キングダムオブメモリー
魔術や武術が盛んな街クリフト。
この街に何年住んだかなんて僕にはわからない。いや、そもそも僕が何歳なのかも、『時雨志貴』と言うのも本当の名前なんて知らない。僕はクリフトの街の市長に拾われたんだ。昔はこの周辺で紛争が絶えなかった。その中と僕はなぜか街のど真ん中に立っていた。と昔市長に聞かされていた。それが本当なのか、嘘なのか、それでも僕は信じるしかなかった。僕の唯一の大事な記憶なんだから……。
五年後
「志貴起きなさい」
朝早く市長の婦人に起こされた。雲ひとつもなく、寒くも、暑くもなく過ごしやすい日だと言うのに、少しぐらいは休ませてくれもいいんでないか。と思うが、珍しく起こされたんだ。なにかあるんだろう。と僕は無地のTシャツやジーパンといった寝巻きでは婦人に怒られるから、クローゼットから柄は何もない、黒いパーカーをにとりあえず、はおり婦人がいる居間に向かう。
婦人は台所にて朝食を作り、市長は新聞を読みながら、コーヒーを飲んでいる。まっいつもと変わらない。
僕の席には一通の手紙。僕宛に手紙なんて珍しい。椅子につき僕はその手紙を拝見する。宛先は不明。しかし、手紙に貼られている切手を確認すると、クリフトが収めている国のキューレットからの手紙だった。僕宛に?なんなのか、一切不明だ。疑問を持ちながらでおはが、封を開ける。手紙にはこう書いてある。
―この度はキューレット国内にある市町村の中より次期王妃のガーディアンを決める一人として選ばれまし た。数ある市町村なので、多くの方がおられます上、予選を行いないたいと思うます。参加される若人は二週間後、帝都レッドクリフのレッドクリフ城までお越しくださいませ-
帝都レッドクリフ。この市町村を収めている首都だ。人口も多く、一番魔術や武術に対して力を入れている。この手紙にも書かれいるように最近王妃が新しくなるとのことで次期王妃も決めようとしているのだろう。そのなかで、王妃に就くのが、ガーディアンといわれる人だ。先代の王妃はレッドクリフないで決められていたが、今回ばかりは、市町村までにも候補を入れてくるとは考えていなかった。市長や婦人は嫌いでないけど、今もここでいてはいられない。本当の僕を知りたい。
「すみません。お二人にはお話が……」
「いきなさい」
「えっ?」
すぐの返答に僕は戸惑ってしまった。少しは止めるかと思った。でも、この二人の子供ではないのは確か。だからなのか。
「志貴は、ここの子供ではないし、もっと大きな街で活躍するのがお前にとっていいと思うしな。それに、公募の案内が来た時からお前には本当の自分を思い出して欲しいと思って母さんと話していたんだ」
「ありがとうございます」
婦人は僕のテーブルの上に紺色のマント。ベルト付きのポーチ。左胸にはポケットが付いた黒いストライブ。ストライブより、黒さが薄いチノパン。そして、銅で出来た短刀を二つを置く。
「これは私からよ。この五年間なにもしてやれなくてごめんね」
婦人の目からは涙が溢れそうになっている。市長はその上に、袋に入ってたコインを置く。
「私からこんなのしか、旅に送ることしかできん」
「いいえ。僕は……」
僕はこの二人には一番の感謝をしなければならない。美味しいご飯を毎日作ってくれた婦人。忙しい仕事の仕事をしながらであるが、僕に魔術や武術の稽古を付けてくれた市長。大切な5年間を僕は大事しないといけない……。僕は自分の部屋に行き着替える。全身黒なのは、あまりにも驚いたが、カッコイイから別に気にしない。チノパンの上にベルト付きのポーチをつける。サイズも腰回りも何もかも問題ない。身なりを整え、僕は二人が待つ居間に向かう。
「ばっちりだね」
降りて、婦人や市長に見てもらった。「五年間見ていたんだから」と婦人は肩をポンと叩く。
「では、行ってきます」
二人は僕がいなくなるまで見送って見送ってくれた。
一人がこんなに淋しいとは感じたことがなかったいつもは学校の友達と遊んだり、魔術や武術を一緒に学んだ。帝都距離は長い。溢れそうな涙を流さないで僕は歩く。自分の記憶とそして、ガーディアンを目指すためにひたすらひたすら歩き続ける。
一人で歩き続け一週間ほど経っただろう。帝都のレッドクリフ前の街で立ち寄っていた。僕と同じだろうか、旅に出るような格好の人が多く見える。レッドクリフでのガーディアンの予選はまで一週間。日付がまだあるのにこれほど多いとは……。 人込みはあまり好まない。僕早歩きで帝都に近いむらの出口まで向かっていた。
「おいなんで開けられないんだ」
「ですから……」
出口まで向かっていた僕だが出口前で帝都の赤い鎧着て旅人に何かを説明している。一番後ろにいた大きなリュックサックを担いでいた商人に話を聞いてみた。
「なにかあったんですか」
「君も帝都に向かうのかい。通るのであれば一週間ほど通れないよ。なんせ、この先にある大きな橋が何者かに壊されたんだと」
何者かってのが少し気にかかるが、これじゃ、帝都に間に合わない。どうしたものか……。
「君の顔や格好からみて、ガーディアンの予選に参加するのかい?それならいい道を教えてあげようか」
「僕だけに教えていいですか」
嬉しいようだけど、なにか、怪しい。他にもガーディアンを目指そうとしている人は目の前にいる。それなのに僕にだけってのが怪しすぎる。考えても仕方ない。この人を信じよう。
「ここの北口から出てな、東に向かんだ。そこにな、大きな森があってのそこを抜ければレッドクリフに着くんじゃよ。しかしの、その森は迷いの森と言って、レッドクリフにたどり着けるかもわかんのじゃよ。君はそれでもこの森を抜けるか」
迷いの森。市長が昔、僕に話していた。一度入ったら出られない。そんな森があるということを。まさか本当に実在しているとは思っていなかった。でも、この先に行かないと、レッドクリフまではたどり着けない抜けるしかない。
「レッドクリフには行くにはそれしかないんだ。僕は行行きます」
「君ならガーディアンになれるじゃろ。でわな……時雨志貴」
そう言い残し商人はどこかに旅立っていく。僕も教えられた街の北口に向かう。……なんで、あの人は僕の名前を知っているんだろうか。商人にそのことを聞く、もう僕の目の前にはいなくなっていた。
先ほどの人に言われたとおりに北口から東に向かうと大きな森が茂っている。これから僕はこの森を抜けるのか。そう思うと怖くなってくる。それでも僕は前に進むしかないんだ。僕は森へと足を運ぶ。
暗くジメジメしている。本当にこの先を向かえばレッドクリフにたどり着けるのか。僕はずっとそればかし頭をよぎってくる。そして、何だろうこの誰かに見られている視線。悪意や攻撃をしてくる視線でない。監視。そう捉えるべきなのかわからないがそんな気がする。進むうちにいつしか方角が分からなくなってきている。どこをどうみても同じ木々が並んでいる。レッドクリフを目指しているのか、それとも関係ないところに向かっているのか。わからない。
感覚的にだが、一時間程が経ったのだろうか暗くジメジメしたところを抜け出した。明るく広々とした所に出てきた。歩き疲れたし少し休んでも問題はないだろう。僕は色々と考えた。今覚えている炎系統の魔術で燃やし尽くすか、衝撃系の剣術で木を倒していくかなどろくでもない事を考えていた。でも、どうして、迷いの森等と呼ばれているのかに不思議を感じている。