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その箱を開けた世界で  作者: ナガズボン
第1章 鳳凰院 蓮火(仮題)
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幕間 受付の係員のお姉さん

 私は戯れに冒険者ギルドの職員として働いていた。


 何年たっても朽ちない身体。


 私にとっては、生きる、そもそも生きてるって言えるのかは分からないけれど、それはもはや暇潰しで、その手段に様々なことを試してきたけれど、どれも長続きしなかった。


 冒険者として活動していた時期もあったけれど、数十年前にどこかの国で一番上のランクになってしまって、その後に数年で飽きて止めてしまった。

 冒険者を止めると伝えたら引き止めがしつこくて、ある日突然姿を消したけど。

 千年ダンジョンに潜るって伝えてそれっきりだから、ダンジョンの中で死んだと思われているでしょうね。

 そう言えば、冒険者をしている時、ダンジョンで妙な箱を手に入れたわね。

 変わった箱だった。

 なんせ、ダンジョンの宝箱の中に入っていたんだから。

 いらなくてあの娘にあげちゃったけど。


 それからまたしばらく暇潰しの手段を探して、そこでたまたま見つけたのが今の仕事だった。


 今回も長続きしないかと思っていたけれど、案外とこの仕事が気に入っている。


 正確な理由は自分のことなのに自分でも分からないけど、多分色んな人がいるからなんでしょうね。


 冒険者でいる時は気付かなかったけど、冒険者をやっている人たちって意外とおもしろい。


 単純な人が多いけど。


 私がただの人間じゃないっていうことは言っていない。


 前にそれを言って、どこからか嗅ぎ付けてきた変な宗教団体が私を祀ろうとしたから。

 あの時は正直めんどくさかった。

 めんどくさすぎて何もかもを葬り去ろうとしてしまったけど、めんどくさいというだけで殺してしまうのも、いくらなんでも申し訳なくて。

 その時も結局、冒険者の時のように突然、姿を消した。


 

 ある日。

 私がいつものように冒険者ギルドに出勤すると、ギルドの中がにわかに騒がしくなっていることに気付いた。


 同僚に話を聞くと、どうやら自然発生したダンジョンがあるらしく、それの対応にてんやわんやしていたらしい。


 私たちも詳しくは知らないんだけど、あのダンジョンが関係しているらしいわね。

 あのダンジョンはもう飽和状態でそこから溢れた力が色んな場所に分散して出来るらしい。

 全く分からない。


 どうやら交代でダンジョン入り口の受付を行うとのことだ。


 その一ヶ月後。


 私が担当する日が来た。


 厄介なことに、あのダンジョンからかなり高値の付いたアイテムが出たらしく、その話が広まってからはものすごい混みようらしい。


 実際に業務を始めると、まあ来るわ来るわで、休む暇もない。

 同僚の男性もものすごく忙しそうで、ギルドに応援をお願いしていたけど、ちょうど手伝うことの出来る人がいなかったみたい。


 しょうがないから二人で対応していった。

 そして、この列を捌けばようやく落ちついて来そうだと思ったその時に、予想外にもあの子が来た。


 女の子と潜りに来たようだった。


 彼の冒険者証を確認して例の子だって知って、その後もう一人の彼女のも確認して、顔には出さないよう驚いた。


 彼は随分と面白い娘といるみたいね。

 これから彼らがどうなるか、興味深い。


 やっぱりこの仕事は、お気に入りだわ。


 そう言えば、箱をあげたあの娘、元気にしているかしら。

 ここ何十年かは全く会ってないけど。


 まあ、死んでるってことはないでしょうね。


 なんたって、そういう身体なんだから。

 いつか私たちも、普通に死ねる時が来るのかしら。


 死ぬってどんな感覚なのかしら。


 まあそれは、死んだ人にしかわからないか。

 生きてる人には分からない。


 そう言った意味では、私たちも生きてる人間と同じなのかもしれないわね。


 良かった。


 


 

 

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