これまで愛してくれたあの子へ
どうも上沙です!暇な時にでも読んでいただけると嬉しいです。
――美しい世界が広がっている。地平線まで何もない。そんな、金色に輝く世界。そこに、二つの人影があった。
「思ったより早かったが、きっと最後までやりきったのだろう? 本当に、よく、頑張ったな」
上背のある男が、地面に寝転んでいる少年に向かって手を伸ばす。
「……………あ、の……ほんとに、ご……」
少年の震える口から、途切れ途切れに言葉が発せられるが、ついには言葉が切れてしまった。
少年の目が涙で満たされそうになる――が、少年は何かを思い出したように息を漏らすと、悲痛だった表情に笑みを浮かべた。
無理をしているような笑み。だが、何よりも明るかった。
「いや、何もない。……そうさ、僕、頑張ったよ。最後まで、頑張ったんだ」
満面の笑みを浮かべた少年が、男の手を借りながら地面に座り直す。
「そういえばさ、この世界のこと信じてないんじゃなかったの?」
「うむ、そうだが。こうなれば信じるしかあるまい」
上背のある男がきまりが悪そうに答えた。しかし、それでもその男は幸せそうな表情をしている。
「それよりあの子は?」
男は話をそらすつもりか、先ほどとは打って変わって心配そうな顔で聞いた。
「どうだろう、間に合っていればよいけど」
「そうか……。もしかしたらこっちに来てるかもしれないな。考えたくはないが」
そうだね。と少年が立ち上がる。
「それなら探しに行こうよ、どうせ時間ならたくさんあるんだから」
こうして二人の影は歩み出した。しかし、私は知っている。ここにはその、『あの子』がいないということを。
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