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勇者ですが闇属性です  作者: ノウレッジ
第1章
10/14

1-9 後詰

窮すれば通じる。

貧すれば鈍する。


才知ある者も生きねばならぬ。

才知なき者も生きねばならぬ。

 琥珀改めノワールがゴッシェ達と出会った場所は『帝国平和維持軍南方担当部門第一駐屯基地』と言うらしい。長ったらしいが、琥珀と瑠璃の耳にはそう聞こえたのだから仕方がない。

 この世界本来の言語ではもっと短いのか、逆に長いのか、気になる所だ。


「さて、改めて名乗ろう。俺はノワール、10年前に卑劣な輩に背中から刺されて何もかもを失い、復讐を決意した者。以降、よろしく頼む」

「シンシャ帝国が騎士、ゴッシェ・ナトイです。階級は軍曹、年は24、この南方駐屯基地では中隊長補佐官を務めています。何卒、良しなに」


 聞けば、この駐屯地では5番目くらいに偉いらしい。しかし6番目に位置するのがその他大勢でもある他の騎士達なので、大差は無いとの事。実質、下っ端に毛が生えた程度といった所か。

 彼も苦労していたのだろう、としみじみ思っていると、姿を透明にしていた瑠璃が琥珀の後ろからゆっくりと現れた。


「そんで、私はブランシュ。幽霊だよ、よろしく♪」

「はい、よろしくお願いします、ブランシュ夫人」

「「夫人!?」」

「違うのですか?」

「……生憎な」

「生憎ね」

「そうですか」


 夫人、つまり妻に見られたのは素直に言えば小っ恥ずかしい。2人とも将来的に一緒になるんだろうとか、学友からは夫婦扱いされたとか、色々青春の甘酸っぱい記憶が共有されている事も相俟って、夫婦という単語を意識してしまうのは仕方ない事かも知れなかった。

 ふと、横にいる瑠璃を見る。どこから手に入れたのか、その微妙に向こう側が空けて見える姿は、先刻までとは少し変わっていた。

 鼻から下を隠すマスクを装着し、ボブカットの髪は長く美しいポニーテールに。服装もシンプルな上下から飾り気の無い忍び装束を思わせる物へと変わっており、一目で瑠璃と分かる要素はどこにも無くなっている。さながら浮遊するくノ一か。


『お前、いつの間に……』

『幽霊だもーん、イメージがあれば軽く変装するなんて朝飯前にゃん!』


 コモンマジックの<テレパシー>で話す2人。有効範囲は3mというヒソヒソ声とどっちがマシか程度の術だが、取り敢えず聞かれたく無い人が目の前にいる時は役立つ。

 そういうモンなのかと思ってしまうが、瑠璃も自身の肉体について全てを把握しているワケでも無いし、ましてや他人の琥珀にとっては猶更だ。

 と言うか髪が伸びている時点で『軽く』では無いような気がする。

 んんっ、と軽く咳払いをして、琥珀は話を戻す事にした。


「さて、ゴッシェ殿。俺が見るに、この国は非常に危うい。上は横暴の限りを尽くし続け、下は絞られてもなお絞られてやつれるばかり。寧ろこんなシステムでよく10年も保ったと思う程だ」

「……最初の数年は、何て事無かったんだ。国も新しくなり、きっと上が何か新しい施策をしているんだ、ほんのちょっとの我慢だ。皆がそう……、思っていた。

 でも最初の年に何人も貴族が処刑され、毎年大臣だの近衛だのが処刑されて、ついには公開処刑が国で唯一の娯楽になるようになってしまったんです」

「公開処刑が、娯楽だと?」

「ちょっとムカついたからとか、目付きが気に入らないとか、声が嫌いな人に似ているとか、守った筈の期限を守ってない濡れ衣を着せたりとか……。兎に角、王はゲラゲラ笑いながら下らない理由で民を殺すんです。

 殺し方もバラエティをわざわざ用意して、集団リンチとか、引き回しとか、絶食とか、水攻めとか、まるで……、子供が遊ぶかのような気楽さと愉悦で殺し続けた」


 クソ猿が、と心の中で琥珀は吐き捨てた。

 隣で浮遊しながら聞いている瑠璃も、怒りで全身を震わせている。


「このシンシャは帝国と名乗っているけれど、実際は巨大な牢屋だ。サルヴァトーレ・ファーゴという唯一無二の看守の持つ権利でいつでも殺せる、死刑囚の集まり。それがこの神聖大帝国シンシャの実態なんです」

「本当によく国が回る。経済が破綻しているというレベルでは無いではないか」

「その辺は生き残った役人達が必死に何とかしているそうです。兎角、何に於いてもサルヴァトーレのご機嫌取り。そのために、死にたくないからこそ、彼らは必死になっているんです」


