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勇者ですが闇属性です  作者: ノウレッジ
第1章
4/14

1-3 出立

旅立ちは今この時から。

世界に向けて力強く羽ばたく。


だがしかし世界は冷たいから。

その眼差しの先に残酷な事実を置く。


10年という歳月から。

その眼に残酷な現実を徐々に開放して行く。

「それ着てくの?」

「ああ、一応俺は死人って事になってるだろうからな。何かあっても面倒だし、顔は隠しておくよ」


 瑠璃の質問に、琥珀は答えつつ漆黒の鎧を身に纏う。

 言わずもがな、魔王製造機の黒い鎧である。瑠璃が修理するためヤギのような角の箇所を魔術で首回りに回してしまったため、最早本格的にただの真っ黒な鎧である。夏場に着たら5分で熱中症になれる事は請け合いだ。


「この屋敷に他に顔を隠せそうなモンはいくらかあったけど、仮面とかだとちょっとな。鎧の兜で顔を隠している方がまだ不審がられないだろう?」

「そりゃそうだけど」


 琥珀が死んで10年も経ったとは言え、この世界には琥珀の顔を知っている人が少なからずいる。そんな人の前に10年経っても何一つ変わらない少年が出れば混乱は避けられないだろう。


「にしてもよく着る気になれるよね。それ乗っ取る機能があるって説明したのに」

「本当に乗っ取るならもっと前にこの鎧は行動してるさ。ホラ」


 ガション、と兜を被り瑠璃に振り返る琥珀。鈍重そうな見た目からは想像もつかない程に鎧は軽く、そして何より琥珀に憑りつこうとした名残なのか、サイズは少年にピッタリだった。

 この鎧は厚底ブーツも顔負けの靴底の厚みと、どこぞの部族もビックリな身長詐欺の仕組みなため、本来170cmしかない琥珀の背は2m程に伸びている。これでも旅をする者の中では200どころか300はありそうな巨漢もいたため、特に問題にはならない。


「さて、それじゃ行こうか」


 準備を整え、荷物を背負い直す鎧少年。長旅では如何に荷物を減らすかが重要な命題の1つであるため、現代で言うバックパックにまるっと収まる程度の量しか無い。

 地図を片手に真っ直ぐ、見据えるべき未来へと目を向ける。

 どうしてこうなったのか。

 何故彼らは自分に刃を向けたのか。

 一体何があって不満の1つすらぶつけなかったのか。

 それを明らかにするべく、琥珀と瑠璃は今まさに旅を始めた。



  ☆



「それで、どこに向かうんだっけ?」

「ん、まだ話して無かったか?」


 琥珀の脳内に於けるこの世界の地図は10年前のものなので今も残っているかは怪しい所だが、一先ず隠れ家であった館の所在地はおおまかに理解していた。あの場所から最も近い場所に、小規模な町があった筈だと記憶しており、旅を続けるための物資をそこで補給する事にしたのである。


「町と言うか、どちらかと言えば村だが……、まぁ買い物が出来る程度には少なくとも栄えていたよ。闇魔法を学べるような場所があれば良いな」


 魔界、正式には裏世界に向かう前に立ち寄った最後の人間の住まう場所、覚えていないワケが無い。馬を駆っても数日はかかるのだがそこはそれ、勇者たるもの秘策の1つや2つ用意してあるのだ。


「<コモンアクセル>」


 琥珀が唱えた術はコモンマジックと呼ばれる属性に寄らない、無属性とでも呼べる魔術だ。強力な術は属していないが、ある程度の魔術が使える者なら誰でも使える汎用性の高いものとなっている。

 <コモンアクセル>は移動速度を1.5倍程にする術。誰でも使える、基本的な何の面白みも無い魔術だ。

 だが何よりこの術の最大の特徴は、重ね掛けが出来るという点にある。


「<コモンアクセル>、<コモンアクセル>、<コモンアクセル>……、<コモォンアァクセルッ>!」


 重ねる事、実に5回。即ちそれは1.5の5乗であり約7.6倍の速度になるという事だ。

 一般的に人間の歩く速度は1分間に80m程と言われている。これはつまり分速80m、時速4.8kmである。それが7.6倍になれば時速約36.5km、一般道を走る車とおよそ同じスピードに匹敵する。

