プロローグ
初めまして、絢奈です。
今回初作品、初投稿なので文章がめちゃくちゃだったり誤字脱字、設定が少し食い違っている部分があったりするかもしれませんが見守って頂けると嬉しいです。
楽しみにしてくれる方がいたら投稿頻度を出来る限り上げていくつもりです。
反響が少なくてもしっかり完結するように投稿しますので少しでも楽しんでもらえるように頑張ります。
俺の名前は胡桃 千弦。
女性みたいな名前だけどちゃんと男性である。
この名前でいじられた事もあったけど、俺はこの名前が大好きだ。
自分の見た目は正直言って男らしくない。
身長は175㎝と日本では少し高め?だと思うけど、顔の作りはかなり中性的で服によっては女性に間違われる時もある。
正直、生まれ変わるなら女性になりたいとすら思う事もあるぐらいだから見た目だけでもそう見られるなら自分としては嬉しい。
なんで女性になりたいか?
…可愛い服が合法的に着れるから!!
でも、そんな事を思っていたのも18歳の時までだ。
18歳になった時に、育ての親のお祖母ちゃんが天寿を全うして安らかに眠った。
悲しかったけど、事故や病気などで早死にせずに眠る様に最期を迎えれたのであれば俺は嬉しい気持ちにもなれた。
両親は物心ついた時には既にいなかった。
お祖母ちゃんが俺に教えてくれた両親の事だが、結婚するまではとてもいい父親だったが結婚した後に母が、
「そろそろ子供が欲しい」
と、父に伝えたそうだ。
だけど肝心の父に関しては、
「まだ作らなくてもいいんじゃないか?」
と、あまり乗り気ではなかったそうで、そこからはそういう話もなくなっていた様だが…ある日父が仕事帰りにお酒を飲んでかなり酔っていたのだ。
その後お察しの通り俺の命が母の体に宿った…だけど父は頑なに認めようとせず、母にある事ない事、思いつく限りの罵倒を、誹りを浴びせ続けた。
そして追い詰められた母はしっかりと相手に出来るだけ請求して貰う物をもらってから縁を切ったが、後から分かった事で別の人の影があったと。
そういう話をお祖母ちゃんから聞かされたからこそ男というものが嫌だったというのもあるし、父親にはいい感情を持っていない。
だから俺には母とお祖母ちゃんが居ればそれだけでよかった。
でもそんな幸せは長く続かなかった。
俺を生んでくれた一年後、母は元々体が弱かったという事があり天国へ旅立った。
そんな事もあって母が俺の為に付けてくれたこの名前が大好きなんだ。
そして18歳にして一人になった俺はすぐ働くことにした。
お祖母ちゃんとは二人でマンションに住んでいた為、そのまま住み続けて仕事をする毎日だ。
…そして22歳になった時にふと、こんな考えが脳裏を過った。
(趣味はないけど特に今の生活自体に不満はない。会社がブラックなんて事もない。だけど…)
生きていく目標もなければ将来どうしたいかなんて思いつかない。
いつからこんなに生きるのが虚しくなったんだろう、いつから周りが色あせて無感動になったんだろうとそんな事ばかり思う様になっていた。
そんなある日の仕事から帰る道の途中、いつもであれば何も考えずに素通りしていたであろう場所が目に入った。
『年末宝くじ』
もう一年も終わるのか…なんて思っていたが、今まで賭け事や酒、煙草、女遊びなんてものは一切しなかった。
なのに何故かここでこの宝くじを買わなければこの色褪せて無感動な世界から抜け出せない、そんな焦燥感に駆られた。
(今まで賭け事なんてしなかったのに何でだろう…でも買わないといけない気がする…)
そう思った俺は何でこんなこと考えているのか一回落ち着いて考えてみる。
(何でこんな気持ちになるんだ…?もしここで宝くじを買わなかったら、これまでと同じ様に朝起きて、仕事して、ご飯を食べて、家に帰って、お風呂に入って寝るだけのいつもの日常しか待っていないんじゃないか…?)
この先、今までと変わりない虚無の毎日が続くのならここで宝くじを買えば外れてもこれからの人生に何かあるかも知れないのでは?
少なくともこんな虚無な毎日が続く様な事はないんじゃないかと、もし外れてもこれからは年末に宝くじを買うという楽しみが増えるかもしれない。
…そう考えた俺はすぐ近くの銀行へ行って今まで貯金していたお金を全て引き出した。
そして先ほどの売り場へ走っていき、アクリル板の向こうにいる女性へ、
「す…ハァ…すみません…これで買えるだけ宝くじを買わせてください!!」
と、冷静に客観的に自分の事を見れていたらきっとヤバい人だと思うだろう。
実際、自分もそういう現場に居合わせたら距離を取って何事もなかったかの様に通り過ぎていただろう。
でも今は他人の目なんてどうでもいい、どうしても今、何でかはわからないが買わないと後悔する!という気持ちだけが大きくなって何も考えれないのだ。
そしてアクリル板の向こうにいる女性がにっこりと笑いかけて話を進めてくれる。
茶色の髪、一本一本が細くて綺麗な髪をポニーテールにしている女性。
この笑顔がこの人の優しさを教えてくれる様な不思議な人だ。
「かしこまりました。では宝くじの種類は何にされますか?」
ん?宝くじに種類があるのか?
