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月夜に舞う後宮の第四妃  作者: 栗鼠咲
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新たな情報

いつもよりも少なめです。

些細なことでもアドバイスをいただけると嬉しいです。

「報告します、謀反を企んでいたのは外縁地域の貧民ら100名。今は全員黒翼第二部隊の地下牢に閉じ込めてあります。その中で首謀者は過去に天羅宮付近に住んでいた元貴族商でした」

「堕ちた貴族という事?」

「前王様時代に天羅宮の官吏と癒着し不正に利益を得ていたらしいのです。米と偽り宮内に水を下ろし、米でそれを包む。それを確認した官吏から米一俵分の金をもらっていたらしいです。その俵に入っていた米の量は、その俵の僅か1割ほどだったと」

「・・・」


何とも大胆な不正だ。

自分が暗殺に入った家で行われていた不正と言えば、王族に金で表面を薄く覆っただけのただの鉄でできた指輪を売りつけたり、土木工事に支給される金を着服したりと表面的にはあまり気付かれにくいものばかりだ。

指輪は王族の女性に売れば金以外だと疑うものも少なく、他人が調べることも出来ないし、土木工事の金も、人件費を渋り労働者を脅せば簡単に出来る。

しかし食料は多くの給仕や官吏、宮女の目に入るため、そこまでわかりやすく不正は行われないはず。


「緑凱の世が、荒れていた理由が多少分かった気もするな」

「いかがいたしましょうか」


甲臥には引き続き聴収をするようにと命じた。

まだ米の値段が急騰している理由については調べ切れていないらしく、引き続き調べるようにと命じて報告は終わった。


「私は一体なにをしているのだろうか」


淋珂は緑凱暗殺という役目を負ってこの天羅宮へとやってきた。

それが今は守妃としてこの国の不正を正式に調べている。


「目標を達成できれば、それでいいか」


考えてもどのみち答えの出ない問をそれ以上考える気にもなれず、淋珂は泉喬を部屋に呼んだ。


「拝花祭の用意は?」

「一応取り掛かっています。まだ完全には終わっていませんが」

「桃の花って、一体何色なの?拝花祭で桃清妃に桃色の布を送らないといけないらしいから」

「今都で手に入る桃色の布をもう手配してあるので、そちらは大丈夫です。問題は衣装のほうです」


淋珂は衣服についての知識は皆無と言っていいほどだ。

暗殺をしていた時の普段着は黒い衣装で、いつでも仕事をこなせるようにという事ばかり考えていた。


「一体、何が問題なの?」

「桃色を衣に差す場合、何処にするのか、という事です。他の妃とかぶってしまってはいけないですし」

「それは・・・、私には何も言えないわ」

「もちろん、分かっています」


淋珂は泉喬のその一言に僅かな引っ掛かりを覚えたが、あえては口にせずにそのまま聞き流した。

そうして暇になった淋珂は、こっそり凛となり天翔孔を訪ねた。


「こんにちは、倫仙」

「凛、聞きたいことがあるんだが。転婁の事で」

「何?」

「転婁が女になったってどういうことだ?」

「あぁ、女官になったってこと。そうそう、この街で()()が増えて来たりしたことは」


倫仙は淋珂の問いを聞くと、トントンと淋珂の背中を叩き天翔孔の裏へと連れて行った。


「お前も察していたのか?」

「増えてるの?」

「あぁ、質の悪い業者を金で雇っているらしい。たぶん金持ちが何も知らずに何かを起こそうとしているんだろうが、成功はしないだろうな」

「そうか、ありがとう」


淋珂は礼を言うと天翔孔を出る。


「もう行くのか?」

「あぁ、やることを思いついたからな」

「そこらで気でも抜いたら・・・」

「大丈夫だ、あいにくそういうモノに興味はない」

「まぁ、気を張りすぎずに頑張れよ」


倫仙と分かれた淋珂は急いで梅花宮へと戻る。

質より量を選んだ暗殺者の雇い入れは、一体どうして行われたのか。

もしも雇い主が例の謀反の首謀者であったのならば、少しは安心できるが、そうでなかったのなら確実に良くないことが起こる。


暇のついでに行った天翔孔で思わぬ情報を得た。

しかしその情報は恐らく良くない事に繋がるのだろう。

淋珂は一体どうしようか、とこれからの行動を思案した。







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