 これ以上加速すると流石に自分の動体視力が追いつかなくなるため、琥珀は急ぎでもなければ最大でも5倍掛けで止めているのであった。もっとも常人がこの魔術を重ね掛けできるのは精々2回、2.25倍速まで。3度以上は一線級の戦士でも殆ど不可能なのであるが。


「行くぜ、ついてこーい!」

「あ、ちょっとー!」


 ダン!と大地を蹴る音がする頃には既に少年の姿は街道の遥か彼方。幽霊の少女は慌ててその後を追う。彼女はフヨフヨと浮遊しているので、別にどれだけ彼が速くなろうが全く構わないのだが。

 大地を歩くのと同じ体力の消耗で移動しながら、マラソン選手のような速度で走り行く琥珀の隣、瑠璃が置いて行かれた事に唇を尖らせながら併走する。果たして彼女がどうやってこの速度を浮遊で維持しているのかは全くの謎であった。


「もう、そんな急がなくても良いじゃん!」

「ははっ、悪い悪い!」


 でもさ、と苦笑いしながら琥珀は続ける。


「この世界の裏世界の王……、魔王のシステムは少なくとも一つは崩壊したと見て良い。それはこの鎧が証明しているだろう?」

「んん、まぁね」

「だったらさ、俺見てみたかったんだよ。魔王の脅威が無くなって誰もが笑っているこの世界を。もう魔王の軍に怯えなくて良いし、寝ずの番も夜盗相手くらいになる。

 そいつぁよ……良い世界だと思わねぇか?」


 琥珀は、こちらの世界に召喚されてから現代日本の安全性を何度も噛み締めた。

 夜に見張りが必要無い事、誰もが相手を疑わずにいられる事、平和を得るために敵と戦う必要が無い事、復讐すべき人外の存在がいない事……。全て、日本では『当たり前』だった事が、ここには無かった。

 当然だ、その『当たり前』は現代に至るまでのありとあらゆる人々が流した血と涙で彩られた道によって開拓された物だからだ。過去の人々の生み出した試行錯誤と犠牲こそ、現代の安心と安全の土台となる大地そのもの。それだけの歴史を積み上げていなければ、当然そんなものは無いのである。

 だから琥珀は剣を取った。彼らの悲願の未来を、死した名前も顔も知らない人々の遺志の望みを、自分が当然のように享受していた安全をこの世界に齎すために。

 無論、それが琥珀個人の奮闘で得られるものでは無い事ぐらい重々承知している。だが、そのための大きな一歩になるため、少年は戦ったのだ。

 なのに……。


「何でアイツら、唐突に裏切ったんだろうな」

「琥珀……」


 どこかに予兆があったのかも知れない。それに気付かなかっただけかも知れない。

 それでも、せめて一言くらいあっても良かったのではないか。そう少年は考える。例えどれだけ彼らが悪人であっても、長い旅路を共に歩んだ仲間であったのに。


「ふっ、いや、やめておこう。新しい旅は始まったばかりだ、いつまでも引き摺ってちゃいけねぇよ。このテンポで行けば2時間もしないでリチムという町に到着できる。そこで改めて今後の方針を決めようぜ」

「君がそれで良いなら」


 10年も過ぎて彼らがどうなったかを探る事は容易くないだろう。それに5人が5人とも生きて帰っているなら英雄と祭り上げられている可能性も低くない。そんな輩に剣を向ければ、10年前の亡霊に待っているものなど言うに及ばず、だ。

