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再始動 -Second Life on-line- そして第二の人生が始まる  作者: 絢奈
第一章 愛した世界
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しつじを食べるオオカミ少女

「まさか朝一でスラムに行くなんて思いもしませんでしたよ…でもよかったですね、ウルさん」


「ふふっ。この事が後でいい様に働くはずなので顔合わせする前に済ませれてよかったですぅ」



 コルは朝一で向かったスラムの話をしながらフリエスと一緒に馬車に揺られていた。



「フリエスさん、今回顔合わせをするお貴族様はどんな方なんですかぁ?」


「そうですね…巷では悪い噂ばっかり聞くと思いますがかなり情に厚い方なんです。…が、その執事さんというか傍付きの方が…野心家というか…」


「ふむふむぅ、そうですかぁ…そういえば爵位とかはぁ?」


「ウルさん…本当に何も知らないんですね…公爵様です。王族の次に偉い方です…」


「まだこの王都に来てから数日しか経ってないものでぇ…ふふふっ。でも公爵家の方がそんな野心家の傍付きをずっと放置されてるのですかぁ?それにもう公爵様なんですよぉ?それ以上に成り上がれると思いますかぁ?」


「確かにそう言われてみれば…どうしてなんでしょうね?」


「会って確かめてみるしかありませんねぇ。フリエスさんには申し訳ないのですがぁ、一緒に同席して頂いてもよろしいですかぁ?」


「ど、同席!?なんでですか!?私は送り迎えだけの予定なのに!?」


「私の考えている事が正しければぁ…フリエスさんの力が必要なんですよぉ」


「は、はぁ…ま、まぁ同席だけなら…」


「ふふっ、ありがとうございますぅ」



 一緒の屋敷から生産者ギルドまで向かい、そこから用意された馬車に乗り公爵家の屋敷へ向かう。


 そして目的地の屋敷について馬車を降りた所、先程話していた執事が出迎えてくれた。



「お初にお目にかかります、私、マクナス公爵家に仕えさせて頂いている執事のバートンと申します。以後、お見知りおきを」


「お世話になっております、生産者ギルドのフリエスです。こちらが今回、マクナス家ご当主様のノエル様のご病気を治せるかもしれない生産者のウルです」


「ご紹介頂いたウルと申します、以後お見知りおきを」



 自分より身分の高い人達に悪い印象を持たれない様に間延びした喋り方から普通の喋り方に変えたコルは執事をじっと見つめる。



「フリエス様、ウル様、今回はノエル様の為にご足労頂きありがとうございます。お屋敷へご案内致しますのでこちらへどうぞ」



 マクナス公爵家の執事バートンさんに連れられてお屋敷の応接間へ移動すると早速話し合いが始まった。



「では今回の件についてなのですが、念の為確認としてお伺いします。ノエル様のご病気を治せる見込みがあるという事で相違ありませんか?」


「ええ、私が作ったポーションが有効であれば問題なく治るかと思います」



 そう伝え、コルは自分が作ったキュアポーションをテーブルに一本置く。



「それが今回お持ち頂いたポーションですね?少し失礼させて頂きます…『鑑定』」



 そしてコルが作ったキュアポーションを見た時に若干、表情に険しさが現れた。



「成程…ちなみにウル様、あなたのランクをお伺いしてもよろしいでしょうか?」


「私は先日登録したばかりなのでFランクです」


「え…Fランク!?フリエス様!たかがFランクの生産者が作ったポーションをノエル様に飲ませようとしているのですか!?」



 バートンはコルのランクがFだと分かった途端、表情を変えてフリエスに自分が今何をしようとしているのか分かっているのかと遠回しに咎めた。



「ランクはFでもそのポーションを鑑定されたのであれば彼女の実力はお分かりかと思われます。これを飲んで頂ければノエル様のご病気も快復に向かうはずです」



 フリエスはコルが作ったキュアポーションを信用している為、これを飲ませようと説得してくれている。


 だが得体の知れない物をほいほいと自分の仕えている主に飲ませるのを躊躇う気持ちも本来であれば分かる。


 分かるのだが…今のバートンにはその気持ちが一切感じられずに焦っている様にも見えた。



「確かに仕える主に得体の知れないポーション、ましてやFランクの私が作った物を飲ませるのに抵抗があるのも分かります。ですが、大事な公爵家ご当主様のお命が救える可能性があるのであれば、私はこのポーションが効かなかった場合、私刑を与えて頂いて構いません」