 ゴッシェの脳裏には、1度だけ見た事がある国の財務大臣補佐官の顔が浮かんでいた。スピネルの部下の1人らしく、送迎の付き添いに基地にやって来ていた。

 その顔は有体に言えば酷い有様で、クマで目元は真っ黒だしあちこちに骨が浮かんでいた。それでもスピネルの顔を立てるべく必至に取り繕って笑顔を浮かべており、その異常さには辺境騎士ながらもゴッシェは王の歪みを感じ取っていた程である。


「どうして、この国はこんなに歪み切っているのでしょうね」

「王によって歪みが正しい形とされている以上、避けられぬ事だ。己が身を滅ぼすまで、或いは滅ぼしても、奴らには理解できんだろうよ」


 冷たく切り捨てる琥珀の言葉は、暗に『悪いのは王達だ』と言っているように、瑠璃とゴッシェには聞こえた。



  ☆



 幸か不幸か、この南方基地には食料がある程度存在した。恐らくスピネルが来訪するからだろう。王が見初めた重鎮だけは飢えさせない、そういう方針がありありと感じられて吐き気を催すが、今は感謝すべきか。


「さて、ブランシュ。ここにいる攫われた子供達は何人だ?」

「見た限りでは12人だよ」

「ゴッシェ殿、君の同志は何人だ?」

「僕と同じ、スピネルや愚王に阿らぬ者を指すのなら6人です」

「そして我々3人を加え、都合21人前か。骨が折れるな」

「私は幽霊で食べないから20人だよ」

「それでもだ」


 砦の厨房には幸いにも大型の調理器具はあるし薪も豊富に貯蔵されている。

 だが琥珀は自分の体力が既にレッドゾーンに入っている事に勘付いていた。もし20人前の料理等をすれば、疲労から崩れ落ちかねない。

 だがゴッシェ達から、この地の僅かな希望と目されている黒騎士が倒れたら、それこそ士気に関わる事は請け合いだ。


「……良し」


 それを少女も理解していたのだろう、幽霊ながら軽く腕まくりをすると、木のコップを2つ取って貯蔵されていた紅茶を注ぐ。


「ほい、ここは私に任せて。ノワールとゴッシェ君はあっちのダイニングで難しい話でもしてて頂戴」

「良いのか?」

「良いんですか、夫人?」

「任せて。幽霊だから肉体的疲労なんて無いんだし。ネ?」


 パチン、とウィンクを飛ばして退席を促す忍者幽霊。

 正直もう何もかも投げ出して休みたかった琥珀には有難い申し出であり、今回はお言葉に甘えさせて頂く事にした。


「分かった、ありがとう」

「すみません」

「良いの良いの。さてさて、貯蔵されてる食材は、っと……」


 鼻歌でも歌うんじゃないかと思う程にルンルン気分で包丁を手に取る瑠璃。2人はそんな彼女を尻目に、無人の食堂の椅子に向かい合う形で座った。

 今頃ゴッシェの同志である6人の騎士は、オモチャにされていた子供達にビスケットを分けている頃だろう。抑圧される原因であったスピネルは死に、横暴な他の騎士は鎧と武器を剥いで外に放り出した。ならばもう、彼らが子供達を庇護しても何ら問題無い。


――こんな国でも他人を思いやる奴はいるってのに、全く


 押し付けられた問題児達に頭痛を感じながら、琥珀は重い溜息を密かに吐いた。


「それでは改めてノワール殿。今後についての話を」

「ああ。まず何より解決すべきは食糧だ。これが無ければ話が始まらん」

「如何しますか、この基地の食料もそう長くは……」

「――スピネルの筆跡が分かる物はあるか?」

「筆跡?」

「そうだ。筆跡を真似て王に手紙を書く。『この施設が気に入った。暫く滞在するから食料を追加で寄越してくれ』とね」

「成程」


 日本では文書、しかも有印公文書の偽造であるため立派な犯罪だが、あのサルにそんな知識は無い。


「次に拠点を移す。ここから距離があるが、リチムの町は知っているな?」

「ええ、今は廃墟だが、嘗ては亜人交流が盛んだった……」

「ここに来る前に寄ったが、生活痕と共に拠点として使える施設や道具があった。恐らく、今も夜盗か何かがアジトにしているのだろう。21人全員でそこへ移動する。少なくとも場所が王都に割れているココよりは安全の筈だ」