そう思い少し冷静になってきた頭で台の上に載っているシートを見ながら質問を女性へ投げる。
「すみません、少し取り乱しました。初めて買うのでどういったものがあるのか教えて頂けないですか?」
「初めてご購入されるんですね。では、宝くじの種類なのですが…」
受付の女性からあらかたの説明を受け、複数あるものから一番当たった時の配当金額が高い種類をこの金額で買えるだけ買いたい旨を伝えた。
そうすると受付の女性が、
「では買い方なのですが、福連、福バラ、バラなどの購入方法がありまして…」
また受付の女性から丁寧な説明をしてもらえたので、
「わかりました、でしたらこういう風に連番で頂いてもいいですか?後この一万円分をお姉さんの好きな様に選んで頂きたいのですが…」
「決まりがありまして売り子である私が選ぶ事は出来ないんです…こちらで選ばせて頂いたものが当たらなかったとお叱りを頂いた事が過去にございまして…」
そういう人もやっぱりいるんだろうな…お姉さんに無理を言ってしまったみたいだ…。
「でも私は7っていう数字が好きですよ?」
「7が好きなんですか…奇遇ですね。俺も7っていう数字好きなんです。母の名前が『那奈』という名前だったので…」
「あら、そうだったんですね。実は私も漢字は違いますが『奈々』って言うんですよ」
受付のお姉さんがにっこり笑いながら教えてくれた。
18歳の時から今日まで見てきた笑顔の中で一番の笑顔。
一瞬、自分の世界に色が戻ってきた気がした。
「わかりました、そうしたら末尾に7が付くものを一万円分お願いしてもいいでしょうか?面倒くさいかもしれませんが…」
「かしこまりました。ご用意致しますので少々お待ちください」
そして受付のお姉さん、奈々さんが宝くじの束を紙袋に入れてから渡してくれた。
「本当にありがとうございました。これで会うのが最後になるかもしれませんが、この日の事は忘れません」
「こちらこそご購入ありがとうございました。…最後にお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?私だけお名前教えたのにずるいですよ?」
ちょっと膨れた様な、いじらしい顔をしながら聞いてくる。
「胡桃 千弦って言います。女の子っぽい名前でしょう?でも大好きな名前なんです」
ちょっと笑顔混じりで奈々さんに伝えると、奈々さんもクスリと笑う。
「確かに女の子っぽいお名前ですが、とても素敵なお名前です。千弦さんに幸運が訪れますように」
「はい!ご丁寧にありがとうございました、ではまたいつかどこかで!」
お互い手を振りあいながら俺はこの場から急ぎ足で帰路へと着いた。
「…ふふ、千弦…」
奈々は慈愛に満ちた笑顔で、これから千弦が“どこかの物語の主人公”になれる様に願いながらその場から離れ、路地裏に消えた。
その後…誰も奈々の姿を見る事がなかった…。
■
衝動的に宝くじを買って自宅に着いた俺は、
「人生で初めてこんな大金を使った…しかも賭け事…」
と、声を出したが不思議と嫌な感じはしなかった。
現に自分の口元は少しニヤついて口角が上がっている気がする。
「でもこれが全部外れたら目も当てられないよな…少額でもいいから当たってくれ…」
そんな事を言いながら母さんとお祖母ちゃんの遺影の前に線香を焚いて手を合わせる。
「母さん、お祖母ちゃん、俺の人生の大きい買い物、まさかの宝くじだったよ」
笑いながら昔話をする様に今日の出来事、感じた事を報告した後、お風呂に入る前に湯舟を洗ってお湯を溜め始める。
お湯を溜めている間に帰り道で買ってきた食材でホワイトシチューの下準備を始める。
このシチューは明日用にするから今日はコンビニで買ってきた冷凍食品を温めて食べる。
いつもと変わらないはずなのに、宝くじを買っただけなのに、何だかいつもとは違う『非日常』感があり、いつもの冷凍食品がいつもより美味しく感じた。
今日は12月24日、年末宝くじの購入最終日にして初めて人生の冒険をした『非日常』の記念日だ。
これから発表までの12月31日まで数日空くが、明日はきっと騒がしいだろう。
世の中はクリスマス、恋人同士で楽しい一日を過ごしている場所にただ一人で外に出るなんて寒空の下に衣類も防具も何も身に着けず、視線という銃弾が飛び交っている戦場に突撃する様なものだ。
だからシチューを準備しておいた、掃除をしてゴロゴロしてシチューを作って食べてお風呂に入って寝る!