 バートンの目の奥がにやりと笑ったような気がした。



「ちょ、ちょっとウルさん!何を言っているんですか!?」


「フリエスさん、あなたのお仕事はこの後にあります。なので今は私に任せて頂いても?」


「う…ウルさん…」


「バートン様もその条件で如何でしょうか?」


「…分かりました。では、このキュアポーションをお預かりして責任を持ってノエル様にお渡しします」



 そう言ってキュアポーションを手に取り仕立てのいい執事服の中に入れようとする…が、



「申し訳ございません。その際には私も同席してよろしいでしょうか?」


「なっ…!あまりにも無礼ではないか!?たかがFランクの貴様がマクナス公爵家ご当主様の寝室に入るなど、許される事では無い!!」



 コルが提案した内容に明らかな動揺の色が見て取れ、これは絶対に何か隠していると確信したコルは絶対に譲らないと意を決して交渉を持ちかける。



「先程、私刑にして頂いて構わないとお伝えしましたが…それに合わせてこちらの製造方法と、今手元にあるものを全てお渡しいたします」



 そう宣言した後、テーブルの上に赤、青、黄色の液体が入ったポーションを取り出して並べて置く。



「これは、私の師匠が作られたポーションです。赤は生命力ポーション、青は魔力ポーション、黄色はスタミナポーションです。あなたや、フリエスさんであればこのポーションの価値、お気付きですよね?」



 そう言われたフリエスとバートンはテーブルに置かれたポーションを『鑑定』し、この世の物とは思えないという驚愕の顔になりながら興奮した様子でコルに詰め寄る。



「ううううウルさん!!!!!な、なんですかこのポーション!!!こんなものがあるなんて…しかも…ダフネの十英傑『博学多才』のコル様のポーションなんて…!!!!お師匠様もいないって言ってたじゃないですか!?こ、これ一本でお城が建つ様なとてつもない価値が…」


(えっ…そんな価値があるんですかぁ…?)



 内心ドン引きしながらフリエスの話を聞いてるとフリエスは白目を向いて座っていたソファーへ沈んだ。


 そしてバートンは目の奥に強い炎を灯しながらコルの提案を受け入れる。



「…分かりました。その代わり必ず製造方法やポーションは頂きますので悪しからず…」


「ええ、もし治らなかった場合ですけどね?」



 白目を向いてソファーに沈み込んでいるフリエスを放置して公爵様が床に臥せている部屋までバートンと移動する。


 その際に何人かの従者と一言二言話しており、時折胸元に入れたキュアポーションを相手に手渡してポーションの栓を開けたり、匂いを嗅いでいた。



(あらあらぁ…これは黒ですねぇ…それに()()()()()()()()()とも一致しますねぇ…)



 バートンの明らかな工作を見逃しつつ公爵様の部屋の前まで移動し、バートンがコルをどす黒い野望を秘めた目で見つめながら口を開く。



「このお部屋がノエル様の寝室にございます。失礼の無い様にお願い致します」


「ええ、分かりましたわ」


(どの口が言ってるんでしょうねぇ…)



