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テアトルム  作者: 灰呶ゆう
魔物の楽園編
12/21

第十一話 決着

木々が枯れ悪魔デーモンが森と共鳴す。

世界は暗転し空気は重く、立っているのもやっとである。

よろよろと歩くソフィアの前にエピデミアは立つ。

そんな時…エピデミアの背後に1人の少女が舞い降りた。

中性的な顔立ち…華奢な体で黒いメイド服を着ている。


「いつまで遊んでるの?そろそろ時間なんだけど」


「もう…そんな時間か…」


エピデミアはそう呟いた。

ふと…ソフィアに目を向ける。

そこには……まるで射殺すかの様な鋭い眼光を向けるソフィアの姿があった。

今までのソフィアからは考えられない程の殺気…

エピデミアは思わず1歩後ろへと下がった。


「おいッ!!この一件…お前が関わっていたのか!!」


少女はソフィアの前に立ち塞がり、上から見下ろす。


「どうでしょう?」


少女は不敵に笑った。


「もし…()()()に何かしたら…私はお前を許さない……地を這ってでも、お前を追い凄惨な死を与えてやる!!!」


「アハッ!良い目するようになったじゃん!!あの頃と違って今の方がよっぽど良いよ!!!」


「黙れ!!()()()()のサディストが!!」


「おーおー散々な言われ様だね〜よしっ!気が変わった。その女…エピデミアにあげるよ。好きに使って良い。ただしマトモな使い方はするなよ〜?それじゃぁね……()()()()


そう言うと少女は暗闇に消えた…

最後に呟いた言葉はどこか懐かしんでいるように感じた。


「もう二度と同じ過ちは繰り返さない…私が絶対に……」


「…お前にも色々と思うところがあるのだな。それよりも、お前があの方と知り合いだったことに驚いた」


エピデミアはソフィアの前へと歩き、手を向ける。


悪魔(デーモン)は洗脳に近しい魔法が得意でね。悪いが俺の操り人形とさせてもらう」


(失った血が多いな…頭が回らない……魔力も無いし流石に詰んだかな…)


今までソフィアは自分の置かれている状況を冷静に把握し対処してきたが、今回ばかりはエピデミアに対して抵抗する気が失せてしまった。


しかし…そこに……


「ふぅーっ!!ここまでざっと13分くらいか…世界記録保持者で1kmを約3分って考えると、もはやバケモンだな!」


「お前は…ルーベル・フロースウッドオォォ!!」


「何だよ…うるせぇな!お前そんなキャラじゃ無かっただろ!」


少し笑う。


「俺はもう一度お前と戦いたかったぞ!」


「そうかよ。悪いけど、お前の相手してる場合じゃないんだ」


笑いながら手をひらひらさせる。


そう言うとベルは一歩踏み出した。

そのたった一歩でエピデミアの背後まで到達しソフィアを背中に手を触れる。

エピデミアは何が起こったのかわからず、その場に立ち尽くすだけである。


スキル発動 『纏ウ者(マトウモノ)


「回復魔法使えるかな…」


「ほんっとに…ベルには敵わないなぁ……」


「コラっ!喋ると傷が広がるだろ」


ソフィアが少し笑う。


「ベルってそんな話し方もするのね」


「悪い?」


「いや…そっちの方が良い」


「回復魔法ってどうやるの?」


「回復魔法のコツは…魔力で失った部分を包み込み肉体を形成するイメージ。とはいえ、スキルでもない限り他者への治癒は無理だよ…って聞いてる?」


「魔力で包む…」


ベルは目を閉じ意識を深く沈み落とす。


「なるほどね…なんとなく理解出来た」


()()()()上位復元ハイリカバリー


(な…治ってる!?傷痕も残っていない……このレベルを他者に使えるなんて…カナンと同等かそれ以上のスキルだぞ!!)


