神からの依頼。
ここからは少し時間はさかのぼって、玉谷視点です。
女性視点と男性視点は少し違いますよね( ;∀;)
ふぅ・・・女は私一人だから少しさみしいのよね・・・
さて・・・とりあえず自分の部屋のチェックをこれからしないとね。
まずは玄関。
下駄箱まで完備されていて、少し外も出歩けるようにスリッパまであった。
部屋に入るとすぐ脇に洗面所がある。
洗面所には
・歯ブラシ・コップ・カミソリ・綿棒・コットンセットがおいてあった。
洗面所の脇に筒のようなものが置かれていた。
これの使用用途はわからない。
洗面所の上の棚には
・ハンドタオル
・お風呂セット
・シャンプー・リンス・ボディーソープ
・入浴剤3種類
・ボディタオル・ボディスポンジ
・コーム・ヘアゴム・ヘアクリップ
・バスタオル・パジャマ・バスローブ
ここまで揃っていた。
やば・・・お風呂セットの中身新品じゃないの。
まるでホテルだわ。
お風呂セットだけを取り出して他のところも見てみる。
机の下には冷蔵庫のようなものが完備されている。
中にはお茶とジュースが入っていた。
机の引き出しには
・便箋・ハガキ・ペン
クローゼットのような服をかけるハンガーまで用意してある。
布団などもきちっと揃えられていて、いつでも寝れるように準備されていた。
枕の上には時計まで置かれていた。
やばい・・・・めちゃめちゃ揃ってる。
ちょっと異世界の宿ってことで、なにもない簡易宿みたいなことを想像していた。
実はここ日本だったりしないよね?
錯覚を覚えても不思議ではないだろう。
とりあえずお風呂にでも行こうと思い、お風呂セットを持って部屋を出ようとするが、とたんに、スマホがなる。
着信神ワロス。
そんなことあるだろうか?
ナンバーディスプレーを見て焦る。
とりあえず出てみる。
玉「もしもし?」
ワ「お、わしじゃわし。」
玉「新手のワシワシ詐欺ですか?」
ワ「なんでそうなる?着信みてわかるじゃろ。」
玉「えーそうですね。わかりましたけど。
なにかご用ですか?」
ワ「だいぶドライじゃの。まぁ良い。今回は、こちらがお願いする立場じゃからの。」
玉「何かあったんですか?」
ワ「なに、そう難しいことじゃないわい。
ワシの部下の神がどうしてもお主と話したいっていってね。」
玉「ほう。神様に上下関係とかあるんですね。
また私は別の神様とお近づきになれるのですね。」
ワ「そうじゃ。まあ、われは創造神じゃから、すべての神のトップじゃがな。
まあそんなことはいまはいい。どうも急いでるみたいじゃからな。紹介する。風と水を司る神、エルフの神ルージュじゃ。」
ルージュ(以下ル)「はじめまして。玉谷さん。今ワロスが紹介があったルージュよ。」
玉「玉谷有です。よろしくお願いいたします。」
ル「さて、本当は、あって話したかったんだけど、時間がなかったからこうして電話させてもらってるわ。ごめんなさいね。」
玉「私は大丈夫ですけど、そこまで神様が慌てるほどの何かがあったんですか?」
ル「そうね。時間がないのは事実だわ。では説明するはね。前回ワロス様からもお話があったレルベの木についてなの。はっきりいって結構不味い状況ね。このままの状態では、次の満月を迎えられずに、あと数日のうちにレルベの木は枯れてしまうわ。」
玉「そんなことになってたんですね。
私達は、まだその木すら見つけられてないんですけど。。。」
ル「まあ、今日が、この世界初日だからそれは仕方ないわ。
そこで提案なんだけど、私がこれからあなただけをそのレルベの木に転移させて、今の状況を見て貰おうと思ったんだけどどうかしら?」
玉「先輩達はなにしてるんですか?」
ル「あの子達は呑気にお風呂入ってるわね。。。」
玉「この非常事態に呑気なもんですね。。。仕方ないです、世界の危機と言うなら黙ってられません。転移お願いします。」
ル「ありがとう!あとで私も合流するわ。」
玉「わかりました。お待ちしてます。」
ル「では、いくわよ!」
すると、目の前の景色がいきなりグニャリと歪んで、切り替わった。
すこしたつと、先ほどまでいた宿とは違う場所に着たことがわかり、辺りを見回す。
周りは誰もおらず、とても静かで、まず目に飛び込んできたのはものすごく大きな木だ。
木の後ろには湖があるようだった。
玉「とりあえずついたみたいだけど・・・すごいところね。」
その木をよく観察すると、まずものすごく太い。樹齢は、きっと千年越えている。
葉っぱの先には小さい実をつけていた。
これがレルベの実?