 そしてその部屋のドアを開けて最初に目に飛び込んでくる光景は高級感が溢れる天蓋付きのベッド。


 そのベッドに浅い呼吸をしながら苦し気にしている綺麗なブロンドの髪をした女性。


 その枕元にはその女性の子供の時を思わせる様な瓜二つの少女が目に涙を浮かべ手を握っている光景だった。


 こういう状況でなければその光景に見惚れるほど美しかったが、コルは見惚れない様に気を引き締めた。



「このお方がマクナス公爵家ご当主様のノエル・マクナス様。そのご息女のシエル・マクナス様でございます」


「初めまして、ノエル・マクナス様、シエル・マクナス様。私、生産者ギルドよりご依頼を受けさせて頂きましたウルと申します」



 自己紹介をし綺麗なお辞儀で頭を下げるとそれを見たご息女シエルが目に浮かんだ涙を拭いコルに軽く頭を下げる。



「依頼を受けて頂いてありがとうございます。私、シエル・マクナスです。すみません、今お母様はお話が出来る状態ではないので私が対応させて頂きます」



 そう丁寧に対応してくれたシエルはバートンに目を向けると、細工を施したコルのキュアポーションをシエルに渡す。



「これがウル様がお作りになられたポーションです。ウル様が申すにこちらのポーションを使用すればノエル様のご病気が快復に向かうと仰っておられました」


「ウル様!それは本当ですか!?」


「ええ、使って頂ければ治るかと思われます。ですが…」



 インベントリから別のキュアポーションを取り出し、バートンが渡したキュアポーションと入れ替えると、それを見た瞬間にバードンの顔が誰が見ても分かるぐらいに青褪めた。



「ウ、ウル様?何故ポーションの入れ替えを?」


「ふふっ、シエル様?その今渡した私のポーションをノエル様に飲ませてあげてくださいませ」


「え、ええ。…バートンどうしたのかしら?顔色が悪い様ですが?」


「い、いえ…何も問題ございません…」



 そう言って頭を下げるが、頭を下げながらこっちを睨んでいるのが分かった為、虫けらを見る様な目でバートンを一睨みし、シエルに『早く飲ませてあげてください』とにっこり笑いながら伝える。


 背中越しでも分かる程の憎しみを込めた感情を感じつつ、シエルと一緒にノエルの枕元へ立ち、気付かれない様にノエルのステータスを確認する。



(衰弱、麻痺、毒、筋力低下に魔力低下、耐久力低下に免疫力低下…バッドステータスのオンパレードですねぇ…やってくれましたねバートン…)



 仕えるべき主をこんな状態にしたバートンを今すぐにどうにかしたい気持ちに駆られるが、シエルがノエルへポーションを飲ませるのをじっと見つめ…



「うっ……?なんだか…すごい体が楽に…」



 体が少し光った後に苦し気な表情を浮かべていたノエルがゆっくりと目を開け、自分の体を触りながら上体を起こしたのでさりげなくステータスをチェックし、状態異常がない事…快復した事を確認した。



「お、お母様!?お体は大丈夫なのですか!?」


「え、ええ…あんなに苦しかったのに嘘みたい…シエル…本当に心配を掛けたわね…」



 ノエルは自分の身に起きた奇跡に感謝しながら涙を流し、シエルと抱き合って幸せを確かめ合っていたが…まだ背後から不愉快な恨みの視線を受け続けるコルはこの出来事を引き起こした黒幕に正義の鉄槌を下す。



「ノエル・マクナス様。ご快復おめでとうございます。私、生産者ギルドから依頼を受けたウルと申します」


「ウルさん…この度はありがとうございました…まだシエルとこうやって一緒に居られるなんて…」


「お母様…」


「ノエル様、ご快復心より嬉しく思います。シエル様も大変ようございました…」


「ええ、バートンも私が臥せている間に色々任せてしまって申し訳ないわね。この調子なら今からでもすぐに動けそうです。早速スラムの政策を進めてしまいましょう」


「ノエル様、少しお伝えしたい事がございます。少々驚く事があるかもしれませんがご容赦くださいませ」



 ノエルに一言断りを入れて返答も待たずに指をパチンと鳴らし、バートンの後ろから真っ白な毛並みの人の二倍程ある体躯の狼が現れ、バートンを踏みつけそのまま拘束する。



「うっ!ぐぅ…!!な、なにをする貴様!!!」


「ウルさん!?何をなさいますの!?」



 バートンの呻きと怒声、ノエルの悲鳴染みた声を聞きながら傅き、ノエルとシエルに本当の事を伝える。



「いきなりこのような真似をしてしまい申し訳ございません。今回、床に臥せっていたのには理由がございます。まず、その一つとしてそこに拘束させて頂いているバートンです」