 ならばまずは今の世界をよく見るべきだ。或いは別世界の自分の過干渉が気に入らなかったのかも知れないし、彼らなりの流儀があるのかも知れない。

 幸いにも向かう先にあるリチムは表裏の世界の境界線とも呼べる場所にある町であるため、人間も亜人と呼ばれる人間以外の知的生命体も共存している。そういった場所なら情報も集まりやすい事だろう。

 仲間達が裏切った事を心の隅に押し込め、琥珀はただ一直線にリチムへと向かうのであった。


 だがその途中で、何か奇妙な事に気が付いた。

 2時間で70km以上移動出来るという事は、日本で置き換えると東京駅から少なくとも三浦半島を超えるだけの距離である。東京の都市名で言えば奥多摩に手が届く。

 違和感はその途中、歩き続けて約1時間半程でより濃い物へと変貌した。


「……おかしいぞ、何故誰の姿も見えない?」

「確かに、これだけ歩いていても人っ子一人見えやしないね」


 リチムは争いを好まない人間と亜人が共存して暮らす比較的小さな町だ。それ故にビジネスチャンスも中々に多く、こぞって商人達が利権の獲得を目指して出入りしている。町の規模が広がらないのは土地的な要素や人口的な要素もあるのだが、それでも決して寒村では無い。

 だと言うのに、90分も高速で歩く中で、商人どころか人の気配すら感じられない。あるのは街道沿いに生えている林と虫や鳥だけ。

 有り得ない。いくら高速で移動しているとは言え、誰とも出会わないなど普通は無い。車の窓から外に人間が見えるのと同じで、彼らを全て見逃したという可能性も低い。


「……嫌な予感がする。急ごう」

「うん」


 ここで琥珀は移動を歩きから走りに変更、徒歩とは比べ物にならない程の速度で道を駆け抜け始める。まだ距離があると踏んでジョギング程度のスピードだが、それでも歩くよりは早いだろう。

 妙な胸騒ぎがする。思い過ごしであって欲しいと願いつつ、逸る心を抑える少年は土と草と石の道を只管に走った。


(まさか、いくらアイツらがクズでも、そんな――!)


 ヘドロのように腐臭を放つ予想を必死に振り払う。

 旅をした仲間5人は確かに言い逃れ出来ないような悪人や性悪ばかりだが、それでも最低限ヒトとしてのモラルは持っていたと少年は信じている。そんな事はしない、きっと町の場所が変わったか、琥珀の記憶が間違っているのだ。そうに違いない。


「……見えたよ、琥珀!」

「ああ!」


 歯を食い縛る程に疾駆する少年と追随する少女の目に、目的地のリチムが飛び込んで来た。

 山岳地帯の街道にあるその町に行けば、琥珀の望む物資も手に入るし、もしかしたら闇属性の魔術をもっと詳しく知る事が出来るかも知れない。10年を経てこの世界がどう変わったのかも知りたい。

 だが、その思いは叶えられそうに無かった。


「っ、クソッタレ!」

「これって……!」


 何故なら目的地であるリチムは、嘗ての小さな繁栄の見る影も無い、ゴーストタウンと化していたからだ。



  ☆



 乱れた息を整え、兜の面頬フェイスガードを上げる。

 少年の何も遮らない肉眼に飛び込んで来たのは、元が家であったという事すら分からない程にボロボロになった石と木材だった。


「これって……」

「こいつはヒデェ……」


 最初は住民が残らず移住してしまったのかと思いたかったが、どうにもそういった雰囲気では無い。もし琥珀がリチムを最後に去った直後に移住が始まったとしても、10年で家屋が原型を無くすとは考えにくい。建物とはそこに人が住まう物、中で人が活動するための場所。そう簡単に風雨で壊れるような脆い作りでは意味が無い。

