幕張中の噂話
(*`Д´)ノ<のろい、のろわれ、まじなわれっ!]
(`□´)<今度の中2設定はっ!]
o(`^´*)<呪術じゃぁ!!]
と、言うことで、
(`ー´ゞ-☆<どうぞ]
呪術は簡単に扱える。
少女がその事に気が付いたのは自身で呪術を操るようになってからだ。
始めたきっかけは弟妹とのごっこ遊びが最初だったと記憶する。
絵本の魔法使いに憧れたのだ。
次の理由に自身の級友達があげられる。
画面の向こう側で取り上げられた企画に夢中になったのだ。
最後は結局自分自身が「呪術」そのものに関心が沸いたのだ。
調べれば調べるほど面白い、と。
少女は調べあげた。暇を見つけては本を読み漁り、年配者からは口説に耳を傾けた。
近年になり、情報化社会と呼ばれるこの世界の科学的技術や知識にも頼った。
そしてわかった。
呪術とは条件を揃えることだと言うことを。
言葉であり、声であり、音である。
文字であり、線であり、図である。
動作であり、体であり、姿である。
道具であり、場であり、時である。
その組み合わせを探し見出だして、そこから生まれる力を使うことことが呪術である、と。
それがすべてだった。
だから呪術は一般的に広がった。偶然に潜み、必然性をもって、当然のように、自然の流れに従って。
ただし、人が呪術を「マジナイ」と呼ぶか「ノロイ」と呼ぶかは自分次第であり、結果を「吉」とするか「凶」とするかもまた人それぞれである。
そして、少女はそこから結論付いた。もっとも古くから存在し、誰しも出来る簡単な呪術とは何か。
時を同じくし、指を重ねて、言葉を紡ぐことだろう。
それはお互いがお互いにかけるもの。『約束』と言う名の呪術。
「……ああ、そうか」
少女は自身の結論をとても気に入った。
「だから人を呪わば穴二つ、と言うのですね。私も呪術師の端くれとして覚えておかねばなりませんね」
少女は一つの約束を自身に課した。
─────
世界は噂で満ちている、といっても過言でないのではないだろうか。
「あのね……」「実は……」「…………なんだってさぁ」
この海と山に挟まれた町にも噂で聞くようなことがいくつかあった。
その一つが「廃病院跡地」。
昔からある子供の喜びそうな不思議な話。何の他愛もないけれど続く不思議な話。内容は移り気な人の心を表すかのように時代により異なった。
しかしある時、その変化する噂話が信憑性を無視し、現実味を蔑ろにしておもむろに拡がった。
「あのね、知ってる?」
「実はあの場所にはね」
「…………そうらしいよ。これ、私の友達も言ってた」
重要視すべき関連単語は三つ。『夕暮れ時』の『廃病院』で『明りが灯る』。
今まで曖昧だった噂がやたらと具体性を帯びてきた。
この噂が耳に届いた時、少女は自分の目で確かめなくては、と考えた。もし、"人の仕業ではない何か"がそこにあるのだとしたら自分の出番のはずだから。
何もなく本当に噂ならそれでいい。しかし本当に怪奇がひそむならどうにかしようと。
何かあってからでは遅いのだ。
そう思い歩を進めた。
今まで、気にも、とめることのことのなかった、噂に包まれた、廃病院へと。
「私が何とかしなきゃいけないのです」
小さな体に勇気を込めた少女は大きな声で気合いを入れた。
呪術を正しい事に使うと決めた少女が一人、噂が蔓延る怪しい場所へ向かうために。