「なっ!何を言う貴様!!公爵家ご当主様の御前で何を口走っている!!!黙って口を慎め!!!」


「黙るのはあなたです、バートン。ノエル様、今回、噂でノエル様のご病気はスラムの環境悪化により罹ってしまったとお伺いしておりますが、お間違いありませんか?」


「え、ええ。それと今の状況…何が関係あるのですか…?」


「はい、確かに環境悪化によってノエル様はご病気に罹られたと思われます。今回のご依頼に当たる前に一度スラムへ赴き、私が状況を確認してまいりました。その際に、コモン級のポーションでも今回の病気は快復したのです。ですが、今回ノエル様のご病気はそんなポーションでも治せず、レア級のポーションでも治せなかった。だから今回は私が調合した英雄級のポーションを持参させて頂きました」


「英雄級のポーション!?…それにスラムの環境悪化で発生した病気はコモン級で快復した…?」


「ええ、私が拠点を構えている場所がスラムの近くですので今日ここに来る前に生産者ギルドから一緒に来て頂いた受付嬢フリエス氏がこのお屋敷の応接間で待機しております。彼女も私と一緒にスラムへ赴き、コモン級のポーションで快復しているのを見ております。…そして何故、ギルドに依頼して明らかにコモン級より質のいいポーションを用意したノエル様のご病気が快復に向かわなかったか、その理由としてそこで拘束させて頂いてるバートンです」


「…バートン、どういうことですか…?」



 ノエルは怒りを隠しつつバートンへ問い詰めるが、シエルは明らかに怒りを露にしながらバートンを睨みつける。



「………」


「ご自身でおっしゃらないのであれば私からお伝えさせて頂きます。今回、ノエル様にご用意されたポーションは全てバートンにより細工され、それを分からないシエル様にお渡ししてノエル様に服用させていたのです」



 そう伝えた直後、ノエルは怒りを隠す事を止めて怒鳴り声をあげ、知らなかったとはいえ自分の手で母に毒を盛っていたと聞かされたシエルは膝を突き髪を床に垂らして涙を流す。



「どういう事!?バートン!!説明しなさい!!」


「…………」


「理由は憶測に過ぎませんが、私が考えられる範囲でお答えするとバートンはかなりの野心家だと耳にしました。今回の騒動で床に臥せられたノエル様、先程少し仰っていたスラムの政策…私、この王都に来た時に王都リライア所属の第三騎士団一分隊隊長のクライア様という方から、私の仲間がスラムに住む住民に対して普通の生活が出来る様にするという政策が行われていると聞きました。ですが、スラムの環境悪化…これも実はバートンの企みでして、近隣の村から山賊を使って子供を攫い、劣悪な環境で過ごさせる事で環境の悪化と病気の感染元にしていました。ご丁寧に犯罪歴まで付け、犯罪を犯した者であれば誰も信用しませんし、切り捨てる事も簡単ですからね。…そしてノエル様は視察か何かでスラムへ赴き、そこでご病気に罹られたと思います。それらを利用し、バートンはノエル様を亡き者にした後、ご息女であるシエル様を当主に置き、裏から操る様に画策していたのではないかと思われます。違いますか?バートンさん?」



 コルの推測を話しているとどんどん顔色が悪くなるバートンの目の前でしゃがみ込み、顔を覗き込みながら推測をぶつける。



「………こんな出鱈目…認められるか…!」


「出鱈目?私は状況を繋げて起きうる未来を推察したまでですが?なら私の出鱈目の推察を覆す様な一言が言えるのですか?…ちなみに先程、拘束させて頂いた時にここで働いている使用人、あなたへ協力した人達も一緒に拘束させて頂いております。そうですね…三人程拘束しておりますが?」