 実際にいるのはリチムの住人なのだが、まぁそこまで言う必要も無いだろう。

 最低でもこのボロボロの国を動かせる人材がサルヴァトーレの周囲にいる事は確実だ。そしてそれが味方をしてくれる保証は無い。

 ならば不確定要素に未来を左右される道は避けるべきだ。


「最後に後詰めの準備だ。ここ以外に、君の同志たる者はいるか? まだ戦おうと、品性下劣な王に剣を向けられる者に心当たりは?」

「……王城の近衛は分からないけれど、メイドさん達は慰み者にされてるって聞いた事があります。それと我々のような辺境の騎士も大半が干されていると。なら――」

「充分だ」


 充分な食事があればこちらに付く人材が多い事は今ので確信した。練度は不明だが、最低でも数は揃えられるだろう。


「となると、どうやってそれだけの食料を手に入れ、また彼らに声を掛けるかだが……」

「盗賊のフリをして第二と第六の基地を襲いましょう。どうせ巻き上げた食料をまた王都に強請れるんだ、1日2日ひもじい思いをして貰う。そのついでに他の基地の……」

「窮して盗みか、褒められたものでは……」

「しかし他に手は……」



  ☆



 トントントン、と包丁がリズミカルに野菜を刻む。幽霊になってまで、嘗て好いた少年(とその他大勢)のために手料理を振る舞う事になるとは思わなかった。

 ホント人生ってのは何があるか分からないね、と瑠璃は苦笑する。


「いや、死んでるのに人生ってのも変な言い方だね」


 適当に作ったサラダを大皿に乗せて形を整える。これは皆で適当につついて貰おう。

 そして保存してあった大きな肉を取り出し、適度な大きさに切ってフライパンで焼く。味付けは香草があったから、それと塩胡椒で充分だ。これが何の肉かは分からないが臭みは無いし、すんなり切れる。

 火を通して味見をすべく、フォークに1つだけ刺す。濃厚な肉汁が滲み出し、思わず生唾を呑んだ。


「ふふっ、ちょっと頂き☆」


 舌に乗せればフワッと広がる香草の風味と肉の味。味蕾全体に広がるそのジューシーな味わいは、食べる幸せをダイレクトに全身に訴えかけていた。


「ん~、美味しっ♪」


 噛めば噛む程に美味な肉汁が生まれ、永遠にでも噛み続けたくなる。もう1つもう1つと手を伸ばしたい衝動を抑えるべく、フォークを置いて手を頬へ。本当に頬が落ちそうになるくらいの美味だったので丁度良い。

 だがこの世に永遠は無い。次第に味は薄くなり、歯応えのあった肉もボロボロになり、ついには呑み込まれる事になった。


「うん、良い味。これなら子供達も喜んでくれるよね」


 これなら自分が食べる分も用意すべきかと考え、ふとその時に疑問が湧き出た。


「……あれ、今食べた肉、何処行った?」


 自分の腹をマジマジと見つめながら謎を呈する瑠璃。

 半透明の体のどこを探しても噛んで食べて呑み込んだ肉塊は見当たらず、では床に落ちたかと聞かれればそうでは無い。

 服に引っ掛かったかと思って実体化を解除するが、それも効果無し。

 首を傾げながら小皿にトングで肉を分けて行き……、今度こそ看過出来ない問題点を発見した。


「トング? フライパン? フォーク? 塩胡椒? 香草?」


 一見すれば何て事の無い調理器具や調味料の羅列だ。だが……。


()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」


 そうだ、こんな種々多様な道具が何故こうしてただの基地に一様に介しているのだろうか。

 例えばフォークは古代ギリシャ等から存在していたが、実際に食器につかわれるようになったのは10世紀頃の東ローマ(ビザンティン)帝国の王女が促進したためと言われている。

 フライパンはメソポタミア文明の時点から存在したいたと言われているし、胡椒はインドを原産地とする高級品だった。そして塩は海水の類が無いと効率的に生産出来ない(岩塩や塩湖もまた海水に縁深い)。

 こんな風に書くと現代人は「へー、そうなんだー」で済ませてしまうが、時代を遡ればそんな感想では終わらせられない。


「ううん、もっと言えば、どうして琥珀はお腹を壊さない?」


 思えば疑問点は他にもある。

 地球上ですら地域制の違いから、違う国の食品を消化できず消化不良を起こす事がある。なのに琥珀は、もっと言えば生前の瑠璃は、この世界の食べ物を口にしてから腹痛を覚えた事すら無い。

 まるで誰かが用意したゲーム盤のようだ。そんな薄ら寒い予想が背筋を駆け抜け、瑠璃は必死に(かぶり)を振った。


(今はご飯を作る事に集中しよう。きっとその内、答えが出るよ)


 きっとその考えを琥珀が聞いたらこう言っただろう。

 ゲーム序盤で聞けば事件解決は早かったのに、そんな所までテンプレやってんな、と。



  ☆



 琥珀達が駐屯基地で革命の密談を交わしていた頃、サルヴァトーレは自室のベッドで寝転びながら絵物語を読んでいた。

 元々この世界では紙は希少品であり、それ故に印刷技術も発展していない。そのため本の類は極めて高級な品となっている。王と言えどもおいそれと手に入れられる物では無い。

 ……と言うのは嘗ての話だ。


「キヒヒ、やっぱ俺様って素晴らしい王だなぁ」


 今サルヴァトーレが読んでいるのは、伝記に類する本である。誰のかと言われれば、まぁ独り言を聞けば分かる通り、彼本人のなのだが。

 内容は至って簡単、勇者サルヴァトーレが仲間達と共に魔王退治の旅に出て、その首を獲って帰国。足手纏いで役立たずだった仲間のコハクをゴミのように切り捨てて善政を敷き、末永く国を栄えさせるというサクセスストーリーである。