ソフィアが驚く。

エピデミアはその光景を唖然と見つめる。


「なんとか出来た。ソフィア…大丈夫そう?」


「大丈夫だけど…」


「ちょっとごめんね…よいっしょ!!」


ベルはソフィアにお姫様抱っこをした。


「へっ?えっ!ちょっと!!」


「やっぱり身長差がすごいあるな」


「やめて!重いでしょ!自分の足で歩けるから!!」


「まぁ…確かに少し重い…」


ソフィアがベルの顔を殴る。


「痛っ!!」


その隙を狙ってエピデミアが攻撃を仕掛ける。

次の瞬間、エピデミアの視界からソフィアとベルが消えた。


(なにっ!どこへ行ったんだ!スキルで強化されたこの目でも捉えることが出来んだと!?)


ベルはソフィアやエピデミアが居た場所から約70kmほど離れた場所に移っていた。

一瞬のうちにソフィアを抱えて移動したのだ。


「ほんとに…何が何だか……」


ソフィアは緊張の糸が途切れたのか移動が終わるなり寝てしまった。

そして、そこにはダルムスの姿があった。


「やっぱ生きてた…ダルムスさ〜ん!!」


「ん?…うぉっ!ベルと…ソフィアっ!?いきなり出てきたがどういう事だ?」


「まぁまぁ、何でも良いじゃないですか。とりあえずソフィアのこと頼みますね!」


「頼みますって言ったってベルはどうするんだ?」


「もう一度エピデミアの元へ行きます!!」


「エピデミアってあの悪魔デーモンの事だろ?やめとけよ…ありゃ次元が違うぜ。強さに際限がねぇ。ソフィアが全魔力を込めて放った一撃を耐えやがったんだからな」


「守りに徹底されたら厳しいかもしれないけど、普通に戦うんであれば勝てると思います」


「ほんとか?」


「ええ、今気分が良いんで負ける気がしないんですっ!」


(不安だな…ただ、今までのベルとはどこか違う。もしかしたら……って流石に期待しすぎか)


そんなことをダルムスは思った。


「ベルっ!死ぬんじゃないぞ!!」


「はい!」


ダルムスの言葉を受け取り、先ほどの場所へと移動する。


「少し…待たせたか?」


「いや…別に待ってはいない。ただ、こうしてお前の方から来てくれたのでな割と気分は良い」


「そうか…()は待たせたか?と聞いただけなんだがな…聞いてないことまで言いやがって…」


闇魔法 『暗異動乱あんいどうらん


エピデミアから黒い気流のようなものが吹き出て正面を抉り取る。


「あっぶね!」


ベルは間一髪で避け後ろを振り向いた。

森を形成する大地は崩れ地盤が傾く。


(魔力が増えてるだろうとは思っていたけど、ここまで破壊力を増してるとは思わなかった。直撃したら一発でアウトだな)


スキル発動 『纏ウ者(マトウモノ)


ベルは魔力で刀をコーティングし黒く染め上げた。

エピデミアに向けて剣を突き立てる。


桜花玲瓏流 異型 闇纏い 『飛翔迅雷ひしょうじんらい


黒い雷が空から落ちベルに纏わりつく。

鋭い轟音と共にエピデミアの両腕は切られていた…


「まずは腕だ…お前がソフィアを痛ぶった分…お前のことを刻んでいくぞ」


「ハハハ!分かってないなぁ!この程度の傷を治すのにもはや1秒たりともかからねぇよ」


「分かってないのはどっちだよ…お前のその顔の傷…誰が付けたと思ってんだ!!」


「…それについて考えたのだがな」


エピデミアは一気に間合いを詰めベルの懐へと入る。


スキル発動 『黒イ悪意(グラッジネーロ)


