【ショートコント】 楽しい結婚相談所
相談者(男)
「ここが無料キャンペーンやってる結婚相談所か……。まあ無料なら相談だけはしてみるか」
——扉を開ける音
相談者
「すいませーん」
店員(女)
「いらっしゃいませ」
相談者
「すいません、ちょっと結婚の相談がしたくて来たんですけど……」
店員
「かしこまりました。無料キャンペーンのチラシを見て来られた方ですか?」
相談者
「はい、そうです」
店員
「かしこまりました。それではこれから簡単なアンケートを取っていきます。そこからお客様の条件にヒットする女性を探してみましょう」
相談者
「お願いします」
店員
「まず人を殺したことはありますか?」
相談者
「あってたまるか」
店員
「えっ、無いんですか?」
相談者
「無いに決まってんだろ、なんでちょっと意外そうなんだよ」
店員
「そうですか。では次です。相手に一番に求める条件はなんですか?」
相談者
「うーん、やっぱり性格かな」
店員
「では、どんな性格の方が良いですか?」
相談者
「しっかりしてる人が良いな」
店員
「戦歴でいうと?」
相談者
「戦歴? 将棋とかの?」
店員
「いえ文字通りの殺し合いですが」
相談者
「おっかねえよ!」
店員
「でも殺し合いに生き残った方はみんなシッカリされてますし」
相談者
「夫婦喧嘩1回目で俺が殺されるわ!」
店員
「かしこまりました」
相談者
「何がかしこまたったんだよ」
店員
「次です。今現在 結婚はされていますか?」
相談者
「してねえよ! だから来てんだろうが!」
店員
「あっ、そうなんですか」
相談者
「だから何で意外そうなんだよ! 不倫相談所かここは!」
店員
「あはは!」
相談者
「何も面白くねえよ!」
店員
「テンションが上がって来たところで次の質問です」
相談者
「お前が勝手に上がってんだろうが」
店員
「もし結婚した場合、子供は欲しいですか?」
相談者
「うん、欲しいかな」
店員
「ちなみに何人くらい欲しいですか?」
相談者
「うーん、最低でも二人は欲しいな」
店員
「かしこまりました二匹ですね」
相談者
「人だっつってんだろうが! 俺を何と交配させる気なんだお前!」
店員
「はい、では趣味はなんですか?」
相談者
「趣味って言えるかどうかは分からないんだけどさ、イシガメを飼ってるよ」
店員
「へえ、亀がお好きなんですね。ちなみに亀の魅力ってなんですか?」
相談者
「いや、やっぱりかわいいじゃん。人の顔もおぼ」
店員
「では次はNG項目について聞いていきますねー」
相談者
「聞けよ!」
店員
「女性がタバコを吸っていても大丈夫ですか?」
相談者
「うん、俺はあんまり気にならないかな」
店員
「では女性が大麻を吸われていても大丈夫ということで」
相談者
「良いわけねえだろ」
店員
「え? ではシンナーは?」
相談者
「禁止薬物の羅列やめろ!」
店員
「かしこまりました」
相談者
「嘘つけ!」
店員
「では髪型はスキンヘッドと角刈りとどちらが好みですか?」
相談者
「どっちも嫌だよ! 角刈りって女の髪型じゃねえだろ!」
店員
「うーん、じゃあ100歩譲ってリーゼントの女性はいかがですか?」
相談者
「譲る気ゼロじゃねえか!」
店員
「はい、ではアンケートは以上です。ここからはお客様にマッチングする女性を紹介していきますね」
相談者
「さっきのでまともな女性が出てくるのか……?」
店員
「ではこの方なんていかがでしょう?」
相談者
「おっ、どんな人?」
店員
「まず目が二つあってですね」
相談者
「そっから!?」
店員
「端的にいうとこのガラパゴスゾウガメの方なんですけどね」
相談者
「亀じゃねえか!」
店員
「でもお客様、亀がお好きなんですよね?」
相談者
「ペットとして好きなんだよ! そもそも亀と子供出来ねえだろうが!」
店員
「頑張れば出来ますよ!」
相談者
「頑張らねえよ!」
店員
「ダメですか……」
相談者
「当たり前だろ。……ちなみに店員さんさ」
店員
「はい」
相談者
「俺が結婚してくれって言われたらどうする?」
店員
「迷わず舌噛んで死にますね」
相談者
「どんだけ嫌なんだよ!?」
店員
「では次の女性にいきますね。あ、すいません聞き忘れたんですけど外国人の女性でも大丈夫ですか?」
相談者
「うん、俺はそういうの気にしないよ」
店員
「じゃあこちらのゴブリンの女性なんですけど」
相談者
「『人外』じゃねえか! どうやってゴブリン探して来たんだよ?!」
店員
「でもこの方、人間と遊ぶのが大好きなとっても人懐っこいゴブリンなんですよ?」
相談者
「いやでも俺は人間が良いわ」
店員
「では次の方なんですけど、この方、顔が緑色で背が小学生くらいで」
相談者
「それゴブリンだろ!?」
店員
「いえ辛うじて人間ですよ」
相談者
「辛うじんな! ガッツリ人間持って来いや!」
店員
「でしたらこちらのオークの女性を」
相談者
「人間だっつってんだろうが!!!」
店員
「でもこのオーク人間が大好物でして」
相談者
「餌にする気満々じゃねえか!」
店員
「お似合いだと思うんですけどねえ」
相談者
「舐めてんのんか!! さっきからクリーチャーばっか紹介しやがって、ここ人間居ねえのかよ!?」
店員
「一人だけ居ますよ」
相談者
「一人だけ?!」
店員
「はい。あなたです」
相談者
「もうええわ!」
終わり
お読みいただきありがとうございました!