随分と小さい。大きさは銀杏ぐらいで色は茶色だった。
ルージュの話もあったせいか、改めて全体を見渡すと、
少し枯れているようにも見えるのだ。
すると、いきなり横の空間が歪んで、ルージェ神が出てきた。
ル「おまたせー。」
このとき改めて、ルージュは神だということが認識できた。
空間の歪みから出てきた彼女の周りは、少し金色のオーラが輝いていたからである。
玉「あ、ルージュさん。空間が歪むってこいうことなんですね。」
ル「転送魔法は初めてだったかしら?」
玉「自分は何回かこの魔法で運ばれてますが、目の前で空間魔法が使われるところを見るのは初めてです。」
ル「なるほどね。まぁたしかにそこまでお目にかかれる魔法じゃないかもね。」
玉「それでこれがレルベの木ですか?」
ル「そうよ。だいぶ弱ってるの。見てわかる?」
玉「確かになんか全体的に元気ないなって感じはしますけど・・・」
ル「そう。あっちの方見てみて。なんか紫色のモヤがあるでしょ?」
ルージュが指した方向を見ると、確かに紫色の霧みたいなモヤが全体的に掛かっていた。
玉「確かに見えますね?なんかあっちの方はあまり行きたくない雰囲気です。」
ル「そうね。あの正体は瘴気。端的に言えば毒よ。」
玉「最近になってあんなのができたんですか?」
ル「そのとおり、実際には前回の満月からだわね。」
玉「これどうやったら解除できるんですか?」
ル「そうねぇ・・・これは人の想念みたいなものなの。悪い感情が貯まるとこうなるのよ。それがあちこちにあるでしょ。
この村でもみんないろいろな苦悩を抱えながら日々生きているわ。」
玉「ってことはその悪い感情が少しでも収まれば自然と消えていく?」
ル「そうね。なかなか難しいところだけど。」
玉「でも何でそんなにみんな念が出るほど大変な思いをしてるのかしら・・・」
ル「この世界を裏で操っていると噂されている組織が原因よ。」
玉「どこの世界にもそういう輩っているんですね・・・」
ル「前回の満月のときに変なのが入ってきたのよね。
具体的には私達のワロス神とは別の形態の宗教を広めようとしているみたい。
ネオス教っていうらしいわ。最強の謳い文句はお金に不自由している人に神の手を。」
玉「うわぁ・・・宗教か・・・しかもお金と組み合わせるとか、最悪な組み合わせ。一番ややこしいやつだ(泣)」
ル「そうねぇ。私達を信じてた人もだいぶそっちに流れていってしまったわ。」
玉「まぁ私達の世界にもありふれていましたからねぇ。そもそも「儲ける」って漢字は、「信者」って書きますしね。
具体的にどんな感じなんですか?」
ル「簡単に言えば・・・借金ね。最初は超低金利で金をばらまいて、返却期限は特に設けてないとかうまいこと行って、どんどんお金を貸していたわ。」
玉「・・・うまい話には裏があるの典型的パターンなんですけど・・・てか教義どこいった・・・」
ル「あまりこの世界の人達はお金の知識は薄いわ。そんな簡単に借りれるなら・・・って形でどんどん借金を作っていった。これもネオスの神様のおかげですと言ってね。」
玉「そこからは悪夢の始まりですね・・・」
ル「あとは想像できるかもだけど・・・しばらくしたら借金の取り立てが来るようになる。最初は優しい感じで来るけど、だんだん怖い感じになって、いつの間にか返済期限などが明確に決められていて、返せなかったら今度は金利がいきなり膨れ上がる。最終的には契約書なども書かせて、返済を迫る巧妙な手口よ。」
玉「私達の世界にはそういう闇金融いっぱいありますから・・・でも借りる方も借りる方ですね・・・」
ル「たしかにね・・・・でもこの世界あまりみんな裕福ではないのよ。たぶん最初は軽い気持ちで借りたんだと思うけど・・・」
玉「まぁお金については私達はものすごく重要なものだし、怪しい人が着たらまずは疑えって教えが有りましたからね。」
ル「そういう意味じゃあなた達の世界も恐ろしい世界よね・・・」