「……!?」


「…何もおっしゃらないのであれば認めたという事ですね?…という状況です、ノエル様、シエル様」



 事の顛末を伝えられた二人は身近な者に裏切られたというショックを感じたが、ノエル様は公爵家当主としての顔に戻り、使用人を呼びつけバートンと他の場所で拘束されている使用人を捕まえ閉じ込める様

に指示をしてコルに向き合う。



「ウル様…この度は本当にありがとうございました…命を救って頂いた事も、お恥ずかしい限りですが…公爵家の膿を見つけて頂いた事も…」


「ノエル・マクナス様、私は街で噂を耳にしました。スラムを良くする為の政策を敷きつつもスラムを焼き払うなんて噂もあり、私は自分の目と耳でその噂を確認したかったまでです。マクナス公爵様は情に厚い方という事も応接室で待機しているフリエス氏から聞いておりましたので、噂は噂に過ぎないという事が分かってよかったです。それにこんなに美しいお二人の力になれたのでしたら幸いです」



 と軽口を言いながら話していると、



「お母様の命を救って頂いた恩人です、ウル様。私の事はシエルと呼んで頂けないですか?」



 シエルが自分の事を呼び捨てにして欲しいと言ってくる。



「シエル様がそう仰るのであれば…ふふっシエル?お母様のご病気が治ってよかったですねぇ」



 と、ついお姉ちゃんモードで頭を撫でてしまう。



「あっ…失礼しましたつい…」



 そう言うと二人はクスリと笑いノエルが、



「お気になさらないで。そちらの話し方がウル様なのでしょう?なら私の事もノエルと呼んでくださいな」


「そう仰るのであれば…そしたら私の事もウルと呼んでくださいねぇ?」


「ウル様…ウルはさっきの凛とした時といつもの感じの温度差がすごいのね…」


「ふふっ、よく言われますぅ」



 公爵家のお二人と他愛ない会話をしながら召喚した狼を送還し、一緒に応接室へ向かう。





 ■





「ウルさんどこに行っちゃったんだろ…それにあのポーション…コル様の弟子…?」



 先程見せられたポーションを思い出しながら応接室で一人お茶請けのお菓子を食べていると不意にドアの方からノックした音が聞こえる。



「んっ!…はい!どうぞ!」


「フリエスさん~、私戻ってきましたよぉ」


「ウルさん!どこにいってい…っ!!ま、マクナス公爵様!!お、お体の方は…」



 ウルの後ろから来た綺麗なブロンドの女性に気が付き、その人物がマクナス公爵家現当主のノエル・マクナスだと分かるとその後ろにご息女のシエル・マクナスまでいる事に気付いてパニックになりかけるフリエス。



「ええ、こちらのウルが持ってきてくれたポーションで快復しました。本当にありがとうございます。ご依頼は完了という事で好待遇をしておいてください」


「は、はい!わかりました!特別処置を取らせて頂きます!」


(ウルさん依頼成功したんだ…よかった…それにしてもウルさん…なんかご息女のシエル様と親し気に話してる…いつの間にあんな仲良くなったんだろ…)


「それでフリエスさん?聞いてらっしゃいますか?」


「え、あはい!すみません!」


「あまり緊張しなくて大丈夫ですよ。それで今回…」



 今後の話をノエルから色々話されあわあわしていたがノエルとフリエスの頑張りがあり、生産者ギルドとマクナス公爵家が一丸となってスラムの環境改善の政策がスムーズに進み、王都リライアからスラムが消え、スラムに住んでいた住人が普通の生活を送れたのがこの日から三ヶ月経った後だった。


 そしてコルが王都リライアに来てから三ヶ月経った頃、とある所で…



「ちーちゃんどこにいるんだろ~…私、攻撃とか得意じゃないからなぁ…迎えに来てくれないかな~~~」



 黒曜石の様な黒い髪に同じ色の猫耳と尻尾、血の様に赤い瞳を持ち、全身を鎧に包んで身の丈程ある盾を背負った女性が空を見上げながら呟いた…。

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