「どうやら、お前が攻撃した時の魔力が傷口を覆い再生を阻害していたらしい。だが、上からより強力な魔力で覆い込んでしまえば問題ではない」


次の瞬間、エピデミアの腕が再生してベルの肉体を貫いた。


「グフッ…ガッ!!アァッ!!!」


ベルは胸元を貫かれたまま上に持ち上げられ宙吊りとなった。


「このまま殺すんじゃつまらないなぁ!もっと醜く足掻いてもらわんと俺の気が済まない!!」


エピデミアはベルから右腕を抜きベルを正面に蹴り飛ばした。

衝撃で地面が抉れる。

辺りに土煙が舞う。


だが……エピデミアはその姿に驚嘆することとなる。

風によって土煙が掻き消される。

ベルの姿が顕になる。


「何だ!その姿は!!お前は誰だっ!!」


エピデミアの目に映ったのは身長170cm後半くらいの背丈に赤黒い目を持つ黒髪の青年。

その青年からほとばしるその魔力は人間よりも悪魔デーモンに近しいと言えよう。

青年の持っている刀は魔力に耐えられなかったようで灰が崩れるように崩壊を始めている。


「なんだよ…お前と戦ってたのは、この俺!ルーベル・フロースウッドだろ!!誰ってのは酷いんじゃないか?」


青年がそう言った。


「あぁそうだな、お前がルーベル・フロースウッドであることに間違いは無いだろう。だがな…お前が纏うその魔力は人間風情が出して良い()()じゃねぇんだよ!!!」


「そんなこと知るかよ。ただ...俺はお前を殺すだけだ」


「はっ!お前はそうだろうな!!」


2人は距離を取り同時に構える。


(この一撃で決める)


2人はそんなことを考えていた。


闇魔法 奥義『無極深淵むきょくしんえん


エピデミアの前にビー玉ほどの小さな黒い球が生まれた。

圧縮された極小のブラックホールのようで底知れぬ質量を秘めている。


()()() 奥義『天叢雲剣アメノムラクモ


ベルは右腕をくうに突き出し魔力を集中させる。

集まった魔力が金色こんじきに輝く巨大な(やいば)を形成した。


(剣魔法だと!?そんなものは存在しない…まさかルーベルの持つスキルの真の能力とは……)


ベルが振り上げていた右腕をエピデミア目がけて振り下ろす。

エピデミアもベルの右手と巨大な刀の間に黒い球を飛ばした。


互いの魔法がぶつかり合い何次元にもわたって空間が歪み2人の居る辺り一面は見るに耐えない姿となった。

黒い球が吸収できる量を天叢雲剣(アメノムラクモ)の魔力が上回りエピデミアの魔法は崩壊した。


天叢雲剣がエピデミアに直撃する瞬間…誰かが間に入り天叢雲剣の魔力を乱し消してしまった。

全ての魔力を使い切ってしまいベルは元の小さな姿へと戻ってしまう。


「いや〜危ない危ない大事な()()が1つ減るところだったよ」


その言葉を聞きエピデミアは一言。


「ありがとう…ございます……」


「何で負けていて、ソフィアが居ないのかは不問にしてあげる。だから……早く戻るよ?異論は認めない…」


不適な笑みを浮かべながら話す。

その少女に形容し難い恐怖を覚えた。


「お前は…さっき俺に道を尋ねてきた奴だよな…そこの悪魔デーモンとどんな関係なんだ?」


「あー君か…まさかエピデミアに勝てると思わなかったよ」


「俺はまだ負けてない!」


エピデミアがそう言った。


「五月蠅いのは嫌いだ」


その言葉を聞きエピデミアはビクッとする。


「さっきエピデミアとどんな関係かと訊いたね……この通り主従関係さ♪さぁ!帰るよ!エピデミア!時間は限られているんだ!!」


「はい…」


エピデミアがこちらを振り返る。


「…次こそは殺すぞルーベル」


エピデミアに睨まれたので睨み返す。

俺がそんなことをしていると少女に声をかけられる。


「あっ!そうだ!!ルーベル君さ、ソフィアによろしく言っといてよ...次はお前の番だ。逃げるなよあの頃みたいに...ってね」


「なんで…俺を殺さないんだ」


「はぁ…別に君の生死はどうだって良い。本当はエピデミアの調()()をするだけだったのに...なんの因果かな......」


ため息を吐きながらそう言った。


「またね…()()()()()()()()()()()()()()


そう言って2人は消えてしまった。

荒れ果てた森の中、1人取り残された。

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