門番を説得するだけで一苦労。
門番ってどこでも大変な仕事ですよね。
強面の方が門番らしいと思うのはわたしだけでしょうか。。。
門の脇にある詰所的なところで話を聞こうということになったので、そのまま3人まとめて入れられた。
中は、長机と、椅子が複数。それと武器が壁に立て掛けられていた。
剣や斧、槍に弓などだ。ここは武器庫にもなっているらしい。
多分有事の際は作戦会議室にもなるのだろう。
こうして俺たちは席について話し始めた。
マッツ(以下マ)「とりあえず俺たちも自己紹介だな。俺の名前はマッツ。」
ホーリ(以下ホ)「私はホーリといいます。」
一「よろしくおねがいします。」
玉「よろしくです。」
斉「よろしくな。」
マ「まずはお前たちの出身とその不気味な服装からだな。」
一「だいぶ遠いところから来ましたので、、、逆にここでの標準の服とかも、よくわかっていなくてですね・・・」
マ「なんでそこまで濁す?なんかワケアリっぽいな。どこから来たんだ?」
一「ニホンって言ってわかります?」
マ「知らないな。」
ホ「聞いたこともないですね。」
マ「そもそもお前ら黒髪に黒目だな。東の民か?」
一「まぁそんなところですね。」
玉「この服装はいわゆる私達の国の仕事着です。男性二人が来ているのがスーツといいます。
私が来ているのはオフィスカジュアルですが、一応これでも仕事着です」
斉「男性はスーツ一色だけど、女性は仕事着って言っても色々あるよな。」
ホ「なるほど、ではその奇怪な服装はそちらの国の仕事着ってわけですね。わかりました。」
マ「ふむ。服装のことはわかった。では、その手に持っているものはなんだ?」
一「先程あちらの山でとってきた、食料を持ってきているのですが、恥ずかしながら何も調理する器具がなくて、できればお借りしたいのですが・・・正直食べていないので・・・お腹がぺこぺこなんです」
日本のことを話してもなかなか厳しそうなので、情に訴える作戦に出てみた。
ホ「なるほど。でもそういったあなた達みたいに物乞いを装って、悪い人間も同じような手口で村に入ってくる
んです。だからすぐには信じられませんよ」
なかなか門番の二人は手強い。俺が喋ればしゃべるほど余計に疑われるような気がしてきた。
さて、どうしたものかと俺が二人を見渡すと、小声でタマが俺に話してきた。
玉「ここは私に任せてください!」
一「それはいいが、どうするつもりだ?」
斉「あっちはめちゃくちゃ疑っているぞ」
玉「大丈夫!策なら今考えました!先輩たちは横で聞いていてください。」
タマには策があるとのことなので、そのまま任せることにした・・・・
ただでさえちょっと怪しまれてるんだ・・・争いごとだけは勘弁してくれよ・・・
マ「そうだな。ホーリの言うとおりだ。では次はこの村をどこで知ったか答えてもらおうか。」
玉「かしこまりました。この村のことはワロス様から聞いたのですが・・・ワロス様って言って通じます?」
タマ!その名前出すのか!まぁある意味賭けだな。
マ「ワロス様だと?まさかあのワロス神か?」
ホ「えっ!あの創造神ワロス様ですか?」
うわぁぁぁ・・・通じた! これはいけるか?