そうやって一人予定を綿密に計画しながら意識が遠のく…。
■
そして運命の12月31日、宝くじの当選結果が発表される日だ。
テレビを点けて当選番号が発表されるのを心待ちにする。
(鼓動が早い…こういうのって意外と緊張するんだな…今までは宝くじを買っても何も当たらずにその券をゴミ箱に入れるだけだと思っていたのに…)
一人で悶々としていると遂に発表されるとの事。
(遂に発表された…!焦らないでちゃんと確認しよう…あ、これは当たってる、これははずれだ…ふむふむ)
テレビに映される番号をメモに控えて手持ちの券と照らし合わせる。
(200万円分買って半分にも満たないなんて…やっぱそううまくはいかないよな…でもまぁ、少額は一応当たってるし大きくマイナスになったとしても生きていけない程ではない…まぁ、当たった方が嬉しいけど1等なんて当たるはずが…)
テレビの画面を見る。
(あれ?待って?この組、この数字…これだ。これだけバラで買った奴か…期待できそうにないな…)
テレビから音が聞こえる。
「ではこの一等の最後の二桁をお伝えします、準備はよろしいですか!?」
司会者の煽りが少しだけ煩わしく思ってしまう。
「最後の二桁のうち、十の位は…1!1です!」
(1!!?)
手元を見ると十の位は1となっている。
十より後の数字は今画面に表示されているものとしっかり全部一緒だ。
「これは1等…あるんじゃないか…?」
思わず声が出る…震える手で持っている券の最後の番号は『7』。
(これは…)
こんな出来すぎた話はないと『7』の数字を見た時思った。
あの時の受付のお姉さん、奈々さんと一緒に選んだ券だ。
(もしかしたら…)
という希望に縋る気持ちと、
(これでまたいつもと同じ世界に戻るだけ)
という悲観的な気持ちがごちゃごちゃ混ざって気持ち悪くなってくる。
もう何も考えず、何があっても動じない気持ちで最後の番号を聞く。
でも…
「最後の番号は7!7です!」
………
頭が真っ白になるってこういう事を言うのか…。
しかも現実逃避で7であって欲しいと心の何処かで思っていて幻聴まで聞こえ……
「最後の数字は7!!1等は10憶円!1等は10憶円です!!」
手元を見る、テレビの画面を見る。
そしてまた手元。
自然と涙が出てきた、止めたいのに止まらない。
ふらふらする足に力を入れながら仏壇に向かう。
出迎えてくれる二人の遺影に、
「俺…10憶当たった…これからは仕事辞め…て、生活…に絶対…困らない額だけ残して、余っ…たお金で自分のや…りたい事、熱中出来る事を探そうと思う…」
体を震わせながら、嗚咽を漏らしながらも家族二人に報告をする。
しばらくの間、広くも狭くもない部屋に男の嗚咽だけが響いた…。
■
それから二年後。
千弦は10憶が当たった後、勤めていた会社をしっかり円満退社した。
それからはずっと色んな事をしてみた。
武術から始まり色々なスポーツ、家庭的な手芸や料理、色んな資格を取る為に勉強してみたり、音楽に芸術、更には創作活動など色々やってみたがどうしても肌に合わなかった。
仕事を辞めた後は最初に武術やスポーツを始めた為、体を動かしたり鍛えたり等は日課の運動程度に行っていた。
「んー、まだお金は余裕があるしもっと色んな事したいなぁ…」
別に贅沢をしたいわけじゃない。
高級車や家を買ったって満たされないしそれじゃ意味がない。
そんな事を呟きながら日課の運動を行う為にトレーニング用の服装に着替えて外に出る。
「ん…?なんか通販頼んだっけ…?」
玄関のドアを開けると外に宅配の段ボールが置いてあり、段ボールを確認して見るとお隣さんのお届け物だったのだ。
「まぁマンションならこういう事もあるよね、お隣さんの所に少しずらしておこう」
そして段ボールを持ち上げた時にふと配達伝票に書いてある“ゲーム”という文字が目に入る。
(ゲームかぁ…そういえばやった事なかったよな…運動終わったら少し調べてみようかな)
そうしてお届け物をちゃんとお隣さんの玄関近くに置いた後、日課の運動をする為にマンションの敷地外に走り出す。
そしてこれが胡桃 千弦の第二の人生の始まる決定的な日となり、『非日常』が日常になる前触れの日となった…。
■
「ふぅ…今日もいい感じに体動かしたからこのままお布団に入ったら寝れる…」
俺は日課の運動を終え、自宅へ帰ってシャワーで汗を流した後だ。
「でも調べたいのがあるから我慢我慢…えーっと、ゲーム…と…」
インターネットで調べてみるとこんなにゲームってあるの!?という感じで様々なタイトルが並べられていた。