玉「ホントです。異世界まで着てこんな事になってほしくなかったんですけどね。」
ル「まぁ、厄介なことには変わらないわ。」
玉「実際どういう対策を取るつもりなんですか?」
ル「一番は彼や彼女たちが抱えている借金を正しい形で返済してあげれば問題ないわね。」
玉「なるほど。まぁでも相手があってのことだとなかなかそれも難しいのでは?」
ル「そうなのよね。一回でも借りちゃうとあの闇金達はどんどん借りるように促すからね・・・」
玉「ほんとに厄介なことこの上ないわ。」
ル「だから困ってるわ。一番簡単なのは武力制裁なんだけどね。」
玉「なるほど・・・でもすぐできないんなにか理由があるんですね?」
ル「そうなの。一番の悩みは結構力が強い人間が借金にどっぷり使ってるパターンが有るわ。」
玉「まぁ豪快で脳筋なやつほど引っかかるということですね・・・。」
ル「辛辣ね。まぁ事実だけど。」
玉「この件は一緒にこちらに来た二人にも相談してみます。」
ル「わかったわ。お願いね。まぁでも現状を話せてよかったわ。あの瘴気を改善するためにはネオス教をこの村から追い出さないと広がり続ける一方ね。」
玉「なるほど・・・宗教には宗教をか・・・ちょっと考えてみます。」
ル「いい案があったらすぐに連絡して。私の連絡先登録しておくわね。」
玉「あ、いいですね!大変助かります。」
ポケットからスマホを取り出して、連絡先を交換した後、スマホにカメラ機能があったことを思い出した。
カメラを起動する。
玉「そうだ。ここの風景とかいろいろ写真撮っていいですか?」
ル「構わないわ。むしろきちんと取って保存しておいて。」
玉「わかりました。」
タマはレルベの木や湖、そして瘴気の方も何枚か写真を撮った。
玉「最後にお願いがあるんですけど。。。。」
スマホを構えながら、ルージュにお願いした。
ル「なんとなく想像ついたわ・・・」
ルージュは引きつり笑いだが、内心かなり嬉しそうだ。
玉「あ、わかりました?一緒に写真撮ってください♪」
ル「いいわよ。その変わり少し時間頂戴。」
途端にルージュは裏に行って化粧をし始めた。
玉「やっぱりそこは女性の神ねw」
ル「おまたせ。さぁいい写真撮りましょう♪」
ものすごくきれいな顔で催促してくる。
玉「じゃぁ行きますよ。はい、チーズ」
パシャッ
パシャッ
ふたりともめちゃめちゃいい顔で自撮りした。
ここらへんのタマの撮影技術はさすがだ。SNSにしょっちゅう投稿しているだけある。
そして、なにげにルージュもノリノリであった。
多分この世界で神の写真を持っているのはタマぐらいだろう・・・
写真を撮った後は二人は帰ることになった。
玉「ルージュさん、いろいろ教えていただきありがとうございました。」
ル「こちらこそ聞いてくれてありがとう!
お礼と言うわけでないけど、ひとつ魔法を教えるわ。
生活に役立つ魔法よ。水魔法使えるあなたならすぐにできるわ。」
玉「おー!いいんですか?是非お願いします!」
ル「女の子だもん。清潔感は、大事よね。
唱える呪文はクリーン。水魔法の一種でからだ全体を清める魔法よ。」
玉「そんな便利な魔法あるんですね!早速唱えてみます。」
ル「キレイに体を水で洗うのを想像しながら唱えるといいわ。」
玉「わかりました。クリーン!」
すると、体の表面を水が流れる感じがして、上から順番に清められるのを感じた。
ル「あら、上手ね。」
玉「この魔法すごい!!!ありがとうございます。」
ル「流石ね。この魔法は、人にもかけることができるわ。お風呂の変わりになるわよ。
今日はいろいろあって疲れたでしょ。もとの場所に戻してあげる。」
ルージュが、手をかざすと、次元の空間ができた。
ル「これをくぐればあなたの部屋に直行よ。」
玉「本当にいろんなことを教えていただきありがとうございました!またお会いしましょう!でわ。」
ル「また連絡するわー。おやすみなさい。」
こうしてタマは、宿に戻ったのであった。
最近神様に頼りきり。。。
次回斉木視点。