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コラボノストア   作者: 鈴藤美咲
トト様、ご来店です。
21/26

銀の煌めき、蒼と暁の灯

 “思い出”が降ってこないと、カナコは泣いていた。


 光沢を失くしたロトくんの“象”を、カナコは泣きながらながら何度も指先で擦っていた。


 ロトくんは、永遠の少年。だから、消えることはないと、僕だって思っていた。言葉にするのが怖い。言えばカナコが枯れるほど泣くのがわかっていた。


 ロトくんの身に何かが起きた。しかし、まだ決めつけたら駄目だと、僕は諦めを払拭した。


 “象”に目を凝らすと、僅かに煌めいている。

 “象”は僕達が暮らす世界とロトくんを繋ぐ道標。


 胸の奥がふつふつと、熱を帯びていた。僕は“蒼の光”を無意識に発動させていた。そんな僕をカナコは感じとったらしく、僕の掌を“象”と一緒に掌で包むをした。


「タクト、ロトに会いに行こう」


 カナコの、空のように澄んだ蒼い瞳が暁色に彩っていた。力強い目、炎のように靡かせる髪、カナコも僕と同じく“力”を発動させた。僕と同じくはっきりとした理由で、カナコは“力”を湧かせたのであった。


 ロトくん、僕はずっと思い描いていた。キミに僕から会うを、カナコと叶える。


 くっついて、もっと詰めて。

 僕は、カナコをぎゅっと抱き締める。


 ーー蒼と暁の疾風よ、銀の煌めきへと道を標せ……。


 僕とカナコは南の夜空で瞬く1つ星に祈りを捧げ、光と風になるーー。



 ★=★=★=★



 ロトの身体は半透明になっていた。

 さらさらと、多彩な光の粒子が降り注ぐ空間で、ロトは銀の煌めきに変わっていた。



 ロトは、銀の煌めきを弾かせていた。



 タクト。俺は、未来を紡ぐ。


 おまえが見ていた俺の象りは、大気に融けてしまうだろう。

 いつかは、決めなければ。俺はたぶん、迷っていた。あの人の魂を包む金の煌めきで、俺の迷いは払拭された。


 果てしなく遠い未来でも、俺はあの人を見つける。今度は俺の魂で、あの人に逢おうと。

 未来で、待っててくれ。

 俺は、強い想いをあの人に伝えた。


 魂は、永遠。

 俺は、あの人から教えられた。



『黙って行くつもりなの? それも、うんと遠くに』


 弾かれる銀の煌めきに、蒼の光が交わる。


 ーータクト、俺は新しい時を刻む。その場所に移るだけだ。


 蒼の光は、訊ねる。そして、銀の煌めきは怪訝そうに受け答えるをした。


『あのね。それはそれで良いけれど、此方は置いてけぼりを喰らうのと同じ扱い方をされたみたいなの。もう少し、わかりやすい言い分をして欲しいので』


 暁の風が、銀の煌めきに熱く吹き掛ける。


 ーーあんたは、カナコか? 随分とでかくなったな。


 暁の風の強い吹きに、銀の煌めきは狼狽える。


『失礼しちゃうわね。体型はちゃんと、キープしているわっ!』

『カナコ、勘違いしちゃ駄目だよ。それと、ロトくん。僕達は、ロトくんに知らせたいことがある』


 ーーああ。


『なんか“知っている”て、相槌を打ったね』


 ーー“思念”は、聴こえていた。


『ロトくん。キミに何かの事情があって、キミから僕たちの暮らす世界に行けなくなってしまった。でも、悪いことではなかった。カナコ、ロトくんを困らせるのはやめよう』


 ーーすまない、タクト。


『凄く、心配したんだから。タクトとわたしだけでも、ロトを助ける覚悟だったのよ。でも、ロトにとっては迷惑だった。ロトなんて、さっさと行っちゃいなさいっ!』


 ーー随分と、俺は嫌われたものだな。


『ロトくん、ごめん。でも、行き違いにならなくてよかった。ロトくんが本当に、今度こそ自分の生き方で生きていける世界を見つけた。だから、僕は“おめでとう”と、ロトくんに伝える』


 ーー順番が逆だ、俺が先に言わなければならなかった。


『喜ばしいことに、後と先はないよ。ロトくんはロトくんの“新たな時の刻み”に移るから……。』



 銀の煌めきは蒼の光と暁の風に照らされ、吹かれながら銀の雫を弾かせる。


 銀の煌めきは、蒼と暁の彩を付着させる。

 “蒼と暁の灯”の種火を“未来”に持っていくと、銀の煌めきは最後の一粒を弾かせる。



『行っちゃった。タクト、帰ろう』


 暁の風は蒼の光を促して、空高く舞い上がる。そして、銀の煌めきが残した蜃気楼に吹き込んだーー。



 ★=★=★=★




 ロトはどんな未来に行ったのだろう。

 ロトは顔立ちが綺麗だったから、其処では女の子になってても全然平気だと思う。


「どうした? さっきからヘラヘラと笑って」

 隣にいるお父さんが「むすっ」と、している。


 お父さんは“花嫁の父”の役目で、緊張しっぱなしだろう。なによ、お父さん。わたし、聞いているから。お母さんとの結婚式の時はずっとヘラヘラしていたて、タクトが言っていたもん。


 モーニングコートを着ているお父さん、レースのベールを被って白いウエディングドレスを身に纏うわたし。


 右手はお父さんの左腕を、左手に白い百合のブーケを抱えて。


 挙式の会場は、ガーデニング形式。花と緑に囲まれての、チャペルウエディング。いやだ、パーティーで振る舞われる、風が運んだご馳走の匂いでお腹が鳴っちゃった。


 わたしは、タクトのお嫁さんになった。


 お父さんのあんぽんたん。乾杯が終わったとたん、速攻でタクトに絡む姿はみっともないでしょうっ!


「あなたのお父様は、あなたをとても大切にされていたのですよ。いえ、花嫁の父は誰もがそれが普通だと思います」


 式場のスタッフの人だろう。中身が注がれているグラスをトレイに乗せて運びながら、わたしに「こそっ」と、囁いた。


 顔を見て、びっくりした。

 ロトにそっくりな女の人。銀の髪を結って、翠玉の瞳。


 わたしが想い描いていた“ロト”が、いる?


 ーータクト、カナコ。おめでとう……。


 聴こえる、聴こえた。

 繋がりは、裁たれていなかった。


 ロトは、未来からわたし達をお祝いしてくれたのね。あ、タクトがこっちを見ている。


「ロトくんは“未来”で幸せに暮らしている。あの人は、ロトくんが“未来”から送った象りだ」


 お父さんをようやく振り切ったタクトと、わたしは目を合わせる。


 タクトが言うなら、それは本当だよ。

 だって“ロトの象”がきらきらと、銀色で眩しく光っているから。


 未来のロトの中にいる、ロトの“魂”が遠くて近い昨日にやって来た。


 ロト。今度は、いつ会える?


 わたし、楽しみにしているからねーー。








ロトくんとタクト達の物語は、おしまいです。

(ロトくん。うちの子達のお世話、お疲れ様でした)


次話は、トト様キャラとのコラボレーション作品の“思い出”の展示になります。

皆様のご来店、心よりお待ち致します。

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