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異世界救済には世界征服が正解らしい  作者: 五五五
第四章「災厄は空からやってくる」
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第14話

 草木一本生えていない禿げ山。灰色の岩と砂利ばかりが目に付くカルナ山を登り始めて、どのくらい経っただろうか。

 特に疲れを感じないのは、やはり何か特殊な能力が身に付いているからだろう。だが、どれだけ体力があろうと、長時間何もない景色を目にするのは、退屈なことこの上ない。

 だから、ちょっと気になったことを尋ねてしまった。

「ヴァス……どうしてルードヴィッヒのこと、そんなに嫌うんだ? そりゃ、とてもいい奴には思えないけど、こんな無謀をしてまで頭を下げたくないなんて……」

 その質問に答えたのは、ヴァスではなくティーネだった。

「あいつはね、元々リィンバームの住人じゃないのさ。どこかの国の兵士長を務めていたらしいよ。実際、腕はなかなかのもんだからね」

「それと、彼を嫌うことにどういう関係があるの?」

 すると、今度はヴァスが応える。

「リィンバームみたいに、人間やら亜人やらがごっちゃに住んでいる街はめずらしいのさ。大抵は同じ種族で固まってるんだよ。んでもって、他の種族への敵対心はむき出しと来てる。人間の国にいるヤツは、亜人をそこらの獣と同じだと思ってんのさ! ルードヴィッヒは、まさに典型だ……ミリアさん、大丈夫かい?」

 ヴァスはミリアが段差を登りにくそうにしているのを見て、そっと手を差し出した。

「あ、ありがとうございますぅ。でも、大丈夫ですよ~、シュン様ぁ、手伝ってくださ~い」

「なんで、ボクが……はいはい、ほら! せーのっと!!」

 隣からヴァスが睨みつけてくるのがわかったので、ボクは大人しくミリアに手を貸した。まあ、それでもヴァスの機嫌は悪そうなんだけど。

「ルードのヤツはあたしらを嫌ってる。特にカーマインは亜人だけのギルドで、リィンバームではそれなりに立場もあるからね。あたしらがいなけりゃ、あいつはもっと好きなだけ、亜人をいびれるって思ってるんだよ」

 傾斜の厳しいところも難なく飛び上がりながら、ティーネは言う。それから、ボクを引き上げるために手を差し出してくれた。ボクは彼女の手を握って、思いきり地面を蹴り上げる。

「カーマインを押さえれば……ルードヴィッヒは街でもっと威張り散らせるってわけか。だから、あんな手の込んだことをして、こっちが頭を下げるように仕向けたんだね」

「そういうこったな! ルードの野郎は、バカ丸出しで俺らにケンカを売ってくるだけの奴だったから、相手にするのは楽だったんだが……」

 そう言いつつ、ヴァスも急斜面を一足飛びで乗り越える。あとはミリアを引っ張り上げるだけだ。

 ヴァスは腕に巻いていたロープを解き、下に向かって垂らす。ミリアがそれを握ったのを確認して、ボクらはロープを引っ張り上げる。こうしてようやく、少し開けた場所にたどり着くことができた。

「多分、誰かが入れ知恵をしてるんだと思うよ。人間、そう簡単に変わるもんじゃないからさ」

「やっぱりか……厄介だな」

 ヴァスはその場で荷物を下ろし、ボクらはしばらく休憩することになった。

「ほれ、シュン! 干し肉とパンだ。ドラゴンと闘う前だからな。しっかりと食っとけよ」

 またか……。

 正直、この味気ない食事はいただけない。まあ、遠征の最中だから、保存食しかないのは仕方ないけども。カップラーメンを望んだりはしないまでも、もう少しまともな食べ物はないものか。

 こう考えれば、やはりボクらの世界というのは、ずいぶんと先進的なのだと実感する。

「カーマインが人間に屈するわけにはいかないってのはわかったよ。でも、ならどうして、ボクを仲間に入れたの?」

 ヴァスとティーネはきょとんとした表情を浮かべた。一度お互いの顔を見合わせると、ティーネのほうは肩をすくませた。すると、ヴァスがもう一度こちらに顔を向ける。

「なんでってお前……なんでだ? いや、なんでだろうな。まあ、ミリアさんがいたからってのはあるけど」

「それならミリアだけ入れればいいじゃないか。そうすりゃ、邪魔者がいなくなるだろ?」

 ボクの言葉に、ヴァスは眉をひそめ、頭を掻きながら考え込んでしまう。

「まあ、そりゃそうなんだが……いや、そうだ! 似てたからだ!」

 ヴァスは手をポンッと叩き、何かに思い当たった様子を見せた。

「似てる? 何に?」

「俺達にだよ! シュンは俺らに似てたんだ! いや、別にお前の顔が亜人顔だって言ってるんじゃねぇ。なんつーか、ほら……雰囲気がよ、俺やティーネに似てるのさ! なぁ、ティーネ、お前もそう思うだろ?」

「そんなもん、あたしにわかるわけないだろ!」

 むしゃむしゃと干し肉を噛みながら、ティーネはつっけんどんに言い放った。

 似てる……似てる? 雰囲気が? どういう部分の?

 と、聞こうとした瞬間だった。

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