玉「そのまさかです!そのワロス様が言うには、そちらの村ではレルベの実が名産品と聞いております。」
マ・ホ「なっ!?!?」
ホ「なんとそこまで・・・あまりその話は一般では知られていないはずですが・・・」
玉「そのワロス様がおっしゃっておりました。そのレルベの実のせいであなた達村人は困っていると。。。」
マ「まさかその名前があなた方から出るとはな・・・これが神の使者というやつか・・・」
ホ「ちなみに私達の村レルベは、すべての村人がワロス教徒となります。
また、そのレルベの実についてもワロス様に作っていただいた木からなる"聖なる実"なのです」
マ「"レルベの実"は別名"レベルアップの実"とも呼ばれているな。」
ホ「そのレルベの実は非常に貴重なもので、その実がなるのは満月の夜だけです。
その満月にれるべの実を収穫し、次の満月の日に食べるとランダムではありますが、とあるステータスがレベルアップするというものでございます。」
タマすごい。。。偶然だろうけど、これはすごい賭けだな。いきなり核心の話題を持ってくることで相手の疑いをすべて取っ払った・・・・俺にはとてもできなかったな。
玉「そうでしたか。ではワロス様の言葉はある意味あなた達にはご神託となるわけですね。」
マ「まさにその通りだ。そもそもワロス教についてそなたはどのぐらい知っているのだ?」
玉「正直、私も詳しいことはわかりません。私達は転生者なので、転生する前にワロス様にこの世界の事前説明を受けていたというお話です。」
タマ!そこまでバラすのか!まァでも下手に隠すよりはこれから動きやすくなるな。
ホ「なるほど!あなた達は転生者だったのですね!それなら納得です。マッツさんこの人達なら信じられますよ。」
マ「ふむ。まぁなるほどな。この前来た転生者もいいやつだったからな。」
一「えっ!他にも私達と同じような転生者がいたりとかするんですか?」
マ「いるぞ。つい最近もサトウとかいうやつが、この世界に降りてきたぞ。」
斉「佐藤さんここに来てたのか!」
ホ「知り合いですか?」
一「知り合いといえば、知り合いです。私達の世界の同郷者ですね。」
マ「ならば話は早い。サトウ以外にも複数の人間が一度に降りてきててな。最初は困惑してたが、先日までは色々手伝ってもらっていたぞ。」
玉「あの編集部の方殆どこちらに来ちゃったんですかね・・・」
一「可能性はあるな・・・みんな同じワームホールたどって落ちたんだろう。」
斉「まぁある意味安心じゃねぇか。みんな別々の世界に行ってたらソッチのほうがやばかったぜ。」
ホ「なかなかすごい縁ですね。でも少し遅かったですね、あの方たちはすでにこのムラは出られて、首都ロニンに向かわれてますよ。」
一「因みにその人達ってどれぐらい前にこの世界に来てたんですか?」
マ「そうだなぁ・・・大体、1ヶ月ぐらい前か?」
ホ「そうですね。それぐらい前だったと思います。ちょうど前の満月あたりだったので、1ヶ月以上は経ってますね。」
マ「あーそうだったな。そういえば1週間後には満月だな。」
一「満月の時になるレルベの実は見せていただくことは可能なのですか?」
ホ「残念ながら、そんな簡単には行かないのです。流石にその情報は極秘扱いとなるため、あなた達に渡せる情報では有りません。
そもそもこの村に入るためにもまずはこちらで色々と手続きがありまして・・・」
斉「その手続とやらを先に済ませちまおうぜ・・・そろそろ俺も腹ペコだしよ・・・」
マ「そういえばお前ら食べていないんだったな。サエキの言うとおりだ。先に入村の手続きを済ませよう。」
ホ「かしこまりました。ではお三方とも転生者とのことなので、身分証明書の発行とかはまだですよね?」
一「転生してからこちらが最初の村です。」
ホ「ではまずこちらの書類に名前と職、特技などを書いていただきます。」
そこに渡された文章を読んで絶句した。。。
文字が全く読めなかったのである。
楔形文字みたいな形になっていて・・・全く解読不能だったのだ。
話言葉が通じるのになぜ書物はだめなんだ?
まぁやっぱり都合良くは行かないよな・・・これは骨が折れるな。。。
全「「「えっと・・・(汗)」」」
2人も読めなかったようだ。3人で見つめ合ってしまう。
ホ「あれ?もしかして文章読めなかったですか?それは申し訳ごいません。
サトウさんたちはスルスル書いていたので、てっきりあなた達も大丈夫かと思っておりました。」
さすが編集部。
文字を仕事にするだけあってこういったことも臨機応変に対応できたようだ。
今度会ったら教えてもらおう。。。
一「すみません。本当に読めなくてこちらも何をしていいかわからず困惑してしまいました。
大変お手数ですが、代筆をお願いしたいのですがいかがでしょう。。。」
ホ「まぁ読めないなら仕方ないですよね。実際そういう方もいらっしゃいますので慣れてますよ。
ではまずお名前から、お願いします。」
そして完成した文章をホーリは見せてきた。
すかさず斉木がスマホで写真を撮る。
ホ「ん?その黒い板みたいのなんです?」
斉「これはスマホと言って、そうですね・・・俺たちが持っているアーティファクトです。」
斉木すげぇな。すぐそういうことは思いつくんだな。
タマは取った写真を取り込んで翻訳機にかけていた。
玉「先輩!やっぱりこのスマホすごいです。翻訳かけれましたよ!」
タマが書面をスマホで撮って、翻訳をかけたのがこれだ。
名前:ヒトツバシ ユウキ
職業:ヘルパー
性別:オス
土魔法:サンド
光魔法:ライト
闇魔法:ダークボール
特技:人の悩みを聞いてあげること。
性格:生真面目なビジネスマン。
名前:タマヤ アリ
職業:ヒーラー
性別:メス
水魔法:ウォーターボール
風魔法:ブロウ
光魔法:ライト
特技:神の使い、人の心を癒やすマスコット!
