0時間目
7月の何とも言えない暑苦しい時期。
学校はもうすぐ終わり夏休みが待っている。
あと少し...あと少し耐えるだけで夏休みだ!
数学の時間、そのようなことを考えてあと20分程残っている地獄の時間を夏休みの間にどう過ごすかの予定を考えていた。
しかしその思考すら止めにかかってくる猛暑。
意識が持たない...
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気付いたら僕は何もないとても広い空間に横になっていたいた。
地面があるのと意識があって感覚もしっかりとある。
辺りを見回す。
やはり何もない。
自分だけがそこにいる。
地面はずっとまっ平らで、すこし遠くがぼやっとしていて辺りはまっしろだ...
「どこだここ...」
少しの絶望と未知の空間に対する好奇心が私の心で渦巻いていた。
ふと、後ろから声をかけられた気がした。
後ろを振り向く。
そこには黒いスーツにシルクハットを着た、まさしく紳士と言われる者が立っていた。
「調子はどうかね?」
さっきまではここにいたのは僕だけだったのに、新たに誰かがそこに立っている。
一体ここは夢の中かそれとも死んだ後の世界なのか。
だが死んだ後の世界としたらこの人は一体だれなんだろう。
「調子はどうかと聞いているのだが、大丈夫かね?」
「あ、はい 大丈夫です。」
とっさに大丈夫と答えてしまったが内心全く大丈夫ではない。
「あなたは、一体だれなんですか、そしてここはどこですか?」
「まぁ落ち着きたまえ。」
「ここは君の頭の中というか、それとももっと別の世界なのか私にはよくわからない。」
えぇ...
「まあ自己紹介なら出来る。」
「私は 0 である。」
「0? 0って数字の?」
「そうだ。」
「だが少し呼びにくいかもしれないしこれからのことを考えるとややこしくなってしまう。」
「なので0ではなくoと呼んでくれ。」
「oってなんか数学に出てきた真ん中の数みたいですね。」
少し失礼かもしれないがとっさにそんな質問が出てきた。
「その真ん中の数みたいなものを原点と言うのだ。」
「今は数直線やグラフなどの基準にする点と思ってくれていれば十分だろ。」
「流石にこのくらいなら君も知っているのではないかね?」
「ま、まぁそうですね。」
とっさに意識が失われる前のことを思い出す。
丁度数学の時間だった。
という事はこの夢もそんなことから見ているのだろう。
さっきまであった緊張と不安が薄れて好奇心から完全に楽しい気分になってきた。
自分の夢という事はこの紳士みたいなoが知っていることも自分の知っていることと同じだろう。
自分をテストするつもりでいろいろ質問してみたくなってきた。
「oさんって数学に詳しいんですか?」
「そうだね。」
「ある程度のことなら答えることができる。」
「じゃあなんで0っていう数字があるんですか?」
「では失礼ながらこちらも質問してもいいかね?」
自分が答える前に話は進む。
「-1と1があるとする。」
「この二つの数字の差はいくつかね?」
「えーっと、1と-1をひけばいいんだから、1-(-1)で、1+1で2か!」
「そうだ。」
「つまり1と-1は2だけ離れた場所にある。」
「0が無ければその隙間を埋めることは出来ないね?」
「だから0という数字はとても数学で重要な物なのだよ。」
「なるほど、そういうことなんかですか。」
「0という数字はインドで発明されたものなのだが、とても面白い性質を持っている。」
「面白い性質?」
「そうだ、例えば100という数字があったとしよう。」
「それに0をかければどうなる?」
「そりゃ簡単でしょ、0です。」
面白い性質と聞いて複雑なものが出るのかと思ったら小学生でもできそうな簡単な内容でがっくりした。
「じゃあ2を0で割ればどうなると思うかね?」
「えーっと、たしか0では割れないって習いましたけど...」
「そうだ!数字を0で割ることは出来ないのだよ。」
「最初に0という数字ができてこのことに気付いた時、人々は私を悪魔の数字と呼んだ。」
「その時代の人からすればどんな数でも0にしてしまったり、計算すらできないような数字はまるで悪魔みたいなものだったのだよ。」
「は、はぁ...」
とりあえず相槌を打っておく。
自分はこんなことは聞いたことが無いと思うし、本当にこれは自分の夢なのかと疑問に思ってきた。
少しずつ意識がぼやけてくる...
「おおっと、どうやら今回はここまでのようだね。」
「またいつか会うことになるだろう。少年」
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目が覚めたらベッドで寝ていた。
起き上がって周りを見ている。
カーテンに仕切られていて少し寒いくらいの温度だ。
カーテンをくぐり周りを見る。
僕の知っている場所だ。
「あら、起きたの?」
「大丈夫、しんどいところとかない?」
「一応体温測っておいてね。」
保険の先生から体温計を渡される。
体温計には00.0という数字が点滅している。
一体さっきまで見ていた夢は何だったんだろう...
また会うとか言ってたけどよくわからない。
まあいいか、面白かったし。
もしかしたら続けます。