 2人は早速、この町で何があったかを知るために調査に入った。


「見ろよ瑠璃、この壁。明らかに血の染みだ。雨とかで流れた事を考えると、かなり夥しい量だぞ」

「それならこっちにもあるよ。かなり古いけど、軒下だからこびり付いて残ってたみたい」

「おっと、この壁には矢の刺さった穴が開いてやがる」

「この壁は大きくて重い何かで砕かれたみたい」


 調べれば調べる程、この町で何か不穏な事が起きたという事を如実に物語る証拠が浮かび上がって来る。

 夜盗や山賊の類かと思ったが、それにしては被害が大きすぎる。破壊痕には彼らが用いないような兵器による痕跡も認められ、また魔術的な町へのダメージも甚大なレベルに見えた。


「琥珀、これって……」

「少なくとも賊の類の仕業じゃないのは確かだ。闇に紛れて盗んで殺すのがセオリーの連中が、こんな無意味な破壊までしていくのは考えにくい。もし万が一、仮にそうだとすれば、リチムに相当な恨みを抱いているくらいだが、それなら火を付けた方が早い。

 ったく、リチムは小さくとも良い奴らばかりの町だったってのに……、ん?」


 胸糞悪くなるような光景を調べながらある半壊した家屋の残骸の下を覗いた時、琥珀はある物に気付いた。


「瑠璃、これ」

「ん?」


 そこにあったのは割れた銀のカップだ。この世界でも市販の、ちょっとオシャレな店で安く売られている、そんな何の変哲も無いシルバーの食器。それが力任せに地面に叩き付けたようにパックリと割れている。


「銀のカップ? でもそれがどうしたの?」

「甘いぞ瑠璃。この銀のカップ、まだ真新しい。つまり錆びてない・・・・・カップだ」


 銀の食器は空気に触れ続ける事で錆びついてしまう。そのため定期的な使用や磨く事が必要だ。当然、落ちて割れたカップにそのような酔狂な事をする輩がいる筈も無い。なのにこのカップは多少土で汚れているだけで、全く黒ずんだ酸化銀にはなっていない。


「どう見てもこのカップは古い物じゃない。って事は、だ」

「誰かがこのカップを持ってここにいた?」

「ああ、それも多分通りがかったとかじゃない。ここに何かしらの形で住んでいたと見るべきだ」


 瓦礫の下にカップがあったのに、そのカップは古びていない。しかも半壊した家はよく見ればまだ寝泊り出来る程度にはスペースが残っている。

 恐らく、誰かがここに住んでいるのだ。何故かこの崩壊した町で。


「……瑠璃、確かお前、姿を消す事が出来たな」

「え、うん?」

「隠れてろ」


 唐突な琥珀の指示に首を傾げつつ、その場で煙のように消える瑠璃。

 それとほぼ同時、大地を蹴る蹄の音が近付いて来た。この世界にも馬がいるのか、と苦笑したのは、はていつの日だったか。


(かなり統率が取れた足音だ。間違い無く山賊とかの類じゃない)


 カップを瓦礫の下に投げ入れて元に戻し、元は壁だったであろう岩の上に腰を下ろす。フェイスガードを下げて待つ事暫し、すぐに数名の騎兵が道に沿って現れた。


「おい、そこの貴様!」

「……俺の事か?」

「そうだ、怪しい奴め!」


 乱暴な言い方だな、とフェイスガード越しに琥珀は眉を顰めた。

 現れた騎兵は全部で5人。いずれも物々しい甲冑に身を包んだ騎士であり、どう見てもどこかの国軍の派遣部隊のようにしか見えない。

 ただ鎧に刻まれた所属している国のシンボルと思しきマークには見覚えが無い。この10年で新しく出来たか、或いは既存の国が新たにシンボルを変えたか。いずれにせよ彼らがどこから来た何者なのかは分からなかった。


「貴様、何者だ」

「ただの旅人に過ぎない。遥か遠き地より延々とこの足で歩き続けた、しがない男だ」


 素早くコモンマジック<ボイス・エラー>を無詠唱で唱えて声を変える。声を変えると言うが、これは他人の声になると言うよりはニュースのインタビュー等にある、プライバシー保護のための声のモザイクに近い。

 明らかに声を変えている事を不審がったのか、5人の騎士は馬に乗ったまま瓦礫に座る琥珀に近付いて来た。


(……?)


