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異世界救済には世界征服が正解らしい  作者: 五五五
第六章「本当に痛いこと」
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第6話

 バキィィィィッッ!!!

 ボクの拳はルードヴィッヒの顎に直撃。アイツの頭が上に跳ね上がるのを見た。

 ドカンッ! ゴロゴロッ!

 無理な体勢からパンチを繰り出したせいで、ボクは完全にバランスを崩し、盛大に倒れ込んでしまう。さらに、そのまま床を転がっていった。

「いった……くはないか、それほど。ていうか、よく生きてるな、ボク」

 体を起こしながら呟く。ルードヴィッヒが放った最後の一撃のせいで、モクモクとホコリと煙が舞い上がり、部屋の中は視界が通らなくなっている。

 だが、床に漆黒の剣――クロノスブレードが刺さっているのは見える。

「シュン君! 大丈夫なの? シュン君!」

 市長の声が聞こえる。とりあえず、彼女を守ることができた。これで……。

 ブワッッ!!

 視界の端で、煙が急激に揺れた。振り向くと、何かが走っていく姿が映る。アレは……ルードヴィッヒ!

 アイツが動いた勢いで、煙が急激に晴れていく。そこには、市長を背後から捕まえ、人質にしているルードヴィッヒの姿が見えた。

「お前……お前っ!!」

「ハァハァハァ……よくも、やりやがったなぁっ! けどな、これで何もできねぇだろうが!!」

 最悪だ。油断した。

 ルードヴィッヒは口から血を垂らしながら、息を切らせている。ボクの一撃が効いているのは間違いない。

 どうして、すぐに立ち上がって捕まえなかった? ボーッと剣を眺めてる場合じゃなかったのに!

 自分の間抜けさに腹が立ったが、今はそういう状況じゃない。とにかく、市長を助けて……!

「動くんじゃねぇっ!! こいつの首を跳ねちまうぞ?」

 ルードヴィッヒが手に持っていたナイフを当てると、市長の首から一筋の赤い線が落ちていくのが見えた。

「それで……勝ったつもりなの? こんなクソガキ相手に、人質までとって……情けないと思わないわけ?」

「うるせぇぇっ!! 勝てばいいんだよ、勝ちゃあ……勝ったヤツが強えぇんだよぉ!」

 なりふり構っていられないって感じだ。市長さんを人質にされていたら、こちらは何もできない。

 この部屋は開けているし、アイツがボクから視線を外さない限り……。

 そう考えていると、ルードヴィッヒの目がチラッと動いた。チャンス……と思ったが、それは間違いだった。

「ようやく着いたのかよ……遅いんだよ、クロウ!!」

 振り返ってみれば、そこに立っていたのは……眼帯の男だ。クロウと呼ばれた眼帯の男は部屋へと入ってくる。

 最悪である。

 ルードヴィッヒだけなら、人質をとりながら行動する隙を見つけられたかもしれない。けど、もう一人……それも、ティーネを易々と倒した敵が増えたら、もうお手上げだ。

「クロウ! そのガキを殺せっ!! それで、この街は……リィンバームは俺達のものだ!!」

「悪いけど、そうはいかないよ!!」

 聞き覚えのある……これは、ティーネの声だ!

 すると、クロウの背後から飛び出す影が映った。部屋の天井ギリギリまで飛び上がり、ティーネはルードヴィッヒに襲い掛かる。

 だが、それにすぐ反応したルードヴィッヒは、市長さんの体を盾にする。ティーネは咄嗟に体をよじり、わずかに横へとズレて着地。直後、ルードヴィッヒの蹴りが飛んでくるが、それをすぐさま回避した。

「テメェ、猫オンナが!! こいつが見えねぇのか! 首を跳ね飛ばすぞ!!」

「やれるもんならやってみな! そうしたら、アンタの首も体とサヨナラするだけさ!」

 ルードヴィッヒの顔がひきつる。歯噛みして、苛立ちを隠そうともしない。

「クロウ!! 先にこの猫だ! こいつを八つ裂きにしろ!!」

 ルードヴィッヒの声に反応するように、クロウは飛び出していく。ティーネはすぐさま体勢を立て直し、男の拳を避ける。

「よしっ! やれ! 殺しちまえ……はぁ?」

 クロウは急に振り返ると、ルードヴィッヒのほうへ近づいていく。

「おい、てめぇ! どういうつもりだ! 裏切るきかよ!!」

「いいわ、やりなさい。ヴァス」

 え? 今、なんて?

 ボクがその言葉を頭の中で繰り返す前に、クロウはルードヴィッヒの手を掴み、押し込んだ。

 ザシュッ! ボトッ……コロコロコロ……

 落ちた。首が……落ちた。

 転がる首を眺めながら、ボクは頭の中が真っ白になった。

 何……今の?

「て……テメェ、なんてことを!! こいつが、コイツを引き渡すのが……条件だったんだぞ!! それを……何を考えてやがる、クロウっ!!」

 ルードヴィッヒは喚き散らす。頭のなくなった市長さんの胴体から吹き出す、大量の血を浴びながら。

 何が起こっているのかはわからない。

 でも、ボクは結局……。

「何にも……救えなかったのか」

「あら、そんなことないわよ」

 市長の声が聞こえた気がした。

「あなたのおかげで、彼を出し抜くことができたのだもの。また、助けられたわ」

 ハッとする。幻聴じゃない。これは……まぎれもなく市長さんの声だ。

 声のしたほうを見ると、そこには斬られて落ちた彼女の頭がある。ところが、その頭はなぜか笑っている……そして喋っている。

「え……ええぇぇぇ!!」

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