帰宅するあなた
二人称小説に挑戦しました。
手法が合っているのか良く分からないが、日常をテーマにした短編です。
帰宅ラッシュの電車。
パンツスーツを着こなし、ポニーテールでシンプルに髪を結んだあなたはいつも通り満員の車内でお気に入りの音楽を聴きながら帰路につく。
車内アナウンスが流れると、あなたは降りる為に体を反転させて入口に向いた。
電車がホームに到着し、人の流れに乗ってあなたは出口へ足を運ぶ。
同時にあなたはSuicaを取り出していた。
スムーズに改札からみんな出て行くが、あなたの前の人が引っかかってしまう。
慌てないあなたはすぐ隣の改札に移動して駅の外へ出る。
迷う事なくあなたは毎度寄るコンビニへ行く。
店員のやる気ない「いらっしゃいませ」が聞こえる中、あなたは新発売のシュークリームとおにぎりを2個買う。
最近は少しお腹周りのお肉が気になって、夜はいつもより控えめにしている。
商品を手にレジの列に並ぶあなたは、ぎこちない手つきで精算する中国人バイトを見ていた。
特に思うところはないが、あなたはカタコトの日本語で懸命に対応する中国人バイトをただ見ていた。
順番がやって来ると、あなたは片方のイヤホンを外し、商品をカウンターに置く。
やはり、中国人バイトはぎこちない手つきで精算をする。
あなたはそんな中国人バイトに優しく微笑んで代金を払う。
レジ袋を片手にコンビニを出たあなたは、スマホを取り出してlineの返信をする。
次の休日で友達と会う約束をしていて、何をするか他愛もないやり取りをしながら気付くと家路に着いた。
マンションのオートロックの番号を押す。
「3281」だが、あなたは「ミツバチ」と語呂合わせで覚えていた。
エントランスのすぐ横にあなたの部屋があり、カギを開けて明かりをつける。
カーテン越しに写るあなたは結んでいた髪をほどき、上着を脱いでいた。
「お疲れさま。今日も大変だったね」
僕はいつもあなたを見ているよ。