2 真っ白なベッド
はっと気づくとかあくんは、まっしろでふかふかの巣にうずくまっていました。
(あれ、レースは?)
とっさに飛ぼうとすると、
「痛い!!!」
右の翼の付け根が切られるように痛みました。
「ああ、ああ」
看護師さんがやってきて、
「動かさないでください」
「ここはどこだ。レースはどうなったんだ?」
その時、部屋の白い扉が開いて、
「おお!かあくん、目が覚めたかね」
外科医のフィンチ先生が入ってきました。
「え?ここは病院?」
「レースは終わったよ。君は怪我で棄権になった」
「そんな・・・」
かあくんはがっくり肩を落としました。
「そして、レースはもう引退だ」
「え」
かあくんはすでに頭の中で、リハビリや次のレースの予定を立てていたのです。
フィンチ先生は言いました。
「君の翼はもう強い力が加わると骨が外れてしまうんだよ」
看護師さんがカラスの骨格が描かれた巻き紙を広げて見せてくれます。
「もし、飛べるようになったとしてもゆっくりだ。這うようにしか飛べないよ」
かあくんの頭の中はまっしろ、目の前はまっくらになりました。
かあくんはずっと飛んできました。誰よりも速く誰よりも美しく飛ぶことに毎日を賭けてきました。優勝選手の筆頭に名を連ね、ファンも増え、今まさに脂の乗っている時期なのでした。
かあくんは言葉もでてきません。
フィンチ先生は終始平静にしていましたが、最後一瞬、気の毒そうな顔をして部屋から出て行きました。