「ゲームといっても色々な物があるんだ…アクション、シューティング、レーシング、シミュレーション…シミュレーション面白そうだなぁ…へぇ…リズムゲーム?音楽に合わせてどうするんだろう?作曲とかしたりするのかな…?」
そして色々調べていく中で気になるものがあった。
「MMORPG…Massively Multiplayer Online Role-Playing Gameの略称…インターネットを介して数百人~数千人規模のプレイヤーが同時に参加できるオンラインゲーム…か…へぇー!すごいすごい!これなら遠くにいる人とも何時でも遊べるんだ!?何々…?コミュニケーションを取ったり出来るから今では割とゲームで知り合ってそのまま結婚まで進む事もあるのか…実際に会ってみないと不安だったりしないのかな…でも外見じゃなく内面を知ってからのほうが問題が少なくて結婚しやすいのかな…?」
そんな事を考えながら千弦はどんどんゲームを調べていく。
そして6時間後。
「よし、決めた!このVRMMORPGというのをやってみるか!シミュレーションとかストラテジーで自分だけの国を作ったりも楽しそうだし、車乗ったことないからレーシングっていうのも捨てがたいけど…でもこの売り文句すごくいいね…!」
そこには、
”自由気ままに世界を楽しむ事ができ、ゲーム世界にのめり込めて楽しむことが出来ます。新しい世界へと踏み出そう!”
(この売り文句、今の俺にぴったりじゃないか)
早速VRMMORPGをプレイする為の機材を宅配で配送してもらう一歩手前で一度手を止めた。
「危ない危ない…焦って機械だけ買ってもソフト買わないと意味ないよな…ソフト…タイトル…?」
そんな事を呟きながら千弦はVRMMORPGに検索を絞って調べていく。
「ドラゴンが国を襲う…妖精たちの国で…海をテーマとした…」
あーでもない、こーでもないと呟きながらも千弦は検索を続けた。
すっかり家の窓から覗ける外はかなり暗くなっており、ふと時間を見ると21時になった所だ。
「9時間張り付いてあらかた絞れたけれど、やっぱりしっくりこない…ん?これ…」
千弦がそろそろ今日は一旦止めて明日にでも調べようとした時、
ドクッ…
心臓が締め付けられる様な、これしかないという直感の様なものが脳裏を過る。
(この感じ、あの宝くじを買った時と同じ感覚…見てみよう…)
そうして千弦は後の舞台となる『Second Life on-line』の世界と出会った…。
■
「よし、これでキャラクターの作成完成っと」
千弦の目の前にはこれから『Second Life on-line』通称『SL』の世界で自分の体となるキャラクターが立っている。
キャラクター名:千棘
種族:人間
年齢:12歳
作ったばかりのキャラクターを色んな角度で観察していく。
髪色は自分と同じ茶色で光に透かすと若干金色っぽく見える様な色。
髪型はウルフカットで中性的な印象にして、目の色はエメラルドグリーンで愛くるしい目。
声は自分の声変わりする前のちょっと高めな声に設定した。
身長は140㎝程で、自分の身長が175㎝なのでかなり身長が低い。
といっても日本の12歳の平均が145㎝ぐらいなので平均付近だと思う。
服は二枚の布を前と後ろから合わせて左右を縫って作った様な簡素な青っぽい七分丈の服。
ズボンはしっかりと足首まで隠れる黒の長ズボンで、もう少し足が太かったらピチピチになってしまうんじゃないかという絶妙な細さ。
まだ千棘の体は動かせないが、動かしたらきっと動きやすいんだろうと感じる服装だった。
「服装からして街とか人がいっぱいいる様な場所じゃなく、村みたいな所からスタートなのかな?」
そんな考察をしながら微調整を繰り返してやっと完成した『千棘』。
(うん!12歳の時の俺にそっくりだし、どっちかというとやっぱり自分の好みに合わせてるから男の子というよりは男の娘だな!)
などと自分の理想の12歳を作り上げて満足した後、一度ログアウトをしてすぐにもう一度ログインする。
何故一度ログアウトしたのかというと、サブキャラクターの作成の為である。
ちなみに正式に『SL』がプレイ出来るのは明日の昼12時から。
その為に今日はしっかりと睡眠を取り、すぐにプレイ出来る様に備えないといけないのだ。
そしてしばらく家から出なくてもいい様にご飯までちゃんと作り置きもしている。
そして二体のサブキャラクターを自分好みに作成した後、ログアウトをして満足した顔で睡魔に任せるまま意識を手放す…。
この後、書き溜めているものをチェックしてから投稿しますのでお待ちください。