 言うまでも無いが、魔王退治の旅の主役は琥珀であり、この足手纏いで役立たずの役割はこの愚王だ。ストーリーは彼が強く指定した内容である事は言うまでも無い。

 読み終えた絵物語をベッドの脇に置き、ニヤニヤ笑顔を浮かべながら、愚王は窓際に近寄った。


「あぁ、窓を開ければ栄えた俺の国がある」


 そんなものは無い。

 あるのはその日暮らしにすら困窮し喘ぐ、国以下の集落だけだ。


「俺様の頭の中には、最高の政治が出来る頭脳がある」


 そんなものは確実に無い。

 あるのは他者を虐げて自分の優位を確保する事しか無い、空っぽの脳味噌だけだ。


「この手の中には無敵の勇者の力がある」


 そんなものは断じて無い。

 あるのは他人から授かった不思議な能力と、汚い手で奪った偽りの栄光だけだ。


「まさに勇者はコハク・アイハラじゃなく俺様に相応しい事の証明の数々よ!」


 そんなものは絶対に無い。

 あるのは彼が人である事すら不相応であると証明する、糾弾の材料だけだ。


「キヒヒ、ヒャハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハー!!」


 だがそれに気付くような男では無い。

 そんな奴ならとっくの昔に国は良い方向へ舵取りしている。

 そうじゃないからこそ、サルヴァトーレ・ファーゴは根元から骨の髄まで腐り果てた悪人なのだ。


 自らの栄光を信じて止まない愚王はテーブルの上のワインボトルを手に取って、一息にラッパ飲みする。彼の極めて数少ない長所、酒に強い事が垣間見えるシーンである。

 グビグビと高いワインを水のように飲み上機嫌になった王。そんな彼の耳にノックの音が届いた。


「入れ」

「はっ」


 入室したのは枯れ木と間違えそうな程に細い身の男だ。

 彼の名はマフィック。サルヴァトーレが10年前に王に赴任した時より懇意にしている懐刀であり、腹心の部下である。


「マフィックか、どうした」

「陛下が御執心でした件の白い畜生亜人の行方が掴めました」

「何、それは本当か!」

「はい、長らくお待たせしてしまい、申し訳ございません」

「いや良い、成果が出たんなら問題はねぇ。で、そいつは今どこに?」


 こちらをご覧下さい、とマフィックは持参した地図を取り出し、ある一点を指差した。


「件の娘はこのリチム、いえ元リチムの近くに潜んでいるとの事です。やはり腐っても亜人、如何に陛下がお目をかける事が光栄な事かを理解せず、薄汚い交流の村で細々と生きていると見られます」

「フン、リチムは王になる前から気に食わんかったんだ。何が共存だ、クソ亜人如きが生意気な」

「まったくですな。言わば彼奴らは薄汚い土着の蛮族、魔族と大差ありません」

「魔族と魔物を滅ぼすために五ヶ国人族連合大国家『アンバー帝国』を平定しなきゃならねぇってのに、ったく理解できてねぇ馬鹿が多くてムカつくぜ」

「王の心中、お察し申し上げます」


 この世界に於いて、アンバー帝国は2つの意味を持つ。

 1つは魔王を打ち倒して平和を齎した勇者コハクへの賛辞を意味する、便宜的には『地球』に当たる呼称と言えるだろう。

 もう1つは今サルヴァトーレが言った通り、彼の国・神聖大帝国シンシャを含む5ヶ国の連盟を指す言葉だ。

 即ち、アンバー帝国とは最終的に琥珀達が妥当すべき敵組織の名前とも言える。


「マフィック、手の空いてる兵士を全て率いろ。リチムの生き残りは俺が目ェ掛けた畜生亜人以外は皆殺しにして建物は全て壊せ。跡形も無く、町があった痕跡は血の一滴すら残さず消せ! リチムの名を後世に残すな、名前だけで国が穢れる!!」

「御意のままに!」


 八つ当たりのようにサルヴァトーレが下した指令に、マフィックは意気揚々と応える。

 まるで愚王の施策こそが至高の策であると盲信しているかのように、嗜虐的かつ不敵な笑みと共に。

 1時間後、2,000人の兵を率いた愚王の懐刀マフィックは、リチムへと早馬を駆らせたのであった。



To be continued

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