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悪夢・・・

作者: 東風こち

 私は、どことも知れぬ洞窟を歩いていた。

 暗い洞窟ではあったが、真っ暗ではなく、多少は目が利く程度の暗さであ

った。

「いったいここは・・・」

 私がつぶやきながら歩いていたとき、ふいに目の前が真っ暗になり不気味

な羽音がして・・・いや、本当に真っ暗になったわけではなく、目の前が真

っ暗になったのはどうやら蝙蝠達の群れが飛び立ち、私の視界に飛び込んで

きたからだろう。

 私は反射的に身を伏せてかわした。


「これは夢なんだろうな・・・」

 確信が持てないながらも、そう思おうとしていた。

 しかし確かに、今なんとなく地面を踏んでいる感覚が、ふわふわとしたも

ののような気がした。


 そして、それから5、6分くらい歩いた頃だろうか、前方から明るい光が

漏れていた。

 そのまま進んでみる。どうやらそこには、広い空間があるようだった。

 そして、そこまで辿り着いてみると、中はちょっとした広さの部屋くらい

の空間があった。その中に、1人の人物がフード付きのマントを身につけて

部屋の真ん中に座っていた。

 床には変な模様が、まるで魔法陣を思わせるような形に描かれており、星

の形のような五芒星の各頂点には燭台が立っており、その上に蝋燭が異様な

光を放ちながら、燃えていた。

「よくぞ引き返さずにここまで来たものよのう・・・」

 突然、フードの下から聞こえてきた声は老婆のものであった。

「あなたは?」

 私は、とっさにその質問をしていた。

 しかし、その人物は答える代わりに、別のことを私に語りかけてきた。

「この先に御主の未来が待ち受けておる。御主がそこに行くか、引き返すか

は自由じゃ。じゃが、行くも引くもそれなりの代価を払わねばならん。御主

に、その代価を払う覚悟はあるか?」

 私は戸惑った。いったいこの人は何を言っているのだろうかと・・・。

「留まるのも御主の勝手じゃが、ここにずっとこうしておるのかえ?」

 私が迷っていることに気付いてかどうか、そう言ってきた。

「あのう、ひとつだけどうしても聞きたいんですけど」

「決断の時は迫っておる。その御主の性格が災いせぬことを祈っていてやろ

う」

 それだけ言うと、その人はすうーっと溶けるように消えていった。

 それと同時に、今まで明るかった部屋が急に真っ暗になった。たぶん蝋燭

が消えたのだろう。


 私は仕方なく前に進むことに決めて、目が慣れるのを待って歩きだした。

 先ほど通った道とあまり変わりない道が続く。

 しかし、歩き始めて間もなく、今度は後からなにかがこちらに向かってき

ているような音がしていた。

 と、私が振り返った瞬間のことだった。

「キーキー!!!」

 私はとっさに逃げようとしたが間に合わなかったらしい。後ろからなにか

獣のような鳴き声が聞こえ、飛び掛かってきた。そいつは爪をきらりと光ら

せて私の背中を切り裂き、私の意識は恐怖の支配する闇の中へと・・・。



 私は汗をびっしょりと掻いて、ベッドの上にいた。あれは何だったのだろ

うか?その疑問だけが、私の頭の中を駆け巡っているのだった。


初めての投稿作品です


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