 視線だけで彼らを観察していると、ふと彼らがニヤニヤしながらこっちに近付いている事に気付いた。

 すわ最初は実体化を解いて透明になっている瑠璃に勘付いたかと思ったが、すぐに違うと判断した。何故なら彼らは琥珀を取り囲むように包囲し、腰の剣を抜いたからである。


「何だ、俺を囲んで何か面白い事でもあるのか?」

「へへへ、あるとも。ただしお前にとっちゃ面白くは無いだろうがな?」

「ほう? 是非とも聞きたいな」

「なーに簡単だ、お前の荷物と有り金を全部頂いちまおうってだけだ」


 そんな所だろうと思った、琥珀は兜の内側で小さく溜息を吐いた。

 おおよそこういった連中のニヤニヤ笑いはロクな事を考えていない証左だ。旅の中で何度も強盗や蛮族に襲われた経験から、少年はそれを察していたのである。


「何だ、騎士の恰好をしていると思ったが、騎士に扮した盗賊だったか。俺の観察眼もまだまだだな」

「あ?」


 軽く挑発する程度の意味合いで嘲ったのだが、どうやら向こうはそれが気に入らなかったらしく、目に見えてその表情に苛立ちを浮かべた。

 琥珀は更にこれに追い打ちをかける。


「遠方から来た故、俺はその鎧の紋章が何処の物かは知らない。だが貴様らのような下品な連中を野放しにしている時点で、お里が知れるというものだ」

「なんだとテメェ!!」


 掛かった。騎士の1人が激昂するのを見て琥珀は静かにほくそ笑む。

 これで有用な情報の1つでも吐いてくれれば儲け物だ。


「お前のようななぁ、こんなクズしか居なかった町で休んでる奴が俺達を馬鹿にして良いとでも思ってるのか、ア゛ァ!?」

「さてな、少なくともお前らのように出会い頭に荷物を奪おうとする奴らに払う敬意等、持ち合わせていない。敬意の無駄遣いだ」

「言いやがったな、この世間知らずめ!」

「最低でも、俺は先も言った通りその鎧の紋様を初めて見る。お前達が何者か、それが分からない奴に居丈高にしていても滑稽なだけだぞ」


 更にもう1人の騎士も怒りを露わにした。もう少し、もう少し怒らせれば情報が引き出せる。

 そう考えた琥珀は次の騎士の言葉を待つ。が、怒鳴っていた騎士達は何故か唖然とした表情を浮かべていた。


「……どうした?」

「は、お前まさかこの紋様が本当にどこの誰の物か知らないってのか?」

「知らん、そんな悪趣味なエンブレムは見た事も聞いた事も無い」


 次の瞬間、ドッと周囲に笑い声が響いた。


「何が可笑しい」

「ひ、ひひゃははははははは! おい田舎者、くひっ、念のため訊くぞ? お前この鎧のエンブレムを知らないのか?」

「そうだと言っている」

「か、く、あははははははははははは! こいつ、オイ聞いたかよ、ハハハハハハハ!!」

「聞いたぜ、ヒヒヒヒヒ! まさかこのエンブレムの意味が分からない奴がいるなんて、あーっはははははははははは!!」


 再び琥珀が騎士の質問を肯定すると同時、彼らの嘲りを含んだ爆笑はより大きくなった。

 心根がいくら優しいとは言え、こうも意味不明の理由で嗤われていては流石の琥珀も不愉快に感じざるを得ない。


「ハハハハハハ! オイ、良いかそこの黒い騎士? とんでも無いド田舎野郎の貴様に教えてやるよ!」


 そうして嗤われる事、実に10分に至ろうかとなった頃、漸く騎士の内の1人が笑いを治めたようだ。その口から衝撃の事実を解き放った。






「これはな、アイハラ・コハクって勇者様が、この世界を救って建てた国の国旗なんだよ!」



To be continued

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