもお姫様抱っこのようにして受け止められている。
恥ずかしいを通り越して、今すぐ処刑をして欲しい気分だ。
「ありがとうアニカ……。受け止めてくれたのは嬉しいけど、降ろしてほしいかな……」
アニカの後ろでゲルティがニヤついている。何でこんな日に限って早起きなんだよ。
「おはようシッド、いい朝だな」
ゲルティはプルプル口を震わせながら話していたが、ついに吹き出し、ゲラゲラ笑い出した。殴ってやろうかな。
「失礼、笑うつもりはないのだが。お姫様抱っこというのは、どうもな」
もう処刑が早まってもいいから、本当に殴ろうか。ゲルティがこんなに笑っているところは、初めて見た。
「木で寝たことなんてないんだから、仕方ないじゃないか!」
「そうだな、仕方ない。次からは私が受け止めてやろう」
そういうことじゃないよ……。ゲルティは、どこかずれている気がする。
ゲルティと言い合いを続けていると、後ろから、誰かが吹き出したような音がした。
今、この場には、僕以外にゲルティとアニカしかいない。そして、ゲルティは僕の前にいる。
必然的に、声の主はアニカとしか思えない。あのアニカが笑っている? あの無表情っぷりからは信じられない。
おそろおそろ後ろを向くと、予想通り、アニカが涙を浮かべ笑っていた。声が同じでなければ、アニカだと気づかなかっただろう。
そのぐらい、普段の姿とは違って見えた。
……なぜか、もっと、笑っていてほしいと思った。負の感情など、この世から消えてしまったかのように、何よりも明るい笑顔だった。つられて、僕も笑ってしまう。
きっと、僕がアニカに特別な感情を抱きだしたのはこの頃からだ。
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