性格:理知的な少女、たまに毒舌
名前:サエキ ヒトシ
職業:ウィザード
性別:オス
火魔法:ファイヤーボール
雷魔法:ビリビリウォール
闇魔法:ダークボール
特技:サボること。厨二病の痛い患者
性格:脳筋、ドM、タマのサンドバック
斉「おかしいだろ!」
玉「どこがです?」
斉「いや、色々おかしいだろ。何だ性格厨二病の痛い患者って、、、、
そもそも・・・・タマのサンドバックってなんだ」
玉「事実じゃないですか~」
一「俺のだけものすごく普通だ」
玉「一ツ橋先輩はそれでいいんです。」
斉「もうこれ変更きかないの?」
ホ「ええ。印刷までかけちゃいましたので・・・そのままギルドの登録として載せられます。」
一「俺も斉木もタマに任せてたからな。」
斉「このステータスはあんまりすぎる・・・・」
玉「斉木先輩は落ち要因として、いないとだめですからw」
斉「そんなもん勝手に作るな!」
一「お前ら仲がいいのがわかったから次行くぞ。」
斉・玉「「良くない!」です!」
一「お前らほんと面白いよなぁ・・・」
ホ「おまたせしました。これで手続きは終了です。あなた達に悪意はないことも含めて確認しました。改めてようこそレルベ村へ!」
マ「待たせて悪かったな。とりあえずお前たちが取ってきてくれた食材は、あそこに見える宿屋の"猫のしっぽ"の店主ミーヤに渡しといたぞ。」
玉「わー。可愛い名前の宿ですね♪」
マ「お前たちのことは話しておいたから、とりあえず歓迎してくれるってさ。すでに3人部屋も取ってあるからいってこい。」
一「そこまでしていただいて、ありがとうございます。」
ホ「逆にこちらもだいぶ疑ってしまいました。これは迷惑料と思っていただければと思います。」
一人3大銅貨を渡された。3000円ぐらいだ。
斉「いいのか?」
マ「お前らがワロス神の使いってこともわかったしな。これはそこの宿屋"猫のしっぽ"の一泊の料金だ。」
一「なるほど。そういうことでしたか。ありがとうございます。」
ホ「店主はミーヤという猫の獣人ですよ。」
斉「猫の獣人か!猫耳が見れるんだな♪楽しみだ。」
マ「最近変なやつが猫のしっぽの周りをうろちょろしているって話も聞いている。気をつけるんだな。」
ホ「ちょっと前まではそんなことはなかったんですけどね・・・最近怪しい組織がうろちょろしていて。。。それもあって僕らあんだけ警戒していたんです。」
一「なるほど。では俺たちも気をつけます。ご忠告ありがとうございました。」
マ「ではな。くれぐれもよろしく頼むぞ!」
玉「はい! がんばります。」
マ「良い返事だ。またな。」
斉「ありがとなーおっさん。」
これで3人は門番二人と別れた。
自分の所持金とは別にこの世界で初めて稼いだ(もらった)大銅貨を握りしめて・・・
猫のしっぽの店主ミーヤは、果たしてどんな娘なのか、気になりつつ3人は、猫のしっぽへ向かうのだった。
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マッツ:門番A 村人の中では一番強い人。槍使い。
ガタイがよく、威圧感があるのでまさに天職である。彼を説得するのにはなかなか骨が折れる。
ホーリ:門番B 村人の中では2番めに強い人。マッツのことを尊敬している。
マッツが鞭ならば、ホーリは飴役。根が優しいので強く怒れないタイプ。
相変わらず、会話がおおいですね。
門番との会話でここまでのびるとは思いませんでした( ;∀;)次回やっとこさ、門をくぐれます。。。